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7。 カエデの憂鬱
深夜2時。



『……ぽろ……しゃん………。』



カエデ『……んっ………。』


 寝ていたカエデはどこからか聞こえてくる奇妙な声で目を覚ました。



『……ぽろぽろ……さっさ〜………はっ……』



カエデ『…えっ…何?…。』


 カエデが耳を澄ますと、その聞いているだけで不安定な気持ちになってくる奇妙な声はどこからかではなく確実にまりあの住んでいる隣の部屋から聞こえてきた。



まりあ『ぽんぽらぺっぺっぺぷりんかしゃあ〜はっ!』



カエデ『え……一体何?呪文……?何時だと思ってんのよ…。』



まりあ『しゃんしゃらぷわーりまるらりは〜ぷんあきんゆてっへいっへい!!!』






カエデ『だーーーーっっ!!!もう、うるっせ£ζЖ§√!!!!!』






−朝−


カエデ『…おはよ…。(寝不足)』


「藍。あんた昨日夜中に何さわいでたの。」

カエデ『だって!隣のうち!うるさかったでしょ?真夜中に。』

「えー?何寝ぼけた事言ってるの。何にも聞こえなかったわよー?ねえ有?(弟)」

「うん。別に何も?」

カエデ『どうせぐっすり眠ってたんでしょ。』

「そんなことないわよー。あの時間ふいに目が覚めちゃってトイレ行こうかなって思ったらあんた急に奇声あげるんだもん。だから、もらしちゃったじゃない。世界地図よ。世界地図。」

「オレも姉ちゃんが大声出した時は……まあ……何してたかは、あえて言わないけど……。」



カエデ『……………。』





「でも、一応念のためお隣さんに静かにしてくださいって言っておこうか?」

カエデ『……。ううん。大丈夫。たぶん私の勘違い。あっもうこんな時間。私、学校行くね。』

「ご飯は?」

カエデ『時間ないからいいよ。』

「じゃあトーストかじりながら行きなさいよ。」

カエデ『いやよ。曲がり角で知らない男の子とぶつかって恋に落ちちゃったらどうする……それいいかも……。』

「くだらないこと言ってないで早く行きなさい。」

カエデ『……………。』



 カエデは家を出るとそのままエレベーターへ向かおうとしたが、まりあの部屋の前で足を止め何やら考え事をしている。


カエデ(…やっぱり誘って一緒に行くか。文句も言わなきゃなんないし。)


 インターホンを押そうとした時だった。とんでもないいきおいでドアが開く。


バンッッ!!!!



カエデ『ぶへっっっ!!』



まりあ『え、何?虫?………げっ!!』

 まりあの足元に、気絶しているカエデが横たわっている。


まりあ(ど、どうしよう…。こ、殺しちゃった…?でも、これって事故よね…?で、でもバンサンカンに信じてもらえなかったら……?(裁判官のつもりらしい)

……よ…よし……!!)






−近所の公園−



ざくっざくっ。



カエデ『…………んっ…。』


 知らないおじさんやおばさんがカエデを見ている。


カエデ(…え…いったい何…?ここは公園……?私は堀北真希……?

…………!?!?)






カエデ『……って何やっとんじゃわれぇぇぇぇっっ!!!』






 カエデの目線の先には、ちょうど人1人入るような大きな穴を掘っているまりあがいた。



まりあ『あ、カエデちゃん。もうちょっと待っててね。』



カエデ『まだ埋める気かっっ!!!』






 カエデが生きていると知ったまりあは(埋める必要もなくなり)2人で学校に行くことにした。


カエデ『っていうか何でジジイもババアも見てるだけなんだよっ!!』

まりあ『カエデちゃん。本当にごめんなさい…。後でアイス見せつけてあげるから。』

カエデ『うれしくないし!!しかも見せつけるって!どんだけ性格ゆがんでんのよ!!!』



まりあ『チッ。』



カエデ『何でお前がこのタイミングで舌打ちするんだよぉぉ!!!』

まりあ『ぐぇぇ。』

 カエデは思わずまりあの首を絞めた。



カエデ『ったく!あんたが転校してきてからロクなことないわよ!本来、私はおとなしいキャラのはずだったんだからね!!言っとくけどツンデレでもないわよ!!』



まりあ『…それよりも朝、私の事、誘いにきてくれたの……?』


カエデ『何いい話に持ってこうとしてんだよぉぉ!!!んなことよりおまえはいつもあんなスピードでドアを開けるのかっっ!!!』

 再びカエデはまりあの首を絞めようとしたが今度は交わされた。


まりあ『…だっ、だってめざましテレビで大塚さんが元気よく行きましょうって言ってたんだもん……。』


カエデ『もう!!……あっ!そういえばまりあ、あんた昨日の夜』

まりあ『あっ!シイナ!おはよう!』


シイナ『おはよう。まりあ。カエデ。』

まりあ『シイナ。聞いてよ。カエデが私のこと殺人未遂しようとしたあげくに埋めようとしたのよ。』


シイナ『………2人とも何やってんの…?ほんとに……。』


カエデ『違う!!冤罪だわ…。ナルホドくん!出番よ!』

シイナ『ほらほら。どうでもいいから。早くしないと学校遅れるよ。』



まりあ、カエデ(どうでもいいって…………。)



 こうして(自称)魔法少女まりあが現れてからは彼らはおだやかな朝すら迎える事ができなくなった。でも心なしかシイナ、カエデ、2人の表情が以前よりもきらきらしている。これもまた、まりあのかけた魔法の一つかもしれない。


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