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しいていうならお前の横を歩いてるのが魔王  作者: たぴ岡
スイカさん、なぜあなたはしましまなのですか……by子狸
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「勇者さんはおれの嫁」

八八、管理人だよ


 流れてきた


 お前ら、おれが間違ってた

 ごめんな


 あと、南国の王さまは勘弁して下さい

 いま気がついたけど無一文です


 それとさ……

 おれ、管理人としてお前らを叱らなくちゃならない……


 わかるよな?



 喧嘩しちゃ

 だめ!



八九、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 あいよ


 で、けっきょく羽のひとは

 何しに来たの?


 超空間で小遣い稼ぎ……ってわけじゃないよな?



九0、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 おう


 じゃあ、ここからはおれのターンな



一、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


討伐の旅シリーズ~子狸編~



勇者さんは






挿絵(By みてみん)



二、管理人だよ


 ちょ


 おま



三、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん


 ああ、たぶんそうだろうなと思ってた


 久しぶりにナビゲート役やるの?

 前々回のリベンジだな



四、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 おう


 あのときは不甲斐ない結果に終わったが……


 今回の勇者は女の子だからな


 勇者さんの寝顔を鑑賞して

 よからぬことを考えていたエロ狸には

 おれという名の勇者さんセキュリティが必要だと

 固く決意した所存であります



五、管理人だよ


 よからぬことってなんだよ!



 そんなことありません



六、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん


 もちろんおれたちは管理人さんを信じてるよ

 当然だろ?



七、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 そうだよ

 何を水臭いこと言ってんだ


 千年の付き合いなんだぜ?


 お前らバウマフ家のことは

 おれたちがいちばん知ってる



八、管理人だよ


 お前ら……



九、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん


 ふっ

 いいってことよ。気にすんな


 じゃあ、そういうわけで……


 お前、罰としてそこでボケろ



一0、管理人だよ


 よくご存知で……


 はい、いちばん!

 ノロ・バウマフ行きます!


おれ「お嬢、お嬢」


勇者「なに」


おれ「あのね。この前、学校で面白いことがあって……」


勇者「あなた学生なの!?」


おれ「え!?」


勇者「……この国も、もうおしまいね……」


 おしまい!?


 この国で

 いったい

 何が起こってるんだ!?



一一、魔都在住の特筆すべき点もないライオンさん


 迂闊にも噴いたわ



一二、管理人だよ


 え


 おれ、まだ何も……



一三、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 子狸、お前……


 笑いのセンスあるわ

 その才能を大切にしろよ?



一四、管理人だよ


 え? そう?


 羽のひとにそう言われると照れるな……



一五、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 だからって調子に乗るなよ


 上には上がいる


 お前はまだスタートラインに立っただけだぞ



一六、管理人だよ


 おう!



一七、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 上げて落とす

 基本だな……


勇者「ああ、びっくりした。生まれてはじめてだわ、こんなに驚いたの。……話の続きだったわね。悪かったわ、急に大声を上げて」


妖精「いいえ~。わたしもびっくりしました。まさか、こんなところでコイツと再会しやがるなんて……」


 おい


 本音が出てる



一八、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 すまん

 正直、無理だわ

 子狸に丁寧語とか……


 今後そういうキャラで行く


おれ「お話の続きですけど、その前に。……あなたは、勇者さまですね? 光の精霊から、お話はうかがってます」


子狸「精霊?」


おれ「黙ってろ」


子狸「はい」


おれ「あなたさまに宿った宝剣は、自然界のマナ☆を凝縮したもの。わたしたちにとっても無関係ではないのです」



一九、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物


 マナとか登場する世界観じゃないんだがっ……



二0、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 ☆自重っ……



一九、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 お前ら、だんだん多芸になっていくな……


妖精「ですから、もしも勇者さまさえよろしければ、わたしを旅に連れて行ってくれませんか?」


勇者「……妖精は人間に悪さをするって聞くけど?」


 勇者さんは自己管理がしっかりしてるな

 どこかの管理人さんとは大違いだ



二0、管理人だよ


 おれ以外に管理人っているの?


 あ、父さんのこと?

 案外おっちょこちょいなんだね

 ちょっと意外



二一、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 そうだね

 意外だね



二二、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん


 そうだね

 意外だね



二三、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 お屋形さま本人には言うなよ?

 絶対だぞ?


 さて、悪さね……

 おれの名声も地に落ちたもんだぜ


おれ「それは一部の心ないものだけですっ」


 まあ全部おれなんですけどね……


勇者「だめね。信じられないわ」


 なるほど。歴代の勇者とはわけが違うな

 ひとの善意をまったく信用してない


勇者「たとえば、そうね……。ここにある商品を全て譲ってもらうというわけには行かないの? ずいぶんと不思議なものを扱ってるようだから、きっと役に立つこともあると思うの。どうかしら?」


 だが、おれも子狸とはわけが違うぜ


おれ「だめですよっ。わたし、破産しちゃいますっ。どうしたら信用してもらえるんでしょうか……。ノロくんは、わたしのこと信じてくれますよね?」


子狸「え……?」


おれ「おい」


子狸「あ、はい……」


おれ「ですよね! 勇者さま、どうですか?」


勇者「悪いけど、その子の言うことも当てにならないの」


おれ「ですよね」


 お前ら。勇者さんが心を開いてくれない


 どうしたらいい?



二四、魔都在住の特筆すべき点もないライオンさん


 計画に無理があったな……



二五、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん


 将を射んとすれば、まず馬を射よという言葉もある

 お馬さんは連れてきてないのか?



二六、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中


 連れてきてない


 勇者さんの意向により

 脚を休ませるべく宿屋でお留守番だ



二七、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん


 子狸のときは、わりとあっさり同行を許したのにな


 どうしたものか



二八、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん


 いや、あのときは子狸からじゃなく

 勇者さんから言い出したことだからな


 状況が状況で、しかも完全に上の立場にあった

 というのが大きいのかもしれん



二九、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん


 勇者さんは譲歩を引き出そうとしてるんじゃないか?


 ふつうに考えても羽のひとを連れ歩くメリットは大きいぞ



三0、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん


 そうかもしれんが、そうではないかもしれん


 押すか退くか。賭けになる

 博打は好きじゃないんだが……



三一、管理人だよ


 仕方ないよね


 羽のひとは無理しないで

 ゆっくり休んでるといいよ

 ゆっくり


 勇者さんのことは


 おれに


 任せてくれ!


おれ「お嬢には、おれがついてるから大丈夫だよ!」


勇者「これ飲んでみて」


おれ「? 何これ?」


 !


 プレゼントだ!?


 頂きます


 ごくごく


おれ「……世の中には二種類の人間がいる。男と女だ」


 真理が


 見える……!



勇者「アレイシアン・アジェステ・アリアよ。リシアでいいわ。よろしくね」


妖精「はい、リシアさん! わたし、リンカー・ベルって言います!」



おれ「なぜひとは戦い続けるのか……? 戦い続けねば、ならないのか……。それは愛ゆえにだ……」



三二、空中庭園在住のとるにたらない不定形生物さん


 その発想はなかった……



三三、魔都在住の特筆すべき点もないライオンさん


 さすがバウマフ家



三四、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん


 認めざるを得ないな


 バウマフは


 格が違った……



 注釈


・ナビゲーター役


 勇者を導く重要な役割を担った魔物のこと。

 本来であればバウマフ家が担当するべきなのだが、諸事情により魔物たちの中からサポーターを派遣する方式が導入されている。

 そもそも、勇者に選ばれる者は魔物たちの厳しい審査をパスした清く正しい人間である。

 そうした意味では、バウマフ家の人間も押しなべて勇者の資質があると言える。

 だが、善意に善意が重なるとろくなことにならないのだと、魔物たちは長い歴史に学んだのだ。



・学校であった面白いこと


 このあと青いひとが尋ねてみたところ、間違って低学年のクラスに突入してしまったので、とりあえず先生に成り済まそうとしたときのことを話そうとしていたらしい。

 かろうじて人並みの成績を取れている魔法の授業をはじめたのだが、子狸の「授業」とやらに興味を持った教師陣が勢揃いで聴衆と化した。

 そのときの子狸先生のひとこと。

「授業参観か!」

 残念ながら、ボケではなくツッコミである。というボケなのか?

 丁寧に解説すると、ボケろと言われて、あえてツッコむ。それがボケという高度な……などと青いひとたちが議論をはじめたところで子狸が涙ながらに謝罪したので、これまでとする。

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