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フェニックスからの挑戦状Ⅵ
ジャンは目を疑った。

「嘘だろ?どうしてダミアンが…いつの間に?」


谷底には小さな川が流れていて、その流れの中に2体のガーディアンは向かい合っていた。


「少佐、往生際が悪いですね。早く降参した方が身の為です。もし今僕がこの鞭を振るえばあっという間にショートしちゃいますよ?そしたら少佐だってきっと感電しちゃいます。僕、可愛い女の子虐めるの気がひけちゃうなぁ」


シシィはアハハハ!
と豪快に笑った。


「可愛い女の子なんて呼ばれたの久しぶりよ!いいわ、やってごらんなさいな。そしたらあなたも無事じゃ済まないでしょうね。一緒に仲良く感電するつもりかしら?」


ダミアンはグッと言葉に詰まった。


ジャンはいつまでも睨み合ったままの二人に痺れを切らしていた。

「何やってるんだ二人とも!」


僕が飛び出してくる少佐を待っているのを感ずかれたか?


ジャンがそう思ったのも束の間、シシィは思い切りダミアンに回し蹴りをくらわした。
ダミアンはなんとそれを両手で防いで逆にシシィを吹き飛ばした。

「少佐、無駄なんですよ。あなたの動きは全部僕には分かってるんだ。でもここは僕が負けてあげる事にします。だって少佐はみんなの憧れなんだ、幻滅させたくありませんからね。ああ…それからカミュによろしく言っておいて下さい。ダミアンが来たってね!そう言ってもらえれば分かるはずです」


「えっ、誰ですって?カミュ?そんな人知らないわ!」


「またまた、とぼけないで下さいよ!おっとそろそろタイムアップですよ。少佐は先に行ってゲーム終了の合図を出してください。僕は後から出ますから」

シシィは助け起こそうとしたダミアンの手を振り払い自分で立ち上がると谷間から上空に飛び立っていった。


しばらくするとゲーム終了の照明弾が上がり、それを確認してからダミアンも谷間から出てきた。


「あの二人に一体何があったんだ?」


ジャンは不審に思いながらもダミアンにはバレないよう谷間から出ていき、みんなが集まる最後尾にそっと並んだ。


教官はニコニコしながら「マクガバン少佐、今日はありがとうございました。生徒たちにも良い刺激になったでしょう!」と、礼を述べた。


「いいえ…私の方こそ今日は良い体験をさせていただきました。思わぬ収穫もありましたし…教官、このクラスには私を超える才能の持ち主がいるかもしれませんよ」


「いやハハハ!何を仰います。オイ、おまえ達!少佐にこんなに誉めていただけるなんてこれ以上の名誉はないぞ!これからも少佐の期待に応えるべく精進を重ねるように。いいな?」


「ハイ、教官!」


「それでは皆教室に戻りなさい」


ジャンは慌てて手を挙げた。


「あの、少佐!」


クラスメートの視線が一斉にジャンに集まった。


「なんですか?」


「あのぅ、少佐に触れた人は誰もいなかったんですか?」


「……ええ、誰もいませんでした」


「そ…そうですか、すみません。変なこと聞いて…」


「質問は以上ですか?」


「ハ…ハイ…」


心なしか青ざめた顔のシシィはくるりと踵を返しコツコツと靴音を鳴らしながら去っていった。


少佐は嘘をついてる…でも、一体なぜ?


ジャンは何事もなかったかのようなダミアンの穏やかな表情を遠くからじっと眺めていた。




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