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幸福の噂と易しいホラーハウス 作者:あおいれきね
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2/8

今日の始まる

 目が覚めたら、いつもより寒かった。
「おっはようそのみ、いい朝だよ」
「寒いんだけど」
 貴代がベランダの窓を全開にして、日が昇る前の空に向かって伸びをしていた。そういえば居たんだっけ。
「あぁごめんね、でも換気は大切だよ? キノコ生えちゃうよ」
「私の家は貴代の部屋みたいな腐海じゃないから、梅雨時でもカビ生えないんだからね」
「へぇ、すっごいね。流石はそのみだ」
 へらへら笑いながら台所の傍の窓も開け放つから、貴代の好きにさせてやることにした。私はタンスに収めた少し厚めのパーカーを取り出して羽織る。秋まで使わないと思ったんだけどな。
「そういえば貴代、昨日の夜何食べたの。」
「大根と卵をしょうゆで煮たのと、チーズ焼いたのと、あとデザート」
 昨日は怖くて聞けなかったけれど、聞く分には常識的なメニューに思えた。私はてっきり全部まとめてフライパンで焼くのかと思ったよ。そしてデパ地下のチョコプリンは濁すのね、まぁいいけどさ。
「そういえば、そのみ今朝用事がなんかあるんだっけ?」
「そうだけど、こんな早くに起きるつもりじゃなかったんだけどね。今何時よ。」
「五時くらいかなぁ、ちょっと待ってね」
 貴代は鞄からケータイを取り出して確認する。だけど、すぐ向こうに壁掛け時計がかかってるのには気づかないんだろうか。
「4時57分だってさ、確かにちょっと早いよね。」
「早すぎるよ、睡眠時間が3時間切るってなに」
 呆れながら私は、又布団にもぐりこむ。
「二度寝する?」
「7時ぐらいに起こしてよ」
「あはは、ごめんね。おやすみなさい」
 玄関の扉さえも開き始めた貴代をほっておいて、布団にしがみついて寝た。ノースリーブじゃ寒かったな。

「暑い……」
 布団から這い出て、汗をパーカーの袖で拭ってから、これ着てるから暑いんじゃんと思い、脱ぎ捨てる。
「貴代? あれ、居ないし」
 見回しても貴代の姿がない。帰ったんだろうか、どこまでも自由人だな、あいつは。
 まあ貴代なら好きに帰るのだろうと諦めて、汗が冷えて肌寒くなったので、パーカーを羽織りつつ、冷蔵庫を開く。体が蒸しサウナな布団のせいで火照っているからか、いつになくひえひえに感じる。
 疲れた時には甘い物を食べるに限るので、一昨日デパ地下で買ってしまったチョコプリンでも食べよう、確かこの辺りに……ない。そういえば貴代が食べたんだっけか。
 あまり長い間開けていては電気代が嵩むので、しぶしぶ麦茶のペットボトルのみを出し、冷蔵庫の扉を閉める。
 蓋を開けてコップに注ぎ、座ってテレビを点けたところで、机の上の紙に気がついた。
〔昨日はありがとう、助かったよ。このご恩はきちんと返すから。では、私は電車の始発で帰ります、またね。〕
 そうか、始発で帰るからあんなに早起きをしていたのか、納得と、麦茶を啜りながらテレビに目を向けて、向けて、麦茶を机に置いてから、ケータイの着信履歴を確認した。
 今日約束をしていた滝子から、十件の連絡を頂いていた。留守電を再生して流れてくる「まさかねてるんじゃないでしょうね」という恐ろしい声。
「うわぁあ、ごめん。」
 とりあえず、謝ったら許してくれるだろうか?
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