第五十話 雪原の中でその六
「必ずな」
「あのベリアルも働き者ですねえ」
「確か魔神の中で一番怠け者だったんじゃないんですか?」
「そうだよな」
彼等もベリアルのことは知っていた。魔神の中で最も怠惰な存在とされているのがベリアルなのだ。
「それで何でこんなに働くんだ?」
「何でなんだ?」
「ベリアルとはそうした魔神だ」
「そうした魔神っていいますと」
「どういうことですか?」
「何に対して怠惰かだ」
カミュはこう言うのであった。
「何に対して怠惰かというとだ」
「何に対してですか?」
「アーレスに対するものでないことには怠惰なのだ」
その場合はというのであった。
「だがアーレスの為になるならばだ」
「勤勉なのですか」
「そういうことですね」
「その通りだ。ベリアルはそうした意味で怠惰であり」
カミュはさらに述べる。
「そして勤勉なのだ」
「つまり俺達を倒す為には勤勉ってわけですか」
「わかりやすいですね」
「そのわかりやすい魔神が何を仕掛けて来るかですね」
彼等は口々に言うのだった。
「さて、どうしてきますかね」
「ベリアルは」
「既に何かを企んでいるだろう」
カミュはもうそれは察していたのだった。
「必ずな」
「そうですね。前もそうでしたし」
「雑兵共を送ってそれと同時でしたし」
そのことも確かめ合う彼等だった。
「じゃあ何時何を仕掛けてきても」
「対応できるように」
「心構えはしておきますか」
「そういうことだ。それではだ」
「はい」
「また。行きましょう」
ここまで話したうえでカミュの言葉に頷く。こうして彼等は戦う気構えを再び結ぶのだった。
聖闘士達がレダについて警戒を持ったその時。レダは雪原にいた。そこで後ろに狂闘士達を従えそのうえで立っているのであった。
その彼に対して。狂闘士達が言うのだった。
「ではレダ様」
「またインプ達を送ります」
「それで宜しいですね」
「今こそその機会だ」
彼等の言葉にこう返すレダだった。
「今こそな」
「そうですか。それでは」
「今から送らせて頂きます」
「それで」
「頼むぞ。ではすぐにな」
また彼等に述べるのだった。
「向かわせるのだ」
「そしてです」
「インプ達の他には誰が」
「誰が行くのでしょうか」
「御前達はここで待っているのだ」
名乗り出ようとする彼等を制する形になった。
「ここでな。待っているのだ」
「何とっ、レダ様がですか」
「レダ様御自らが」
「また仕掛ける」
楽しむような笑みを浮かべての言葉であった。
「あの者達にな」
「罠をですね」
「再び聖闘士達に」
「そういうことだ。とりわけ」
レダの脳裏にある男の顔が思い浮かんだ。それは。
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