穢された花嫁
アリサは振り上げた剣をおろし、額に流れる汗を拳で拭い取った。
神殿の荘厳な舞台に立つアリサはさながら戦いの女神シバ神のように神秘的な美しさをあたりに放っていた
舞台を降りたアリサに一人の紳士が近付いてきた。
「やあ、アリサ。今日の舞も素晴らしかったよ」
クラスタイン卿の長男アレックスだった
彼はアリサの後援者であり、この神殿に多大な寄付をしている
アリサは彼の深い湖のようなブルーの瞳が好きだった
じっと見詰めると吸い込まれそうになる
「アリサ今日は僕の父も来ているんだよ。ぜひ君に会いたいそうなんだ。」
アリサは胸の動悸を抑えながら
「ええ。いいわよ今着替えてくるわ」
この衣装は儀式用に作られているためあちこち肌が露出している。むき出しの肩が白く輝く妖艶な姿にアレックスは息が詰まりそうだった。
「いや、そのままで結構だよ。」
白髪の立派なひげを蓄えた老紳士が杖をつきながら現れた。
「君がアリサか…アレックスが惚れ込むだけのことはある。素晴らしい美貌だ!この国広しといえどこんなに魅力的な女性はそうはおるまい」
「前々からアレックスからせがまれていてね…どうだろう。我が家に来るつもりはないかね?」
アリサは信じられないと言った表情でアレックスを見た。
優しく微笑み、アリサをじっと見つめた。
アリサもその目を見つめ
「はい。」と答えた
アリサは神殿の前に捨てられていた赤ん坊であったが、神官である養父にとても愛されて大切に育てられた。
「アリサ、私はお前を本当の娘だと思っているよ。お前が幸せなら私も幸せだ…」アリサを乗せたエアカーはゲートをくぐり抜け、森の中を走りやっと邸の前に到着した。
そこはまるで昔の城そのものでアリサは急に心細くなってしまった
アレックスは優しくアリサの肩を抱き寄せてその紅い唇をふさいだ
「今日から君は僕のものだよ」
アリサは邸の一角にある、小さいながらも装飾がたっぷり施された離れを与えられた
「ここが君の邸だ。好きなように使って構わないよ」
「こちらは僕の姉のハンナだよ。何か困ったことがあったら相談するといい。」
「よろしくね。アレックスからあなたの事は聞いているわ。大変だと思うけど頑張ってちょうだい」
ハンナは優しく微笑みバスルームの準備が整っていると伝えた
アリサは頬を染め、浴室に入って行った。
扉を閉めようとするとハンナが
「貴族は自分で服を脱いだりしないものよ。」
とアリサの腰のリボンをほどいた。
サテンのドレスはあっけなくスルリと足下に落ちてアリサの白い肌を露にした。
ハンナはアリサのランジェリーを剥ぎ取るとうっとりと全身をくまなく見渡した
「なんて白い肌!しっとりと柔らかくて手に吸い付いてくるわ」
アリサは思わず近くのタオルケットで体を隠した。
ハンナはクスリと笑うと扉を閉めて出て行った。
アリサはこれから起こることを思い身を固くしたが、アレックスの妻となれる事を嬉しく思った。
バスルームから出ると、すでにベッドにはアレックスが腰かけていた。
「さあ。アリサこちらにおいで…」
「怖がらなくても大丈夫だよ。」
アレックスは優しくアリサのバスローブの紐を解いた。
アレックスはアリサの白く輝く胸元に唇を這わせた。
「ああアレックス…」アリサが大きく背中を反らせると、そこには冷たい目をしたハンナが座っていた
「キャアー!」
アリサは驚いて目を見開いた
「驚かなくても大丈夫。これは昔からのしきたりだからね。」
「しきたり?」
「そう…僕達貴族はいつなんどき刺客に襲われるかわからない立場だ。ハンナはこう見えても武芸の達人なのさ」
「そうよアリサ。嫌でしょうけど慣れてちょうだいね。私は居ないものとして…恥ずかしいならこうして後ろを向いているから」
アレックスは平気でアリサの太腿に顔を埋めた。
「ああ……あアレックス」
それからは毎夜アレックスはアリサのもとを訪れ、その身体の隅々まで愛した。
ある日の晩の事、アリサはアレックスと共にクラスタイン卿のもとに呼ばれた。
「入りなさい…」
部屋のドアが左右にスーッと開き、クラスタイン卿が厳しい顔で二人を見ていた
「アレックス。お妃教育は進んでいるか?」
「はいお父さん。アリサは魅力的ですよ。これなら王様もお喜びになるでしょう」
アリサは事態がのみ込めず呆然とした。
「アリサ、ご苦労だった。来月からは学院生活が始まる。しばらくはアレックスに会えなくなるがしばらく我慢してくれ。また休日になればたっぷりと可愛がって貰うがいいぞ」
アリサは立っていられないほどの衝撃を受けた。
「嘘つき!騙したのね。」アリサはその場にうずくまった。
「アリサすまないと思っている。しかしこれも僕の為と思って許してくれないか?二人が結ばれるにはこうする他なかったんだ。」
アレックスの目から涙が流れた。
このときからアリサは男の愛というものを信じていない。
「いいわ。今度は私が利用してやる・・・」
アリサはそう心に誓った。
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