ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
セシリアへの挑戦
今日はマリアとクリスティンで他の妃候補のところに挨拶に行くことになっていた。
「クリス、服はこれでいいの?」
薄いシルバーグレーのワンピースはマリアをより洗練されたレディにみせていた。
「ええ、それでいいですがアクセサリーはそれでなくこちらのピンクダイヤにしましょう。それと帽子はツバの広い物に替えたほうが良さそうですね。」今日は他の女達にマリアを我王が妃にと望むに値する女と認めさせる絶好の機会である。「用意は出来ましたね。それでは出発しましょう。」
「まずはどなたから?」マリアは緊張した面もちでクリスティンに聞いた。
「はい、セシリア様からです。ご実家に戻られていますので屋敷の方にいらしてくださいとの事でした。」

「確か貴族の姫君だったわよね?どんな方なの?」
「名門ラングレー家の姫様ですが、事業に失敗されてなかなか苦労されているようですわ。ダンスがお得意でパーティーではいつも我王様と踊っていらっしゃいます。なかなかしたたかで計算高い方にお見受けします。」マリアはなるほど、と相づちをうち自分がとるべき態度を決めた。
ラングレー家は広大な森の中にまるで遺跡のようにひっそりと建っていた。「随分大きな屋敷だけれどさびれているわね。庭もあまり手入れされているようには見えないわ。」
クリスティンはうなずいた。
「やはり噂どうり資金ぐりには苦労しているようですね。」
門をくぐると数人のメイドが並び二人を出迎えた。
「いらっしゃいませ。中で主人がお待ちです。」セシリアの世話役であるルイーズが応接室に案内してくれた。薄暗い廊下を歩き明かりがもれている部屋の前でたちどまった。
「セシリア様、お客様がおみえです。
「どうぞお入りになって。」
部屋の中はアンティーク家具がいくつかポツンと置いてあり、修理の行き届かない壁紙が少し黄ばんでめくれあがっている。「どうぞお座りください。ただいまお茶の支度をしてきますわ。」ルイーズはそう言って部屋を出ていった。
「初めまして瀬名マリアですわ。」
セシリアも立ち上がり
「セシリア・ラングレーよ。新しいお仲間ねどうぞよろしく」
と挨拶を交わした。
「あなたカインの恋人って噂されてたのよ。だから新しい妃候補があなただって聞いて本当に驚いたわ。」
マリアは慎重に言葉を選んだ。
「まぁ…そんな噂があったなんて知りませんでしたわ。でも…正直私自身も今回の事は思いがけない事で戸惑いもありました。」「あなたは我王と同じ学園だと聞いたけれど日本人なのかしら?でも私の知る日本人…竜崎カノンは黒髪に黒い瞳なの。あなたはどうやら純粋な日本人ではないようにお見受けするけど?」セシリアは明らかにこちらの素性を知りたがっている。危険だわ…話をそらさないと!
「ええ、父が日本人ですの。ところで私の前に妃候補でいらしたエリザベート様はどんな方ですか?気になりますわ」
「ああ、エリザベートね。今じゃ我王の事なんて忘れてあなたと噂のあったカインといつも一緒にいるのを見かけるわ。父親はサイバーアトミック社の研究者よ。なんでそんな普通の子が妃候補なのか私も気になって調べさせたけど、どうやらエリザベートは父親が王宮に出入りしていた関係で我王とは昔から仲が良かったらしいわ。それで結婚の約束をしていたらしいの」そうだったの…
「では純粋に愛情で結ばれていたんですね。」

「…そうね。私みたいにお金の為でないことだけは確かだわ。」マリアはあまりにハッキリとしたものいいに返答に困ってしまった。
「あら、ごめんなさい。驚かせちゃったかしら?あなたも我王が好きで結婚するんですものね。でも考えてもみてちょうだい。
私や他の妃達はみな我王の顔も知らなかったのよ。だから愛情がわいたのは婚約してからの事よ。私…彼に愛や恋は期待していなかった。ただ私が妃になればこのラングレー家を助けられる。そう思っていたの。でも…違った!私、今は彼に恋しているの。だからこの勝負、ゆずるわけにはいかないわ。」
マリアは正面から戦いを挑まれた。
でもこの正直で真っ直ぐなセシリアが嫌いではないなと思う。
「私も我王の事を愛してる。誰かと愛情を争うなんていやだけれど避けられない事よね?」セシリアはニッコリ笑った。
「ええ、そうよ!でもあなた好い人みたい。強敵ね。お互い頑張りましょう。」
二人は握手をして別れた。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。