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第十四話 死者の顔その六
「犠牲を出さないとか悠長なこと言っていられる状況じゃねえだろ。俺達が出るような事態はな」
「しかしだ」
 ミロは少しムキになってデスマスクの今の言葉に反論する。
「我等はそれでもだ」
「いや、ミロよ」
「残念ですがそれはどうでしょうか」
 シュラとアフロディーテがまずミロに反論する。
「我々の技は大地はおろか星さえも砕く」
「街一つ消し去るなぞ何ともないものなのですよ」
「しかしだ。それでも」
「関係ない者達を巻き込むというのはだ」
 あくまでそれを受け入れようとしないアイオリアとアルデバランだった。二人の側にはミロもいる。
「聖闘士としてどうなのだ」
「如何なる状況とはいえ」
「それも仕方あるまい」
 カミュはシュラ達の方についた。デスマスクも入れれば四人だ。
「我々が出るその時はこの大地を賭けなければならない時。その時に多少の犠牲は止むを得ない」
「そうだ、俺もまた同じだ」
「私もです」
 シュラとアフロディーテは完全に意見を同じにしていた。
「悠長なことを言っていればより多くの犠牲が出るような場合ならば」
「多少の犠牲は。仕方ないことなのです」
「くっ、しかしだ」
「それでも」
「ムウ」
 反論に窮するアイオリアとアルデバラン。しかしここでミロはこれまで沈黙を守っているムウに対して声をかけるのだった。
「貴様はどう思っているのだ」
「私ですか」
「そうだ、貴様はだ」
 必死になりかけている。
「これについてどう思うのだ。犠牲は止むを得ないのか」
「デスマスク」
 しかしムウはミロには答えずに前を向いたままのデスマスクに対して問うのであった。
「貴方はそれでいいのですか」
「何がだよ、ムウ」
「この死者達のことです」
 彼が言うのはこのことだった。
「彼等は貴方が倒してきたもの」
「ああ」
「彼等の命のことはわかっていますね」
「嫌でも見ることになるさ」
 ここでも前を向いたままだ。
「これからずっとな」
「その通りです。これこそが」
「わかってるんだよ、全部」
 言葉は外観は居直りだったが意味は違っていた。
「全部な。キャンサーの黄金聖闘士になった時にな」
「黄金聖闘士になった時にですか」
「そうさ。これ位背負えなくて聖闘士なんかやってやれないんだよ」
 ここでもデスマスクは言った。
「おめえ等だってそうだろ?そこんところはな」
「確かにな」
「その通りだ」
 アルデバランとシュラがデスマスクの今の言葉に頷いた。
「敵を倒すのが聖闘士だ」
「その中で犠牲が出るのも止むを得ない」
「まあそういうことさ。俺はそういう考えさ」
「そして貴方は」
 またムウがデスマスクに声をかける。
「それを背負っていかれるのですね」
「軽いもんだぜ」
 ここではこう返してみせてきた。
「そんなもんな。一向にな」
「そうですか。わかりました」
「話は終わりか?じゃあ何か食うか?」
「何かですか」
「とりあえずな。一旦辰巳のおっさんの店に行って来るぜ」
「辰巳さん!?ああ、あの人だな」
 アイオリアは少し考えたがすぐにそれが誰かわかった。
「日本から来ているグラード財団の」
「厳しい爺さんが会長やってるあそこだよ」
「そういえばあの御仁は」
 カミュがふと気付いたように述べた。
「奥方はおられなかったな」
「確かそうでしたね」 
 アフロディーテもそれに頷く。
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