本編
episode1 Little Busters①
「ん……」
少年は、ふと目覚めた。
最初に見えた光景は……何処かの天井みたいだった。
白くて、日頃しょっちゅう見るだろうと思われる天井。
そして、鼻で感じられる消毒液等の匂い。
「……病院?」
まず少年が思い浮かべたのは、その可能性だった。
しかし、近くに心電図などの医療器具がないことから、それは違うんだということに気付いた。
そして何より、ふと首を右に向けて窓から外を眺めてみたら、そこには学校のグラウンドらしきものがあった。
「……ここは、何処かの学校の保健室なのか?」
白い布団をかけられて、白いシーツの上で眠っていた、茶髪の少年は、身体を少し起こして、周りを見て、色々と確かめてみる。
すると、左側にある仕切りみたいな所に、恐らく自分のであろう制服を発見した。
……しかし、それは少年が以前着ていた制服とは、違うものであった。
黒を基本としたブレザータイプの制服という点では以前のものと同じなのだが、デザインが微妙に違っていた。
「……どういうことだ?」
少年は、一人呟く。
そんな時だった。
ガラッと、扉が開かれる音がして、誰かが少年に近づいてくるのが気配でも音でも分かった。
そしてその人物は、少年の横に立ち、
「……気が付いた?」
一言、そう尋ねた。
「あ、ああ……まぁな」
少年は、その人物の姿を目で確認する。
まず性別は女子。
白くて長い髪の毛、美少女を思わせるような顔つき、しかし顔にはおよそ読み取れる程の感情はなかった。
身長は恐らく女子の平均よりも少し小さいくらい。
……少女を一言で表すのなら、『天使』という言葉が正しいのだろう。
「……何か?」
「ああ、いや。何でもない」
あまりに少年が少女の顔をじっくり眺めていた為に、少女がそう尋ねてきた。
少年は素直にその事を詫びて、
「……ここは?」
「保健室よ」
「……やっぱりか」
先程から気になっていた質問を少女にし、そしてそれがおおよそ正しかったことを理解した少年は、一人で勝手に納得していた。
「貴方が校舎の前で倒れてたから。ここまで連れてきた」
「……俺、外で寝てたのか?」
「ええ」
「しかも、コンクリートの上で?」
「……ええ」
少女からその事実を聞いて、少年は少し呆れを感じていた。
目の前にいる少女にではなく、そんな場所で居眠りをしていた自分にだ。
「……居眠り?」
ここで少年は、ふと気になることを発見した。
それは、どうして自分がここにいるのか。
そして、どうやってここの学校に来たのかということだ。
ご丁寧に制服まで変わっている部分がまた、少年の疑問をより助長させていた。
「……なぁ、アンタに一つ聞きたいことがあるんだが……えっとその前に、アンタの名前は?」
「私の名前?」
とりあえず疑問をぶつけて見る前に、少年はまず相手の少女の名前を聞く。
名前を聞いておいた方が何かと便利だからだ。
「私は立華。立華奏」
「俺は棗恭介……で、一つ聞きたいことがあるんだ。立華、いいか?」
「……(コクッ)」
少年―――恭介は、奏に一言断り文句をつけた後に、こう尋ねた。
「単刀直入に、手短に聞く……ここは、どこだ?」
それは恭介が一番聞きたかったこと。
まずは自分がどんな場所に来てしまったのかを知りたかったのだ。
「ここは学校よ」
「いや、違う……俺が聞きたいのはそんなことじゃない。俺は何故『ここに』いる?」
そして恭介は、次の瞬間に奏の口より衝撃的な言葉を聞くこととなったのだった。
「……ここが、死後の世界の学園だから」
「……は?」
「つまり……貴方は死んだの」
その一言は、恭介の思考回路を一瞬フリーズさせる程の威力を持っていた。
注意
この作品におけるリトルバスターズメンバーは、修学旅行のバス事故にて既にお亡くなりになっているという設定です。すなわち、あの事故の後でもし恭介達が『世界』を創らなかったらという『IF』設定の物語です。なので、恭介以外の他のメンバーは登場する可能性ありですが、理樹と鈴の二人はどうあったって登場しません。
ちなみに、それに伴って登場人物達の過去も若干修正されていますが、悪しからず。
最後に、『Angel Beats!』組は全員参加ですので。
ついでに、リトルバスターズメンバー以外のオリキャラは登場しません。
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