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第十九話 剣と剣その一
                       剣と剣
「受けろ」
 シュラの右手が高々とあげられた。
「これがこのカプリコーンのシュラの奥義」
「むっ!?」
「エクスカリバーだ」
 声は激しいものではなかったが強いものだった。その強い声と共に振り下ろされる剣は光の速さであった。そしてその剣が振り下ろされると。
「何だとっ!?」
 バドは思わず声をあげた。今までその剣を包んでいた炎が瞬く間に打ち消されてしまったのだ。
「馬鹿な、私の炎を打ち消しただと。しかも完全に」」
「この程度の炎なぞ」
 シュラは振り下ろしたその剣を元に戻したうえで驚きを隠せないバドに対して告げる。
「エクスカリバーの前では敵ではない」
「敵ではないというのか」
「一振りで充分だ」
 こうも言うのだった。
「打ち消すにはな」
「くっ、これが黄金聖闘士の力か」
「そういうことだ。それにハルパスよ」
 シュラはバドに対して言ってきた。
「これが貴様の実力ではあるまい」
「何が言いたいのだ?」
「貴様は今加減をしていた」
 シュラはここでも冷静な声で彼に述べる。
「そうだな。貴様の炎はあの程度ではあるまい」
「わかっていたのか」
「黄金聖闘士を甘く見ないことだ」
 シュラは尚もバドを見据えていた。
「この程度。容易にわかる」
「確かにな。その通りだ」
 まるで仮面を剥ぎ取ったかのようだった。今のシュラの言葉を受けてそれまで怒りと狼狽に包まれていたその顔を先程までのような余裕のあるものになっていた。
「先程の私の炎は全力ではない」
「そうだな。それでは今見せるのか」
「如何にも。私も遂に全力を出す時が来た」
 言いながらその剣に再び黄金の炎を宿らせる。それは先程の炎よりも遥かに大きく勢いよく燃え盛っていた。全くの別物であった。
「どうやら。貴様は私が全力を出すに値する相手だな」
「それは違う」
 バドの言葉を訂正させてきた。
「貴様が幾ら全力を出そうともだ」
「勝てはしないというのか?」
「そうだ。貴様ではこのシュラに勝つことはできない」
 述べながらまた剣を構えてきた。その右手の剣をだ。
「少なくとも一人ではな」
「ならば見せてもらおう」
 売り言葉に買い言葉の形になっていた。
「果たして。私を倒せるのかな」
「では行くぞ」
 シュラの剣が黄金色に煌いた。
「苦しむことはない。一瞬で終わる」
「またエクスカリバーが放たれるな」
「ああ」
 闘いを見守る聖闘士達の間に緊張が走る。
「今度こそ決着をつけるか」
「シュラ様が。勝たれる」
 彼等はシュラの勝利を確信していた。彼が先程見せたその圧倒的な剣の力を見たからだ。それを再び見るということに緊張を覚えていた。しかしその時だった。
「待て、バド」
「貴方か」
「そうだ。私だ」
 ここでまた一人の声がしたのである。
「何故ここに来たのかわかるか」
「来る必要はないと言った筈です」
 まだ声の主の姿は見えない。しかしバドは忌々しげな顔で言うのだった。
「私一人で充分だと」
「悪いがそうはいかない」
 声の主はまたバドに言ってきた。
「そうはな。予定が変わった」
「変わっただと?」
「ジーク様の御命令だ」
 ここでこの名前が出て来た。
「ここは退けとな」
「ジーク様の!?」
「そうだ。カプリコーンだけではない」
 声の主はまた言ってきた。
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