お姫様のキス
音楽が鳴りやんで、ジャンは絡めていた手をそっと外した。
「ピア…素敵だったよ。僕と踊ってくれてありがとう」
「私のほうこそ…」
ピアの頬がうっすらとピンクに染まった。
それを見ていたフランはすかさず二人の間に割って入り、「ジャン!今日のパートナーは私でしょ?ダメよ、よそ見しちゃ!」とまるでピアに見せつけるようにジャンの腕をとった。
「まったくフランには敵わないな〜。じゃあねピアまた後で…」
ピアは二人の後ろ姿を見送りながら思わずため息を漏らした。
「ピア、どうしたの?今日の主役がため息なんてついて。」
いつの間にかアーネストがピアの隣に立っていた。
「なんでもないのよアーネスト。ちょっと疲れただけ…」
「じゃあこれでもどうぞ。」
アーネストはピンク色のカクテルジュースをピアに渡した。
「やっぱりアーネストは優しい!ジャンみたいな野蛮人とは大違いね」と言うと、アーネストは少し困ったような顔で反論した。
「そんなことないよ。さっきのダンスもとても洗練されてた。僕はジャンにちょっと憧れるよ。頭は良いし、喧嘩も強い!それにダンスまで上手くて…人気者だ。」
ピアはなんだか急に腹が立ってきた。
「そりゃあダンスが上手いのは認めるけど、なんで頭が良いの?授業中だって居眠りばっかり、テストの成績だって赤点ぎりぎりじゃないの!」
ムキになるピアに苦笑しながらアーネストは言った。
「確かに学校の成績はイマイチみたいだけど僕は知ってるよ、彼の凄さをね…」
学年一位の成績を誇るピアはフン!と鼻で笑い飛ばした。
その時、会場の奥からピアのお婆ちゃんが大きな箱を抱えてあらわれた。
「ピア、パパからのプレゼントが届いたわよ」
ピアは大喜びでその箱を受けとった。
みんな興味津々にその箱を取り囲んでいる。ピアはそっと蓋を開けた。
その途端、何か真っ黒いボールのようなものが跳びだしてきた。
「キャッ!誰か捕まえて、ボールウサギよ」ピアが叫ぶと会場は興奮に包まれた。
「ジャン聞いたか?ボールウサギだってよ!すげえな、幻の生物じゃん。二人で捕まえて、女の子達にいいとこ見せようぜ!」
アルフは鼻息も荒くジャンに誘いをかけた。「オオ!任せとけ。アルフはあっちから来い俺はこっちから行くよ。挟みうちにしようぜ!」
会場は大いに盛り上がった。
「姫、捕まえたら何かご褒美くれよ!」
アルフはピアに向かって催促した。
「ええいいわ!何がいい?」
アルフはエヘヘと笑って唇を突きだした。
「お姫様のキス!」
ピアはクスクス笑って「わかったいいわよ!」と承諾してくれた。「ヒャッホ〜、そうこなくっちゃ!」
それを聞いたジャンは心の中で雄叫びをあげた。
絶対負けられね〜!
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