第三十二話 災難の軍団その一
災難の軍団
ミスティ達はインプ達と闘っていた。それは湖を取り囲むようにして広がっていた。
「ミスティよ」
「何だ?」
アルゴルはミスティと背中合わせになっていた。そのうえで彼に対して告げていた。
「私の方を見るな」
「わかっている」
ミスティは背中合わせになったまま彼の言葉に頷くのだった。
「それはな。安心しろ」
「幸いにして青銅の者達もここにはいない」
彼はこのことにも安心していた。
「ならば。あれを使う時だ」
「そうだ。使えばいい」
ミスティもそれを使うことを勧めた。
「貴様の好きなようにな」
「わかった。それではだ」
「一体何を言っているのだ?」
「確かペルセウスだったな」
インプ達は二人の言葉の意味がわからず首を傾げていた。
「どうやら技のことを話しているようだが」
「それは何なのだ?」
「見ればわかる」
アルゴルは彼等にはこう返すだけであった。
「しかしだ」
「しかし。何だ?」
「何だというのだ?それで」
「忠告しておこう」
アルゴルの言葉が強いものになった。
「私が今から出す技を見て生きていた者はいない」
「その通りだ」
背中合わせになったままのミスティがそれに応えて頷く。
「アルゴルのそれを見たならば私とて生きていることはできない」
「何を言っているのかわからぬが」
「ハッタリなのか?」
彼等はアルゴルの言葉をそうだと見なしていた。
「だとすればどうということはない」
「ペルセウス、貴様もその程度の男ということだ」
「私は嘘を言うことはない」
しかしアルゴルはなおも彼等にこう返すのだった。
「そしてだ」
「そして?」
「忠告はした」
目を閉じて述べるのだった。
「今な。それを聞くか聞かないかは御前達の自由だ」
「こちらも言うが我々もまたアーレス様にお仕えする狂闘士だ」
「雑兵といえどもな」
言いながらアルゴルとの間合いをじり、と狭めてきた。
「だからこそ戦いを恐れることはない」
「この命が消えようともだ」
「それが答えか」
彼等の言葉を聞いて静かに述べたアルゴルだった。
「御前達の」
「その通りだ。わかったならば見せてもらおう」
「貴様のその技をな」
言いながらさらに間合いを狭めてきた。
「そのうえで満足して死ぬのだな」
「我等の手で」
「いいだろう」
最早アルゴルにも言葉はないようだった。
「では来るがいい。そして見せよう」
「いよいよか」
ミスティは背中越しに彼の言葉を聞いていた。
「あれがまた。放たれるのか」
「さあ、見せてみろアルゴル!」
「そして死ね!」
インプ達が一斉に動いた。そうして手に持っている三叉の槍を突き立ててきた。それにより彼を串刺しにせんというのだ。
その数はあまりにも多い。しかし彼はあえて動かず。そのうえで目を開き言うのだった。
「では見るのだ!」
「何っ!?」
「このメデューサの盾をな!」
言いながらその左手の盾を彼等の前に出して見せ付けてきた。するとそこにあった蛇の髪を持つ女の目が見開かれ牙のある口が裂け。そのうえでインプ達を不気味な光が貫いたのだった。
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