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第二十八話 船の上にてその四
「我等はアーレス様の為に命を捨てるな」
「無論です」
「それは」
 狂闘士ならばそれは絶対のことであった。
「アーレス様の為ならばこの命」
「喜んで」
「私もまただ」
 そしてここでまた言うミシェイルだった。
「アーレス様の為にだ。狂闘士として」
「だからですか」
「御命を」
「私もまたここに来たからには」
 長江のその雄大な景色を見ながら語る。
「命を賭けて闘う」
「はっ、それでは」
「我等も」
「ではまずはだ」
 ここまで話したうえでまた言うミシェイルだった。
「言った通りだ。彼等をな」
「はい、それでは」
「送りましょう」
 こうしてまたインプ達が送られることになった。しかしアフロディーテ達は今はそのことを知らなかった。彼等は相変わらず船で武漢に向かっているのだった。
 その武漢に向かう中で。彼等はこの長江の景色を眺め続けていた。その雄大な風景をだ。
「何ていうかな」
「そうだな」
 その景色を見ている青銅の者達が話をしていた。
「幾ら見ても飽きないな」
「そうだな」
 こう言い合うのだった。
「何かな。見ているだけでな」
「落ち着くしな」
「それだけじゃないな」
 こんなことも言うのだった。
「何か何時までもこうしていたいよな」
「ずっとここにいてな」
「見ていたいな」
「そうだな」
 話をさらに続けていく。
「酒でも飲んでのどかにな」
「全くだ」
「お酒ならありますよ」
 ここで甲板の上に出した安楽椅子に座っているアフロディーテが彼等に告げてきた。
「それなら」
「あっ、あるんですか?」
「酒も」
「はい、紹興酒です」
 出してきたのはこの酒であった。
「それがあります」
「へえ、紹興酒ですか」
「当地ものですね」
「そうです。中国では中国のものを飲む」
 こう話すのだった。
「他にも中国のワインがありますが」
「どうする?」
 シオンがそれを聞いて仲間達に問うた。
「紹興酒にワインか」
「そうだよな」
「他にもあるかな」
「ありますよ」
 また彼等に告げるアフロディーテであった。
「桂花陳酒が」
「それもあるんですか」
「何か結構あるな」
「お酒は好きですので」
 だからだというのだった。
「ですから」
「だからですか」
「三種類も」
「私も今飲んでいます」
 見れば安楽椅子に座るアフロディーテの右手にはグラスがあった。そこには氷とオレンジ色の酒があった。
「紹興酒を」
「ああ、今飲んでおられるのそれですか」
「それだったのですか」
「はい、そうです」
 また答えるアフロディーテだった。
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