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しいていうならお前の横を歩いてるのが魔王  作者: たぴ岡
え? おれ? by見えるひと
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「勇者さんに足りないのは必殺技だと思う」part1

一、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 勇者さんに足りないのは何か

 いろいろと考えたんだけど……


 必殺技だと思うんだよね


 どう思う、お前ら?



二、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 お前はおれか


 あ、おれだわ……



三、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 気が合うな

 おれも同じことを考えてた



四、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 子狸が絡むとぜんぶ持ってかれるからな

 たまには勇者さんにもスポットを当ててあげたい



五、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 また下らないことを……


 なんだよ、必殺技って

 そんなもんいらんだろ



六、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 紫電三連破ぁ……



七、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 ――別名、鬼殺しである



八、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 この骨、うざいなぁ……


 言っとくけど、それ子狸に教えたら

 つまさきから順にすりおろしますよ?

 んで、びんづめして店頭に並べる


 おれのイメージが損なわれるからな



九、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 えっ……いまさら?



一0、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 倉庫にやすりって置いてある?



一一、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 ないです

 おれたちには必要ありませんから、ええ



一二、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 そうか、あるのか


 で? 必殺技がどうしたって?



一三、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 うん


 いや、真面目な話

 勇者さんの剣術はお粗末すぎて見るに耐えない


 なまじ正確だから剣筋が読みやすいし

 非力なのは、まあ仕方ないとしても

 聖☆剣をぜんぜん使いこなせてない


 歴代勇者の足元にも及ばないじゃないか

 たいていの勇者は聖☆剣があれば

 レベル4のひとたちと真っ向勝負できたのに……


 なんなの、あの水鉄砲



一四、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 前回までの旅シリーズだと

 聖☆剣が登場するのは終盤だったからな

 

 レベル4ないしレベル3のひとたちを倒すために

 っていう明確な目標があった


 勇者さんの場合は

 人質にとられた領民を無事に取り戻すっていう目的で

 聖☆剣を使ったのが最初だから

 固定観念に縛られてるんじゃないか?



一五、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 いや、おれがブロックしてるだけ



一六、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 ちょっ……お前かよ!


 あれから勇者さん

 人目につかないところで練習してるんだぞ!


 港町のときみたいに上手く行かないから

 首をひねったりしてさぁ!



一七、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 港町のあれはサービスだよ


 ことイメージに関して

 勇者さんは確かに非凡な才能を持ってるけど

 そこは剣士の限界なんだろうな

 おれの高い要求を満たすほどじゃない


 まあ、イメージを掴むきっかけ程度にはなったんじゃねーの?

 勇者さんは記憶力がいいし

 退魔性に関する知識もあるから

 いつか出来るようになるでしょ



一八、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん


 おう。光るものはあるよな


 スイッチよりも先に

 ジャンプを使えるようになるとは思わなかった



一九、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 勇者カッターのことか?

 あれ、なんか変じゃなかった?


 標的指定が混ざると

 あんなふうになるもんなの?



二0、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 標的指定は

 対象が違うだけで

 伝播魔法と実質的に同じものだからな


 感染条件を無制限にしたほうが

 魔法の程度としては低いっていうのを

 人間たちは理解してくれなかった


 結果的に開放レベル3になりやすいから

 治癒魔法で回復するのに手間が掛かるってのもある



二一、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 あれは、おれたちの手柄が大きいよな



二二、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 いや、おれだろ


 なんなら再生しようか?


勇者「あなたを見ていたほうが、きっとうまく行く……」


 ほら。はっきり言ってる


 彼女にとっておれは希望の象徴なんだよ

 まったく、困った子猫ちゃんだぜ



二三、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 いやいや、あれは子狸を運搬してたときのイメージを基にしてるってだけでしょ

 あと同じ宝剣使いの子狸バスターと一戦交えてたのが大きい


 勇者カッターとは少し違うからな

 名前どうする?

 便利でしょ、名前あったほうが



二四、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 霊の字は欲しいな



二五、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 さすがおれ

 よくわかってる


 霊……霊……死霊?



二六、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 死霊……

 死霊……咆哮?



二七、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 咆哮……魔哭?


 死霊魔哭斬



二八、管理人だよ


 それだ



二九、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 まがまがしいだろ!


 お前らのネーミングセンスが死霊魔哭斬だよ!


 で、子狸はどこで何してんの?

 例によって例のごとく部屋にいないけど



三0、管理人だよ


 骨のひ



三一、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 ジョーと呼べと言ったはず



三二、管理人だよ


 うん? うん


 えっと、骨の



三三、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 ジョーです



三四、管理人だよ


 おう


 骨のひ



三五、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 だからジョーと呼べと


 とりあえず言ってみような


お前「ジョー」


 さん、はい



三六、管理人だよ


 おう。言ったよ



三七、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 確認した


子狸「ジョー」


黒雲号「……?」


豆芝「…………」


 お馬さんのお世話をしている子狸

 その背後……

 物陰からジョーが現れる


ノーマル「よく気がついたな。褒めてやる」


 振り返った子狸が

 鋭い視線をジョーに向ける


子狸「お前が……ジョーだと?」


ノーマル「かつてはそう名乗っていたこともある……」


 すらりとこん棒を抜き放ったジョーが

 こん棒の先端をぴたりと子狸に突きつける


ノーマル「あのときの幼子が、大きくなったものだな」


子狸「お前が……!」


 おい。なんかはじまったぞ



三八、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 子狸はおれが押さえる!


 行け!



三九、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中


 すまん! 頼む!



 魔王討伐の旅シリーズ


    子狸編


 勇者さんに足りないのは


   必殺技だと思う



四0、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 あのままお魚さんたちについばまれて

 この世から消滅すれば良かったのに……



 注釈


・死霊魔哭斬


 勇者さんの必殺技その一。

 現在の聖☆剣を構成する要素となっている、標的指定と変化魔法を混ぜ合わせることで中距離圏内への斬撃を可能としたもの。

 飛翔するてふてふさんをイメージの基にし、ライオンさんの翼を切り飛ばした。

 当人に無断で命名され、当人に無断で管理人が認可した。

 振り下ろした聖☆剣から光刃を飛ばす「勇者カッター」の変形であり、従来のものと比べて射程が長い。

 虚空に連続して光が灯るという演出でいったんは無害を装っておきながら、中継を終えた刃先が対象に突如として牙を剥くという、らしい魔法に仕上がっている。

 開眼時の一撃は偶発的なものだったらしく、現段階においては自在に操れるというわけではないようだ。

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