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恋のルール
シシィは夢見心地で基地内にある自分の宿舎に帰ってきた。


「問題は…千春だよね。」


シシィはそう呟くと、机の上から写真立てを手に取りため息をついた。


「実…千春結婚するんだよ。もう実はいないんだってやっと踏ん切りつけたのに…」


シシィは笑っている実の顔を愛しげに指でなぞった。


「でも…やっぱり言わなくちゃ。私は千春に対してフェアでありたい。そして今度こそ、あなたに私を選んでもらいたいの」


シシィは大人になった自分を実に見て貰いたかった。


シシィを見る実の目には、まるで妹をみているような穏やかで静かな慈しみが溢れていた。


「そんな優しさはもういらない!」


シシィは決然と立ち上がり、上着を羽織ると自分の部屋から出て行った。



その頃千春は、油まみれになりながらジャンの為に新しいガーティアン開発にあたっていた。


「オ〜イ千春!そろそろ上がろうぜ。」


マイクはガーティアンの下に潜りこんでいる千春に声をかけた。


「もう少しやっていくわ。マイク、悪いけど先に帰って」


マイクはヤレヤレといった顔で「あんまり根詰めすぎるなよ。そんなに慌てなくても俺は逃げたりしないからさ」と千春をからかった。


千春はこのガーティアンが出来上がるまで結婚式を待ってもらっていたのだ。


「ウフフ、そうね。でもウェディングドレスも出来上がったし早く着てみたいわよ」


「だったら俺にも少しくらい手伝わせてくれよ。」


千春は手を動かしたまま、「ゴメン!これだけは自分1人で仕上げたいのよ。ほら…独身最後の思い出にさ」


「仕方ないな…じゃあ俺は邪魔しないよう先に帰るよ。だけど明日もあるんだから今日は後一時間だけって約束してくれ」


「うん、分かったわ約束する」


マイクが帰ってからどれくらい経ったろう?千春は自分のお腹がグゥと鳴ってやっと我に返った。


「イヤだ私ったら、つい夢中になっちゃって…今何時かしら?お腹空いちゃったわ」


千春は滑車を動かしてガーティアンの下からスルスルと出てきた。

ポケットからタバコを一本取り出して火をつける。


仕事の後、こうして造りかけのガーティアンを眺めながら一服するのが習慣になっていた。


「千春!話があるの」

「キャッ!!何よ、誰?」


千春は突然暗闇で声をかけられ飛び上がって驚いた。


慌てて照明のスイッチを入れる。


そこには思い詰めた顔のシシィが仁王立ちになっていた。


「なんだ…シシィじゃないの。どうしたのよこんな時間に?」


「実が…実がユノにいるの。生きていたのよ彼は!」


千春の足下にポトリとタバコが転がった。


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