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2話 異世界市場に行ってみよう

 改革案を提出するのは三日後なのでシャルたちを連れて街に出かけることにした。

 アズ国王に当面の生活費としてグレイス金貨二枚と金貨五枚

 (日本円で約二十五万円)を頂いたので

 わずらわしいことは今日は忘れて一日遊び倒すぞ。


 今日は月に一度の日曜市のある日らしい。

 王城の前の大きな広場で日曜市が開かれていた。

 楽団の演奏や大道芸のパフォーマンスもあってとても賑やかだ。


 トマト、キャベツ、玉ねぎ、じゃがいも、茄子、パプリカ、ししとう

 ほうれんそう、かぶ

 色とりどりの野菜が所狭しとならべてある。

 さすがに王都だ大陸各地からさまざまな野菜が集まっている。


 見たことのあるフルーツもあれば

 この世界にしかないフルーツまである。

 フルーツの甘く熟れた香りが鼻腔を刺激する。

 試食もあるのか。あとで寄っていくか。

 

 市場は想像以上に賑やかだ。

 華やかな豪華なドレスの貴族の令嬢もいるし民族衣装の親子連れもいる。

 走り回っている子供に、おしゃべりなおばちゃん軍団。

 猫族は男もいるんだ。ドワーフはガチムチ。

 リザードマンは凶暴そうにしか見えないが性格むっちゃいいらしい。

 エルフもいた。ウサギ耳娘だー、捕獲していいよね。 

 捕まりますご主人さま。


 王城のでかい護衛兵士もいる。まさか隣の美人は嫁?。

 まさに美女と野獣。

 人間観察だけでもおもしろい。貧富の差はかなりある。

 あの親子連れ、一杯のうどんを子供たちで分け合ってる。

 親はなにも食べてない。一杯のかけそばの異世界バージョン。

 やはり農民は生活が苦しいんだろう。早くなんとかしてやりたい。


 あのマンゴーに似た鮮やかなオレンジ色の果肉がうまそうだ。

 牛肉、豚肉、羊肉、鶏肉、見たことのない獣の肉もある。

 もちろん日本のスーパーのようなパックではなく大きな肉を切り売るスタイルだ。

 ベーコンも切り売り、ソーセージは数珠繋ぎになってびっしりぶら下がっている。


 バター、チーズは種類が多い。この国は山地が多く酪農が盛んだ。

 穀物類は米、小麦、とうもろこし。

 先代様のお陰で米、味噌、醤油があるのはうれしい。GJ先代様。


 パンもたくさん売られている。

 長いのがフランスパンぽい。ライ麦パンなど全粒粉の硬めパンが多い。

 クロワッサンもあるが日本のホワイトブレッドぽいパンはなさそうだ。


 ここから酒類だな。

 葡萄酒にビールは樽もあり度数の高い蒸留酒もあった。

 食品ゾーンには多種多様の店があり、一番多くの人が集まっている。


 衣料ゾーンは、服やドレス、布地、糸も売っており

 アクセサリーゾーンはネックレスに指輪など

 とんでもない高額な宝石を売っている店もある。


 精霊の魔力を込めた石を売る店。

 精霊石の店にはあとでどんなものがあるのか入ってみるか。

 その他のゾーンには雑貨、陶器、鍋、薬草や漢方薬も売っている。


「いっぱいあって迷うニャ」


 シャルは食品ゾーンで夕食の材料で悩んでいる。

 女子力高いな。いい嫁になりそう。

 だがしかし嫁に出す気はない。

 マリーは匂いに誘われ屋台ゾーンの焼き鳥屋目指しながら


「主さま、急ぐであります。早くしないと焼き鳥が飛んで逃げちゃうであります。」


「んなわけあるかい」


 ボケているのか本気なのかいまいち判断しにくいが可愛いからよし。

 歩いていたら肉の焦げる匂いに鼻をくすぐられた。

 串に刺さった大きな肉塊が火に焙られている。

 その前に立っているだけで思わず生唾が湧いてきてしまう。


「屋台も美味しそうなものがたくさんあるな」


 居酒屋にはすでに酔っ払っているいかにも肉体労働してそうな筋肉の

 日に焼けたおっちゃん。

 ソーセージの炭火焼にホタテのバター炒め、川魚の串焼き。

 ボトフのような暖かそうなスープに豪快な豚の丸焼きなんてのもある。


「マリーとシャルはなにが食べたい」


 ふたりとも遠慮してなかなか言わないが

 マリーは目線の先にはソーセージの炭火焼。

 シャルはヤマメによく似た川魚の串焼きをロックオン。

 後でシャルにネコ族だから魚が好きなのと聞いたら

 特にそういったものでもないらしく、たまたまなのだそうだ。


「私はお肉が大好きですニャ」


 キャー、大胆な肉食女子宣言。ご主人さまも食べられちゃうのかにゃー。


 マリーは焼き鳥7本にソーセージの炭火焼を5本をぺろり。

 シャルは川魚の串焼き3本と焼きとうもろこし5本。

 ふたりともこれでもまだ遠慮してるっぽいんだよね。

 想像してたのよりよく食べるのでちょっと驚いた。

 でもふたりともきれいに食べるね。

 よく食べる女の子は嫌いじゃないぞ。


 腹ごしらえをすませたので気になっていた店にやってきた。

 場所的には端っこの目立たない位置にある。

 近くには大きな水晶で占いをしている顔を黒い布で覆った老婆。


 精霊石とは魔力を込らめれた石のことだ。

 俺の首に掛けてあるペンダントの中にも言霊の精霊石が入っている。

 精霊(魔法の使える精霊)は使える魔法の属性がそれぞれ違う。

 

 火の精霊は火の属性の魔法が使え

 言霊の精霊は言霊の属性の魔法が使える。

 木の精霊は木の属性の魔法が使え

 氷の精霊は氷の属性の魔法が使える。

 

 精霊は人間嫌いが多く森の奥に住んでいて

 人里にはめったに近づかないらしい。


 そのなかでも火の精霊は人間に興味をもっているので

 魔力を込めた精霊石が市場にでることがたまにあるという。

 高額で取引されるらしい。


 ここで売られていたのは火の精霊石。

 黒の火の精霊石は呪文を唱えると百度の炎が出せて

 赤の火の精霊石は二百度の高温の炎が出せる。

 青の精霊石は温度が調節可能で何千度もの高温の炎が出せる。


 しかも石を割れば複数の精霊石が同様に使える。

 呪文は精霊石別に違う。

 これはセキュリティも完璧だ。

 なんというチート魔法、使い道はいろいろあるな。


 武器として戦争に使うと最強ではないだろうか。

 精霊は争いごとは嫌いなので武器として使うことを禁じてある。


 古文書によればあるとき精霊石を戦争に使った国があった。

 激憤した精霊たちはその国を三日三晩で焼き尽くしたそうだ。

 意外と過激。敵に回してはしけないってことだな。


 値段は黒の火の精霊石がグレイス金貨三枚(グレイス金貨を日本円で一枚約十万円)

 赤の火の精霊石がグレイス金貨五枚(日本円で約五十万円)

 青の火の精霊石がグレイス金貨三十枚(日本円で約三百万円)

 

 さすがに利用価値の高い青は高いな。

 硝子に陶磁器、炭焼き、製鉄とかに使える。

 一般家庭では黒を割って灯りと炊事と暖炉に使っている。

 

 水と氷の精霊石の魔法がどんなものか興味あるな。

 まずはお金貯めてからだな。


 買ったもの

 ちなみにセインガルドの通貨は(日本円でおよそ)

 グレイス金貨(十万円)金貨(一万円)銀貨(五千円)銅貨(千円)硬貨(百円)

 トマト、キャベツ、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん

 牛肉、豚肉、ベーコン、ソーセージ

 たまご、バター、チーズ、コーヒー豆、紅茶

 フランスパン、クロワッサン

 オレンジ、ぶどう、マンゴー

 葡萄酒、岩塩、砂糖、オリーブ油

 米、小麦粉、味噌、醤油

 全部で金貨一枚銀貨一枚銅貨二枚(一万七千円)


 日本より物価はかなり安いと思う。

 バター、チーズは相当安い、これはうれしい。

 肉、米の味は少し心配だ。


 運ぶこと考えてなくて困っていたら

 顎髭が渋い四十歳ぐらいの八百屋のおっちゃんが荷車を貸してくれた。

 野菜も負けてくれたし、すごくいい人だった。

 

 家に帰って夕食作りに取りかかる。

 今日からシャルに料理を教えることにする。

 ひとり暮らしが長いと料理ができるようになるものだ。 

 作ってくれる人がいなかっただけなのだが。

 これからはモフモフのシャルに作ってもらうからいいもーん。


 ということで肉好きのおこちゃまたちのためにハンバーグを作る。

 牛と豚の合挽きミンチになつめぐをいれ、塩、コショウする。

 俺は牛肉:豚肉=7:3が美味しいと思う。

 牛肉100パーセントだと、よっぽどいい肉を使わないと

 パサパサして美味しくない。


 肉に炒めた玉葱と玉子をいれて混ぜる。

 しっかりとこねて、中の空気を抜き俵型に成形する。

 成形した肉に小麦粉をまぶしフライパンに多めの油をいれる。

 シャルがときおり首をかしげながら興味深々って感じで見ている。


 肉を入れて焼く。油が小さく跳ね

 じゅうじゅうと肉を焼くいい匂いが漂う。

 マリー、よだれでてるぞ。

 高温でさっと肉を両面をこんがり焼く。

 中温にし水を加えふたをして蒸し焼きにする。


 続いてソースを作る。フライパンに今日市場で買った葡萄酒をいれる。

 炎が高くぼうっとあがる。マリーとシャルは驚いて目を白黒させている。


「主さま、火事でありますか」


「だいじょうぶだよ、これはフランベといってアルコールを飛ばしているんだ」


 マッシュルームをスライスしていれる。

 続いてケチャッブ、ウスターソース、醤油を入れてまぜたらソースは完成。

 ソースの香りが食欲を沸きおこす。

 

 皿につけ合わせに茹でたじゃがいもとぷちトマトとクレソンをのせ

 特性と特製きのこソースをかける。

 ライスとワイングラスをならべる。


「ハンバーグステーキ特製きのこソースのできあがり、さあ、召しあがれ。」


「いただきまーす」


 ハンバーグにナイフをいれるとじゅうっと肉汁が溢れだす。 

 柔らかいジューシーなハンバーグを頬張るとふたり目を合わせて


「ご主人さま、こんな美味しい料理を食べたの初めてなのニャ」


「美味しい、美味しい、美味しすぎるであります」


「ごはんもすごくもちもちで美味しい」


 何回美味しいっていうんだよ。食べさせがいあるじゃねーか。

 結局シャルは二杯、マリーは三杯もごはんをおかわりした。 

 この世界の葡萄酒は相当旨い。今度高い葡萄酒も買ってみるか。

 

 風呂からあがって縁側でお城を眺め涼んでいたら

 猫耳娘のシャルが赤い顔をして近寄ってくる。


「なんだ、シャルは酔っぱらっちゃたのか?」

「ご主人さま、こんなところにいたのかニャア、探したニャ」

「おお、悪い悪いって、おい、シャルーーーー」


 シャルは抱きついて手を絡めて推定Gカッブの胸を押し付けてくる。


「シャル、胸が当たってるって」

「ご主人さま、これは当たってるんじゃニャないニャ、当ててるんニャ」

「シ、シャル、君は何をいってるのかな」


「ご主人さまはかわいいニャー」


 さらに抱きしめ今度は足を絡めてくる。

 メイド服のスカートの裾がずりあがり

 むっちむちなふとももが露になる。


「マ、マリーがやってきたらどーするの」


「ご主人さま、その心配はないですニャ、マリーはもう寝てるニャ」


 マリーおまえ肝心なときになにやってるんだよ。

 シャルのお色気攻撃はさらにエスカレートしてゆく


「ご主人さま、大好きですニャ」

 ほっぺたにキスをする、それも強烈なヤツを


「シャルーやめてー」


「やめないニャ、もう逃がさないニャ」


 キスしてるというか、舐めまわしてるというのか最早、区別がつかない。

 もう獲物はのがさないという野生のハンターの目だ。


 縁側に押し倒されて上に覆いかぶさってくる。

 逃れようにも背後に足を回し絡め、腰の位置で自身の体をがっちり固めている。

 これがいわゆる「だいしゅきホールド」ってやつである。

 いつのまにか俺は上半身裸にされシャルは下着姿になっている。


 シャルの下着は豹柄ではなく白のレース、少しだけフリルでリボンはネコマーク。


「これが邪魔ニャア」


 ズボンを脱がしにかかる。必死に前を押さえる。そのとき


「ご主人さま、マリーがいない間にずるいであります」


「マリー助けてくれー、シャルが酔っ払ってて困ってるんだよー」


 シャルを引き離すマリー。君は女神だ。

 シャルをふたりで抱えベッドに寝かせ、そっとドアを閉める。

 ほっとして自分の部屋のベットへ入って寝る。

 しばらくして人の気配を感じふりむくとマリーが枕をもって立っている。


「主さまはマリーのこと嫌いでありますか?」

 と今にも泣きそうな顔で見つめている。


「そんなことあるわけないよ。マリー大好きだよ、こっちおいで」


 ベッドに潜りこんで遠慮がちに抱きついてくるマリー。

 なんか愛おしくてぎゅうっと強く抱きしめる。

「なにがあっても俺が守るから安心して」


 子供のように甘えてくるマリーをあやす俺。

 そして夜はふけてゆく。


 そのあとどーなったかって?

 さあ、どうでしょう。


 ただひとつわかったことがふたつある。

 ひとつはシャルは酔うとエロくなる。ということと

 ご主人さまはヘタレだということだ。


 シャルとマリーに邪魔されつつ考えた改革案ができた。


 神崎結斗の財政改革に重点を置いた改革案


 身分制度の改革。具体的には奴隷制度の見直し。

 人口の10%もいる亜人を労働力とするための法の改革。

 能力のある亜人に仕事を与え、納税者、消費者にする。

 具体的には亜人の賃上げ、商売の許可等。


 税制改革。具体的には不公平課税の見直し。

 使途不明金をなくす。園遊会費の減額。

 

 農業改革。農機具の開発。


 輸出を増やす。具体的には売れる特産品の開発。


 工業の技術改革。具体的には新技術の開発。


 教育改革。具体的には15歳以下の子供に教育の権利を与える。

 働きながら学べるようにする。国営の学校を作る。


 武器の開発。具体的には火薬の開発。まずは原料の作成。


 いよいよ明日か、改革の第一歩だ。


 

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