あなたへの想い
エリザベートは舞台上の出来事を不思議な気持ちで見ていた。
あの仮面の紳士は誰かしら
こちらからだとお顔が見えなかったわ
セシリアとのダンスは素敵だった。やはり王室の関係者かしら?
衣装を着替えたアリサが席に戻ってきた。
踊りの余韻が残っているのか頬が薔薇色に輝き美しく上気している。
「アリサ、あの方はどなた?」
アリサは慌てた様子で
「え?…さ、さあ知らないわ。でも素敵な方よね」と答えた。
「次はエリザベートあなたの番よ。準備はいい?」
「ええ。大丈夫よ」
程なくして女官がエリザベートの名を呼んだ
エリザベートはキャンバスを抱えて舞台に上がった
一心に筆を動かしている
観客はその様子をみてつまらなそうに席を外し売店に行こうとする者や、人目も気にせず眠りこむ輩も出始めた
ローラはその様子を心配そうに眺めている
その時、舞台近くの出演者席からハープの美しい調べが流れてきた
クリスティンがこの様子を気の毒に思い、救いの手を差しのべてくれたのだった。
ハープの音色は優しく会場を包みこみ、観客は席に戻り始めた
ローラはクリスティンの気配りに舌を巻いた
自分の敵の窮地を救うなんて、とても広いお心の持ち主ね!
でもエリザベート様、きっとクリスティン様はあなたの強力なライバルになるに違いありません。
ローラはクリスティンの優れた資質に畏れを抱いた。
「出来ました…!」
エリザベートは絵の具だらけになった顔をニッコリとさせ、キャンバスを高々と掲げてみせた。
「!!!どうしてこれを…」試験官達は絶句した。
そこにはプラチナブロンドでエメラルドグリーンの目を持つ幼い我王が生き生きと描かれていた
我王の素顔はマスコミのみならず国民にも知られないよう厳重にガードされているはずだ
一体どうしてこの子は我王の幼少時代を知っているのか?
この様子を眺めていた我王はあの幼い二人の約束の日を思い出していた
「我王!私やっとここまで来たわ。」
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