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あなたは誰ですか?
千春は突然駆け出して行ったJ.Jの後ろ姿をポカンと眺めながら「…どうしちゃったのあの子?」と首を捻った。

千春は鎖の柵をくぐってクロノスの脚にそっと抱きついた。

「お別れよクロノス…実、私幸せになるから」

千春はクロノスに背を向けると背筋を伸ばして前を向いて歩き出した。

その頃、やっとミュージアムに到着したアルフは荒い息を整えて、ホコリだらけのズボンを叩いた。
さっき公園で口をすすいだのにまだジャリジャリと嫌な感触が残っている。

「クソ…!いつになく手こずったな。そろそろ俺1人じゃ厳しいよ。どんだけ怨みかってるんだ?あの人は…」
あの人とはユノの大統領トニー・ハミルトンの事だ。
月に一度は神殿でマザーと謁見していたが、最近は毎日足を運んでいる。

おかしい…何かあったのか?

アルフはピアの警護の立場を利用してなんとか手がかりを掴みたいと躍起になっていたがやっとチャンスが巡ってきたようだ。

さっき始末した暴漢が意外な事を口走ったのだ。

「俺達の狙いは大統領なんかじゃねぇ!あんなやつはただのあやつり人形じゃねぇか。俺達が殺ろうとしてるのは神さ!こんな世界を造りやがった張本人さ」

アルフは血と砂の混じった唾液をペッと地面に吐き出した。

「お前は誰の飼い犬だ?吐け!でないと死ぬ事になるぞ!」

アルフは男の首筋にナイフの切っ先を押し当てた。

「いいさ。殺せよ!俺の命はとっくにあの方に捧げている。」

「あの方って誰さ?」
「死神、デスだよ!」
「そいつはどこにいる?」

男は血走った目でニヤリと笑っただけで答えない。

アルフは面倒くさそうにため息をつき、ナイフをしまい男のあごに手をかけると思い切り捻りあげた。
男の首から「ボキッ!」と鈍い音が聞こえ、長い舌がダランと唇からはみ出した。

「俺、こう見えてもスッゴク短気なんだ。ホントはナイフがよかったんだけどこのあと約束があるんだよね。血で汚れたら大変!じゃあね〜。オジサンの信じる神様によろしく〜」

アルフの顔はそんなことがあったとは思えないほど無邪気であどけなかった。
今はもうさっきの仕事は忘れて、ジャンとの約束で頭の中はいっぱいだ。

ミュージアムの中に入ると大声でジャンを呼んでみる。

「ジャ〜ン!おいジャ〜ンどこだ〜?」

向こうから1人の女が歩いてくるのが見える。

「ヤバイ、煩いって怒られるかな?」

逃げようとするアルフの背後からその女の人が叫んだ。

「ジャンならもう帰っちゃったわよ!」

アルフはキョトンとした顔でり返った。

「あなたは誰ですか?ジャンの知り合い?」
千春は笑顔で答えた。
「まあね。私は園部千春。あなたは?」

「ぼ、僕はジャンのクラスメートのアルフです。」

「そう、よろしくアルフ!」

「は…はい!こちらこそよろしくお願いします。」

アルフの頬がポッと紅く染まった。



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