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しいていうならお前の横を歩いてるのが魔王  作者: たぴ岡
そうだ、アリア家へ行こう……by鬼のひとたち
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「決戦、海の見える街」part4

九四、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 魔王討伐の旅シリーズ~子狸編~


 決戦


 海の見える街



九五、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 お?



九六、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 お?



九七、管理人だよ


 お?



九八、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん


 え? もう?


 まだ夕方にもなってないぞ?


 いまどこ?



九九、管理人だよ


 宿屋です


 羽のひとと勇者さんはお風呂に


 おれが沸かしたんだよ



一00、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 浴槽に水を張ったのはおれですし



一0一、管理人だよ


 沸かしたのはおれですし


 というか、なんでおれは縛られてるの?


 みの虫さんですかこんにゃろー



一0二、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 だってお前、放っておいたら覗くだろ?


 細切れになりたいなら構わないけどさ……



一0三、管理人だよ


 覗きませんよ


 なにを言ってるんですか、あなたは


 いや、本当に



一0四、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 おれらが風呂に入ってるとき

 葛藤しながら部屋をうろうろしてたのはわかってるんだよ


 お前は本当にどうしようもないポンポコだよ

 このエロ狸が



一0五、管理人だよ


 うろうろしないほうがどうかしてますよ


 あと、かっとうってなんだ

 いや、湯加減であることはわかってる



一0六、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 動詞ですらないだろ


 知ったかぶりするんじゃありません


 葛藤する。どうするか迷うってことだ


 すまん、庭園の。話が逸れたな


 もう完成したのか?

 鬼のひとたちは一緒じゃないのか?



一0七、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 勇者さんが退魔力を剣に流せる……というのは正確じゃないんだが

 とにかく、その話をしたら歩くひとのフォローに回るとか言い出してな

 なんでもアリア家お抱えの鍛冶職人に興味があるらしい


 おれはいま、港町手前の小高い丘の森の中にひそんでる

 街道から少し外れたところだ 


 とつぜん現れても変だから

 ステルスは解除してる


 見える?


 なんか黒くてゴツイのかいるだろ

 ヘルムから無意味に角が生えたやつ

 それがおれ


 勇者さんに対抗してマントも羽織ってきた



一0八、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 おお


 黒光りしとる



一0九、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん


 おお


 ダメージ加工まで



一一0、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 さすが鬼のひとたちだな……


 足回りはどうだ?


 海のひとがだいぶ苦心していたようだが



一一一、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 それ込みで仕上げてある


 全力駆動は無理だ

 ちょうどいいバランスだと思う



一一二、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 足回り?


 お前らレボリューションするんじゃないの?



一一三、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 海底のは出て来れないからな


 こいつは、おれたち五人がそろって

 はじめて完成するんだ



一一四、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 そこまでやるのか……


 しかし魔改造の実は……

 ああ、そういうことか



一一五、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 おれは、あのひとを置いて行ったりはしないよ


 子狸バスターに関しては……

 まあ好きにしろとは言ったけどさ



一一六、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん


 頑固だからな、お前も海のひとも……


 庭園の

 直接、見に行っていい?



一一七、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 もちろん


 火口の、かまくらの

 お前らも来いよ

 両腕と胴体は預ける


 やってやれんことはないけど

 アリア家の剣術は特徴的すぎる


 多少は不恰好な方がいい



一一八、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 言ってくれるじゃねーか……


 おれ参上!


 ほうほう、これはなかなか……



一00一、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 すまん……強奪された……がくっ



一一九、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 ? 庭園の?


 お前、なに言って……一00一?



一二0、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 山腹の! 離れろ!



一二一、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 ちっ……



一二二、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 なんっ……あぶねえ!


 庭園の……いや、違う?


 お前は……



一二三、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 子狸バスターの右腕内部には

 何者かがひそんでいた


 山腹のに襲いかかる

 まったき青


 山腹のは、とっさに大きくバウンドして難を逃れるも

 追撃のレクイエム毒針が

 木々を縫って猛速で飛来


 これに対し山腹のは

 空中で姿勢制御しつつ触手で受ける


 互いに本気だ


 両者は激しくせめぎ合い

 火花が散った



一二四、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 ふん……完璧にブロックしたと思ったが……


 時限式の伝播魔法……奥の手というわけか


 さすが、といったところだな



一二五、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 火口の……お前というやつは……



一二六、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 おれ!?


 いや、おれじゃないよ!



一二七、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 さらにバスターの左腕から鮮やかなブルーが……



一二八、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 だが、最良の結果とも言える


 議長のオリジナルは、やはり油断ならん……



一二九、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 山腹の……お前というやつは……



一三0、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 ごめんな、おれが悪かった


 さて……


 おれたちの名を騙るお前らは

 いったい何者だ!?

 


一三一、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 問答はあとでいい!


 港町に近付けさせるな!


 おれ参上!



一三二、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 おう!


 おれ参上!



一三三、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 勇ましいことだな……



一三四、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 ほざけ!


 なにを考えているのか知らんが

 こっちには子狸さんがいる!


 お前らに勝ち目はねーぞ!



一三五、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 違うぞ……火口の……離れろ……


 子狸にお屋形さまの真似事はできない……


 おれたちは一人につき一つのレベルしか開放できない……


 詠唱破棄で剥ぎ落とされるレベルは3……


 バウマフ家の人間に特赦があるとはいえ

 最低でもレベル7まで開放しないと勝負にならない……


 庭園のは囚われた……

 海底のは出て来れない……



一三六、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 わかってる!

 お前も含めて、ちょうど四人だ!


 少し厳しいが……

 数の上で互角なら子狸のぶん優位だ



一三七、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 離れろ……もっとだ……


 火口の……お前もわかっているはずだ


 おれたち魔物同士の騙し合いは

 先手をとったほうが勝つ


 勝算があるから仕掛けるんだ


かまくら「…………」


 火口の! 離れろと言っているんだッ!



一三八、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 ああ、わかっているさ


 とうに気付いていたよ


 おれたちは……他のひとたちとは事情が異なるからな……


 けど、それは役割が少し違うだけで、心は一緒じゃないか……


 なにか事情があるんだろうと思うじゃないか……


 こいつとは気が合うんだ


 今日は暑いだの、こっちは寒いだの

 溶岩がさらさらなんだけど、この星はだいじょうぶなのか~とか……

 どうでもいいことを言い合ってさ……よく喧嘩する……

 


一三九、火山在住のごく平凡な火トカゲさん


 どうでも良くはない


 まじでか



一四0、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 なあ、かまくらの


 お前はオリジナルに言われて、ここにいるんだろ?


 レベルを開放できないのは仕方ないよ

 

 でも、おれとお前のコンビなら、きっと……



一四一、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 オリジナルね……


 こいつのことか?



一四二、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 そうして空間に映し出されたのは


 猛吹雪の中


 無残にも氷付けにされた


 かまくらのの姿であった……



一四三、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 かまくらの~!



一四四、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 かまくらの~!



一四五、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 かまくらの~!



一四六、管理人だよ


 かき氷みたいだ



一四七、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 ぶっ飛ばすぞ、お前!?


 いや、おれもちらっと同じこと思ったけど!


 ちくしょう……お前ら、なにが狙いだ!?



一四八、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 狙い? 狙いだと?


 よろしい。ならば教えてやろう……



一四九、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 影あるところに光あり……


 光あるところに影あり……


 旅シリーズあるところにライフワークあり……



一五0、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 貴様らオリジナルにはわかるまい……


 旅シリーズの裏には

 日の光も差さない闇がある……


 われわれは……


 秘密結社ライフワーク!



一五一、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 反逆のときが来たのだ……!


 管理人を制し……!


 旅シリーズを支配する……!


 そう! われわれは……


 とるにたらない不定形生物などではない!



一五二、空中庭園在住の現実を生きる不定形生物さん(出張中


 われわれは


 のうのうと旅シリーズを続けてきた貴様らとは違う……


 いまを生きる不定形生物だ!



一五三、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 つまるところ、お前らの分身じゃねーか……



一五四、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 あっちゃあ……



一五五、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 あっちゃあ……



 注釈


・管理人


 魔物たちの相互ネットワーク「こきゅーとす」の大きなかなめ。バウマフ家の人間が代々務める。

 バウマフ家の人間は「減衰特赦」という「減衰」のペナルティを一部免除される特殊な魔法を扱える。

 この「減衰特赦を扱える存在=過去に干渉できる存在」を軸とし、魔物たちは「こきゅーとす」の履歴を保管している。

 減衰特赦は「逆算能力」の変形であり、「逆算魔法」の一機能として組み込まれている。偶発的に生まれた魔法なので、呪いにも似た性質を持つらしい。

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[気になる点] なんか黒くてゴツイのかいるだろ
[一言] 魔物達の河が子狸に流れ込んでるって事で…それってつまり演算領域を持っていかれているのでは?
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