未来
三六六、管理人だよ
さすがおれ
さすがおれと言わざるを得ない
三六七、王都在住のとるにたらない不定形生物さん
すぐに調子に乗る子狸さん
不思議なもので
どういうわけかバウマフ家の人間は
長じていくにつれて生意気になっていく傾向がある
根拠のない自信の発露も、その一つだ
しかし、欠点の一つや二つはあったほうが人間味が感じられて良いという話もある
ともすれば完璧超人に見られがちな子狸さんの
それは、もしかしたら自己防衛本能の表れなのかもしれない……
子狸「めじゅっ」
ラストパスが通った
子狸さんの前足と後ろ足が力強く地を蹴る
野生の走りだ
しっぽの鮮やかな縞模様が
残照となって現在と過去とを行き来するかのようだった
遮るものは、何もない
いや――何か来る!
子狸さんの行く手を遮るように何かが……
これはっ……!
??「重要なのは……」
階段だ
光り輝く階段を、ゆっくりと何かが降りてくる
踏みしめる後ろ足には、揺るぎない意思が宿っていた
この力はっ……!
??「本当に重要なのは、伝えるということだ。それこそが、もっとも価値のある……価値のある……尊い? 行いなんだ……」
後ろ足を踏み出すたびに、輪郭が定まっていく
丸みを帯びた耳がぴんと張りつめる
ずんぐりとした体躯
先太りのしっぽがずるずると引きずられる
突き出た口吻から覗くのは、小ぶりな牙だ
つぶらな瞳に、まるで幾億もの魂を背負ったかのような鮮烈な意思の輝きが灯る
OYAKATAモデル……だと?
??「もっとも――何を言おうとしたのかは忘れたがな。メモは……なくしてしまったようだ……」
青年の声だった
青年の狸さん
言うなれば青狸……
光の階梯が、夕暮れの西日に紛れて消えていく
地上に降り立った大きなポンポコが
足元でうなる小さなポンポコへと、傲然と告げた
青狸「だが、それでいい。そうでなければならない……。用意された言葉は要らないんだ」
さりげなくノっちを全否定した
三六七、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中
注釈
・OYAKATAモデル
OYAKATAモデルとは、お屋形さまの専用機のことである
世界の鎧シリーズの番外機であり、それらとは比較にならないほどの高い性能を持つ
その外観は、直立したTANUKIさんである。しっぽもある
性能を追求した結果、着ぐるみみたいになった
子狸の専用機、ポンポコスーツよりも一回り大きい
バウマフ家に連なるものが極限環境に出向く際
安全対策の一環として着用を義務付けられている強化外骨格の一つだ
多くの鎧シリーズが高度なオペレーション能力を要求されるのに対して
このOYAKATAモデルは操作性を重視した造りになっている
鬼のひとたちの証言によれば、鎧シリーズは人間たちの手に渡っても問題ないよう設計されているらしい
……というのは建前で、簡単に操作されてはつまらないから無駄に難しく造ったという説もある
真相は闇の中だ
三六八、連合国在住の現実を生きる小人さん(出張中
いや、違うぞ……
OYAKATAモデルじゃない!
この反応は、ポンポコスーツだ!
主題歌が違う――!
三六九、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中
注釈
・ポンポコスーツ
ポンポコスーツとは、子狸さんの専用機のことである
諸事情からOYAKATAモデルをグレードアップした型となっている
D.M.P.Sの導入により、従来の鎧シリーズとは一線を画した操作性を獲得したこの機体は、あらゆる面において究極の性能を持つ
※ D.M.P.S=ダイレクトモーションパターンシステム略。パイロットの動きを機体が忠実に再現する機構を指す
単なる着ぐるみじゃねーかという心ない意見もあるようだが
その認識は一概に正しいとは言えない
鬼のひとたちの証言によれば、専用機の製造に着手する際、試しにOYAKATAモデルの操縦法を幼狸にレクチャーしたところ
幼狸が向けた透明な眼差しが、彼らに大いなる閃きをもたらしたのだと言う
このD.M.P.Sは、のちに第五世代の鎧シリーズへと引き継がれていくことになる
つまり魔法動力兵との戦闘を想定した、決戦仕様の魔軍元帥である
三七〇、アリア家在住の平穏に暮らしたい勇者さん(出張中
もしかして未来の
三七一、管理人だよ(出張中
悪いが、その質問には答えられない
余計なことは言うなとお嬢に言われてるんでな……
三七二、方舟在住の世界をめぐる不定形生物さん(出張中
管理人さん!
三七三、管理人だよ(出張中
ふっ、待たせたな
三七四、方舟在住の世界をめぐる不定形生物さん(出張中
え? んーん。べつに
何しに来たの? 帰っていいよ
三七五、管理人だよ
……管理人だと?
いったい何者なんだ……?
三七六、迷宮在住の平穏に暮らしたい牛さん(出張中
いったい何者なんだ……
三七七、墓地在住の今をときめく骸骨さん(出張中
いったい何者なんだ……
三七八、樹海在住の今をときめく亡霊さん(出張中
いったい何者なんだ……
三七九、住所不定のどこにでもいるようなてふてふさん
よく訓練されたお前らの反応に悲しくなるよ
三八〇、王都在住のとるにたらない不定形生物
ポンポコスーツは子狸さんの専用機だ
子狸さん以外の人間が起動させることはできない
だが、何事にも例外はある
ただ、はっきりしているのは、子狸さんの行く手を阻んだのが
バージョンアップしたポンポコスーツであるということだ
容易ならざる相手に、子狸さんは全身の毛を逆立てて威嚇する
子狸「フーッ!」
ポンポコスーツを意のままに操る謎の操縦者が、子狸さんへと向ける眼差しは穏やかなものだった
青狸は言った……
懇願するように
青狸「お前に、おれを超えてほしいと願うのは無茶なのか?けど、そうでなくては託せない……」
管理人さん専用機には、代々主題歌が仕込まれている
ポンポコ
ポンポコ
ポンポコポン
いよ~っ……
ポン!
主題歌に合わせて後ろ足を引き結んだ青狸が、突き出たお腹をポンと叩いた
青狸「現役最後のプレイだ。来い!」
未来と過去が交錯するかのようだった
子狸「めっじゅ〜!」
駆け出した子狸さんが青狸に迫る
腰を落とした青狸が前足をひろげる
迎撃の構えだ
重心を低く、いつでも飛び掛かれるよう備えた
開放レベルは、両者ともに最大値を示す9
最大開放とは何なのか
どういった状態なのか
端的に言えば、最大開放とは完全な形態の魔物を召喚できるレベルだ
有機生物の身体能力には限界がある
だから、その限界を超えるために子狸さんは鍛えられてきた
魔物の動きが目で追えないなら、魔法で身体を動かせばいい
認識できないほどの開きがあるなら、魔法にトリガー委ねればいい
自動攻撃と自動防御
名称は極めて陳腐であるが……
その効果は絶大を通り越して、最高の一端にある
何故か?
……答えは簡単だ
管理人を守り、導くもの
それは、ほとんど魔物そのものであると言っても良い
魔法動力兵が不完全な存在であるというのも
けっきょくのところ、性質に欠けた部分があるからなのだ
だが、同格、同性質の魔法は打ち消し合う
布団は一枚あればいい
二枚も要らないということだ
この王都さんが分身魔法に頼らないのは
確実に共倒れになるとわかりきっているからだ
布団は、一枚あればいいのだ
三八一、火口付近在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中
凄まじい説得力だな……
三八二、かまくら在住のとるにたらない不定形生物さん
いや、納得いかん
一人より二人ではないのか
三八三、海底洞窟在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中
嫌だよ
おれ、王都のんのガチ殴り合いとか見たくねえ……
ふつうに世界を滅ぼしそうで怖い
三八四、王都在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中
おれがナンバーワンだ
詠唱は聞かせることそれ自体が意味を持つ
過去と未来
投じたスペルが今へと凝縮され、時間軸上で交錯し、そして砕け散った
魔法には拮抗する性質というものもある
お前らが肩を叩き合っても消滅しないのは、それらの性質が皮膚みたいな働きをしてくれるからだ
その根幹を成しているのが、立場の違いや性格の違いから来る差異だった
魔法の確実な対処法は同じ魔法をぶつけることだが、口で言うほど簡単なものではない
だが、いかなる偶然によるものか?
このとき、二匹の狸が織り成した魔法の構成は寸分違わず一致し――
ありとあらゆる魔法が身動きを止めた
術者の命令が重複し、二律背反に陥ったためだ
矛盾したイメージは通らない
だから、結果的に相殺したように見える
最後に残ったのは、おのれの肉体だけだった
直進する子狸さんがよろめき――
次の瞬間には青狸の脇を駆け抜けていった
青狸「……!」
目の前で煙が掻き消えたようにしか見えなかった
指先ひとつ反応することが出来なかった青狸が、天を仰いで独りごちる
青狸「これが、本物の走りか……」
勝負の世界は残酷だ
純然たる才能がまぶしかった
けれど才能は目に見えるものではないから、努力なくして夢を語ることは出来ない
挫折は、努力の先にしかない
精一杯やって、それでも駄目なら諦めるしかない
だから、後悔はなかった
青狸を抜き去った子狸さんが、前足でボールを掴んだ
圧倒したようで、じつは紙一重の勝負だった
全身を投げ出すように、ボールを地面に叩きつける
それは見事なトライだった……
子狸さんに勝敗を託したお前らが一斉に駆け寄る
お前ら「子狸さん!」
ホイッスルが鳴り響く
小さな身体を懸命に伸ばして、羽のひとが叫んだ
妖精「ハンドぉーっ!」
お前ら「ひっ……!」
お前らの悲鳴は、うやむやにしようとした後ろめたさから来たものだった
猛然と審判に抗議を開始する
トカゲ「っ……審判! いまのは前足だろ!」
うさぎ「前足はアリだろ! 二足歩行しろとでも言うのか!?」
牛「横暴だ!」
妖精「だからドリブルは見逃してやったんだろーが!」
お前らの抗議は予測の範疇だったのだろう
高度を落として反論する妖精さんを、お前らが取り囲む
骸骨「ルールブックに前足を使ってはいけないという項目はない筈だ!」
亡霊「第一、それを言い出したら蜘蛛型はどうなる!? ひいきだ!」
妖精「だまれ! 持って運べる時点でルールの趣旨に反する! ノーゴールだ!」
歌人「いやいや……! そもそも君はボクらの味方だよね? どうして公平なのさ……! もうその時点でおかしいよ!」
歩くひとの堂々たる不正推奨申告に、お前らがはっとした
火口「……はは~ん? なるほど、そういうことか。なるほど……。気が利かなかったのは、おれたちのほうだったと、そういうことか……」
かまくら「ふふん。はじめから言ってくれれば良いものを……」
牛「おい。骨」
骸骨「はっ。……おい! 例のものを!」
手渡された包みを、骨のひとは恭しく羽のひとに捧げた
骸骨「つまらないものですが、どうぞお納め下さい」
これは賄賂ではない
繰り返す。賄賂ではない
ふだんお世話になっている心ばかりのお礼に過ぎない
もしくは時節柄の挨拶でも良いだろう……
――ただ、その贈りものを受け取った羽のひとがどういったジャッジを下すのかは、われわれの知るところではないということだ
誠意を示すお前ら
妖精「…………」
しかし羽のひとの視線は冷ややかだ
小さく吐息を漏らして、懐から血のように赤いカードを取り出した
妖精「退場!」
お前ら「な、なんだってー!?」
鼻息も荒く詰め寄るお前らに、羽のひとが小さな足で蹴りを入れる
妖精「クズどもが! 本当にどうしようもねーな! 発想が薄汚れてやがる……!」
どこまでも公平であろうとする小さな、しかし偉大な審判を、動力兵どもがきらきらとした目で見つめていた
彼らが言葉を持たないのは、おそらく無害な小動物たちのポジションを狙っているからだ
救いようのない連中だと言わざるを得ない
羽のひとに蹴飛ばされてお前らが悲鳴を上げている
一方その頃、青狸の身体に異変が起こっていた
夕日を浴びた身体が、まるで見えるひとみたいに
徐々に、透き通っていく……
歩み寄った子狸さんが、好敵手を気遣うように小さく鳴いた
子狸「めじゅ~……」
青狸「これでいいんだ」
青狸が屈み込む
子狸さんの肩に置かれた前足が、西日に溶けていくかのようだった
青狸「おれが消えるということは、為すべきことを為したということなんだ。だから、いいんだ」
そのとき、肩に舞い降りた小鳥が、青狸の頭をべしっと叩いた
あらぶる小鳥もまた青狸と共に消え行こうとしている
ぐりっと首をねじった青狸が、そっと前足を差し伸べる
くちばしで噛みつかれた
完全に姿が見えなくなる前に、青狸は子狸さんに言った
食いついて離れない小鳥をぐいぐいと前足で押し退けながら
青狸「お前は、おれのようにはなるな。お嬢には、誰かがついていてあげないと駄目だ。おやつは一日三度まで。妥協を許すな。心をディンにしろ。そして、何よりも肝心なのが……」
肝心なことを言う前に、青狸は消えた
いや、帰ったと言うべきなのだろう
いったい何をしに来たのか、判然としないまま
あとを追うように、あらぶる小鳥も光の粒子に還元されていく
幾つかの未来がある
例えば、もしも子狸が早々に勇者一行から離脱していれば
いまとは、まったく違った結末もあった筈だ
この世界が二度目の過去でないという保証はどこにもない
保証できるとすれば、それは特赦を持つバウマフ家の人間だけだった
遺跡の奥で眠る掲示板の管理人は一人しかいない
仮に、二つの魔法を記した法典の管理人が同一人物であるとすれば……
連結魔法と誘導魔法……
二つの視点が得られるとすれば、バウマフ家を末代まで祟る呪縛を解析することができるかもしれない
だが、そのためには最低でもおれたちの信用を勝ち取らねばならない
そんなことは、ありえないと思っていた
未来は、明るいのか?
信じられない
こんなにも、どうしようもないことが世の中にはあふれているのに
三八五、山腹巣穴在住のとるにたらない不定形生物さん(出張中
視界を制限される闇の中だからこそ、信頼が試される
光が走る
勇者さんが吠えた
ここではないどこか
はるか遠く、安全なところから彼女を見つめる誰かへの反論だ
勇者「わたしにはお金がある! それは生まれ持った才能と何が違う!」
世の中、お金で買えるものばかりではない
しかし、買えるものばかりではないと言う程度には、お金で解決できる事柄は多い
ふとした瞬間に、箸を持つのも億劫になる彼女だから、ときどきは狐娘たちに食事の世話を任せても許される筈だった
子狸さんのお小遣いを出し渋るのは、リーダーとしての特権だった
だから、上機嫌の勇者さんに物干し竿を手渡されたとき、子狸さんは呆然としたのだ
あのときは、内密に処理せざるを得なかった
勇者の手は、人々を救う慈悲の手だ
同時に、無駄に散財する手でもある
まさしく才能の無駄遣いというわけだ
勇者さんの発言から推し量るに
どうも動力兵たちのふるさとでは、彼女の生活態度について活発な意見交換が為されているらしかった
持たざる者の遠吠えを振りはらうように、少女は刃を叩きつける
八つ当たりされる動力兵は分離型という分類に入る
骨格に反した膂力を持つ人型だ
そのスピードは、シャイニング勇者さんにも決して見劣りしない
迫る刃を、あざ笑うように片手で掴んで止めた
何かを得れば何かを失う
薄く凝縮された光刃は、指向性を定めることで威力を保持している
こと破壊力に関しては、光輝剣の最終形態の中で目立ったものはない
フェアリーテイルの真価は、身体能力の底上げにある
歯噛みした勇者さんが、すっと表情を落とした
魔王と剣を交えたときのような集中力が、いまの自分には欠けていることを自覚したのだ
外界の余計な情報を閉ざし、細腕に力を込める
凄まじい集中力だ
おれ「ぽよよん!」
おれB~K「ぽよよん!」
はるばる地下通路まで駆けつけてくれたお前らと再会の喜びに踊るおれにも、勇者さんの覚悟がひしひしと伝わってくる
ひとしきり踊ったところで、おれらは乾杯した
戦士には休息が必要なのだ
眉根を寄せた勇者さんが、珍しく怒気を露わにしていた
彼女の血に宿る異能は、アリア家に代々伝わる感情制御が劣化したものだ
名前はまだない
この星では、はじめて生まれた第二世代の制御系だったからだ
正確な効果がわからなければ、名付けようがない
しかし、感情制御を大きく逸脱したものでないことはわかる
生意気にも反論してくる子狸さんの行状を想起すれば、怒りを呼び覚ますことは容易かった
じつに便利なものである
おれ「ま、一杯」
おれB「おっと、これはどうも」
勇者「こ! のぉー!」
聖剣から放出される光の粒子が渦を巻く
密度を増した輝きが、大きく羽ばたく
ついに結実した光翼が、少女を強烈に補佐した
光の宝剣を全開にした勇者さんは、霊気の外殻をまとった子狸さんに匹敵する
つまり歩くひとと同等のパワーとスピードだ
人型の手を弾き飛ばした光刃が振り抜かれる
真っ二つにされた動力兵が次撃を放つよりも早く
跳ね上がった光剣が、まずキャベツをそうするように核を両断した
料理を不得手とする勇者さんだが、子狸さんの手料理を一刀両断することはできる
適材適所という意味で言うならば、勇者さんはお皿を並べる係なのだ
食べる係に徹していた狐娘たちとは違う……両者の間には大きな隔たりがある
このまま順調に成長していけば、勇者さんは食材を切る係という栄誉に預かることができるだろう
退魔の宝剣ならば、怪我の心配もない
人型の動力兵は、その前哨戦を担ったに過ぎないのだ
光の炸裂が過ぎ去るのを待たず、勇者さんは駆け出した
勇者「次!」
動力兵の成形には一定の時間を要する
先手を取れれば有利に事を運べるとの判断だったが――
Next……
Level 3
Revival!
それは演出上のものでしかなかった
高速で組み上がった巨獣が雄叫びを上げる
必勝の攻略法は認めないつもりだ
計画性のなさに底が知れようというものだ
詰めが甘い
ずさんな設定は、いずれ露呈する
嘘を嘘で塗り固めるのは愚者の行いだ
勇者「…………」
勇者さんは足を止めない
光の宝剣を突き出して、落ちた影を掴み取った
引きずり出したのは闇の結晶たる魔王の剣だ
これまで闇の宝剣を温存したのには理由があった
トンちゃんから学んだことだ
出し惜しみしないものは、魔物との戦いに勝てない
エンターテイメントを体得した勇者の前に敵はなく――
忍び寄る噛ませ犬を手懐け、負け狸にけしかけるだろう
彼女は、勇者だ
勇者とは、勝利を約束された人間だ
その華々しい活躍の裏には、負け狸さんの地道な活動があることを忘れてはならない……
三八六、管理人だよ
カツ丼おいしい