第一話 狂闘士強襲その四
「ここにいる多くの奴と同じさ。なりたてさ」
「そうだったな。それで満足に戦えるのかどうか」
「おいミスティ」
バベルはふと弱気なように見えたミスティを咎める。
「そんなことを言っているとそれこそ」
「むっ、そうだな」
ミスティ自身もそれに気付いて言葉を訂正した。
「できるかどうかではなく果たさなければならないのだったな」
「その通りだ。だからこそ」
また一人白銀聖闘士が出て来た。今度はペルセウスのアルゴルであった。
「私達は聖闘士になったのだ。違うか」
「御前の言う通りだ、アルゴル」
ミスティはアルゴルのその言葉に頷いた。
「では。私達もまた」
「この力の限り戦うよ」
「ああ」
皆魔鈴の言葉に頷く。彼等はコロシアムで待機を続ける。このことは教皇の耳にも届いていた。
「ほぼ全員集結しました」
「白銀及び青銅の者達はか」
「はい」
教皇の前にはサガがいる。片膝をつき報告をしていた。
「今聖衣を纏っている者は全員」
「よし。あちらにはアイオロスを向かわせた」
「アイオロスをですか」
「彼に白銀及び青銅の指揮を執ってもらう」
教皇の考えはこうだったのだ。その為にコロシアムに集結させたのである。
「そしてサガ」
「はっ」
今度はサガに声をかけた。サガもそれに応える。
「御前はこの十二宮の守護を頼む」
「ここのですか」
「間も無く来る」
教皇は言う。
「彼等がな」
「彼等が」
「感じないか」
声が鋭いものになる。その声でサガに問うのだった。
「今聖域に迫るこの幾多の血に餓えた小宇宙を」
「小宇宙を・・・・・・むっ!?」
「・・・・・・感じたな」
「・・・・・・はい」
その瞬間に顔色を変え今は。冷や汗を一筋流しながら教皇の言葉に頷くのだった。その整った顔が強張っていた。
「今確かに」
「すぐに十二宮の入り口に向かえ」
あらためて指示を出す。
「よいな」
「はっ、それでは」
すくっと立ち上がり教皇に一礼してからその場を後にする。教皇はサガのその後姿を見ながら呟くのだった。
「あの者達がここに着くまで。持ち堪えてくれるな」
サガとアイオロスに期待する言葉だった。彼は二人に重い任務を与えながらもそれでも彼等を暖かい目で見ているのだった。教皇として。
サガが十二宮の入り口に立って暫くすると。彼の目の前に異様な集団が姿を現わしたのだった。
「むっ!?」
「ジェミニのサガだな」
見れば彼等は赤い、血の色の輝きを放つ鎧に身を包んでいる。そして蝙蝠の翼を生やし三叉の槍を手にしている。全体的に聖域の雑兵達よりも重武装である。
「その聖衣を見る限り」
「聖衣を知っていると見えるが」
「如何にも」
彼等の中の一人が答えた。小柄で卑しい顔をしている。
「聖衣のことは既に知っている」
「先の戦いのことも知っているからな」
「先の戦いか」
サガはその言葉を聞いてまずはその目を僅かに鋭くさせた。だが赤い鎧の者達の大群を目の前にしても全く臆するところはなかった。
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