ジャンの使命
翌日、同じ時間に奴らからアクセスがあり、マザーは直接その交渉にあたった。
「場所はどこ?」
デスはしらっとした顔で、「そうですなぁ。ユノはどこも軍の匂いがプンプンします。どうですマザー、懐かしのテラでお会いしませんか?」と提案した。
「テラで?」
「ええ、そうです。来るのはあなたともう1人だけにしてください。我々も同じ条件で私とお嬢様の2人で参ります」
隣で大統領が頷いた。
「分かりました。では明日の正午にテラのアルルカン山の頂上でいかが?」
「いいでしょう。では明日、お待ちしております」
画面が消えて。閣僚達の間からどよめきが起こった。
「マザーに同行できるのがたった1人とは…これは人選が難しいですな」
「何をいうか、父でありユノの大統領でもある私が行こう!」
チャンは厳しい顔でそれを止めた。
「何を仰る!大統領が国を空けるなどもっての他です。これ幸いと敵が攻めてきたらどうなさるおつもりですか!?」
「では誰が行くのだ?」
大統領の問いに座は鎮まりかえった。
その時、ヤン隊長の後ろの方でユラリと一本の手が挙がった。
皆の注目が一斉にそちらに向いた。
そこには証人として呼ばれたものの、まるで死人のように青白い顔色でうずくまっていたジャンの姿があった。
「俺が…俺が行かなきゃ…」
ヤン隊長がジャンの肩を揺すぶった。
「しっかりしろジャン!すみません、この子はアルフが死んで動揺しているんです。ジャン…これは子供の出る幕じゃないんだ!それぐらい分かるだろ?」
ジャンの目は次第に生気を取り戻していった。
「俺、このままじっと待ってるだけなんて嫌だ!お願いだ…俺に行かせて下さい。お願いします…お願いします!」
大統領はそんなジャンの側に寄り、その小さな手を握りしめた。
「ありがとう。君の気持ちは本当に嬉しいよ…でもこの任務は命がけだ。下手をすればピアも…そして君も無事で帰れるかわからないんだぞ。第一どうやってテラまで行く気だね?」
「俺、ガーディアンの操縦出来ます!」
それを聞いたルジン大佐はフンッと鼻を鳴らした。
「ガーディアンに乗れるだって!?君はいったいどこで操縦を習ったんだ?」
「…習ったことはありません。でも、ガーディアンに関する本は全部読んでます!操縦の仕方は全部頭に入ってますから」
「そんな…ムチャクチャだ!無謀にもほどがある」
チャンは思わず叫んだ。
ジャンはじっとマザーに視線を注いだ。
マザーはジャンの目に宿る情熱に応えるべく立ち上がった。
「分かりました。あなたに任せましょう!」
狼狽える大臣達を尻目にマザーはルジン大佐を側に呼びつけた。
「あの子にガーディアン操縦の訓練を受けさせます。誰か教官を付けましょう、適任者はいますか?」
「ハ、ハァ…それではブルーシャーク部隊のシシィ・マクガバンが適任かと…」
「それではジャン、早速エリシオンに向かいなさい。もう時間がありません。しっかり練習するのですよ」
「ハイ、ありがとうございます!」
ジャンは拳を固く握りしめた。
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