32。 シイナは友を呼ぶ
5月31日
朝。傘を差し自宅の前で立ち尽くしているシイナ。まりあとカエデを待っているようだ。時折、上空を気にして。
シイナ『…あ、雨が止んだ…』
シイナが傘を畳み、隣のマンションへと目を向ける。
シイナ『Ah…あなたたちは来ない♪……BYモーニング娘。っと…保田さん何してんだろ』
その時マンションからカエデが出てきた。しかしまりあは一緒ではない。シイナがカエデの元へ歩み寄る。
シイナ『まりあは?』
カエデ『これが』
そう言ってカエデはシイナに一枚の紙(チラシの裏)を手渡す。怪訝そうな顔で受け取るシイナ。
−−−−−
その頃まりあは既に学校へと向かっていた。何かに警戒するように、何かに怯えるように。時折後方を気にして。
まりあ『………カエデか…?』
−−−−−
並んで歩き登校するシイナとカエデ。シイナはカエデから渡された紙(チラシの裏)を読んでいる。
シイナ『……カエデ何かしたの…?』
シイナの持っている紙(チラシの裏)を取り上げるカエデ。
カエデ『どういう意味よ…まったく』
改めて紙(チラシの裏)に目を通すカエデ。
−−−−−
−−−
−
回想
朝、カエデが家を出て隣のまりあの部屋へ向かうと、ドアに一枚の紙(チラシの裏)が張り付けられていた。
『カエデへ
何だかおかしいの。
何だか四六時中誰かの視線を感じるの。マヤマさんの気持ちがやっと分かったわ。でも気を悪くしないで。私は友達を疑ったりなんて絶対しない。それは別としてあんた私に何か恨みでもあんの?』
−−−−−
−−−
−
紙(チラシの裏)をくしゃくしゃに丸めるカエデ。
カエデ『おもいっきり疑ってんじゃない!!第一マヤマさんの気持ちって何よ!マヤマさんは霊感が強いだけじゃない!霊感と私に何の関係があるのよ!!』
シイナ『(……本人が気づくまで黙っておこう)そういえば夏川純83年じゃなくて80年生まれだったんだってね』
カエデ『いつの話だ!!!』
シイナ『いや、ほらだいぶ更新してなかったからさ』
−−−−−
−学校−
シイナとカエデが教室に到着すると既にまりあは席について“漂流教室”を読んでいた。
シイナ『まりあ大丈夫か?(朝っぱらから漂流教室…)』
まりあ『あ、シイナ、…おはよう…』
シイナ『…カエデは何もしてないみたいだよ』
カエデ『だから私は無関係だって言ってんでしょ』
まりあ『……てことは…』
真剣な表情を浮かべるまりあ。シイナとカエデも黙ってまりあの様子を伺っている。
まりあ『マジックキングダムから追っ手が来たのかしら…』
シイナ『…マジックキングダム…』
呆れたように席に着くカエデ。
カエデ『まりあの思い過ごしなんじゃない?』
まりあ『……そうかな…かな』
シイナ『………』
カエデ『………』
まりあ『………明日だけど本当大丈夫なのかな』
カエデ『何が?』
まりあ『だから新入部員の締め切りでしょうが』
カエデ『何の?ヨネスケ部の?』
まりあ『文・芸・部!!!第一ヨネスケ部って何だっっ!!!!!!』
カエデ『あー』
まりあ『……こいつは…』
シイナ『でも何でこんな急展開なんだ?アズサさんですら登場したばっかなのに』
まりあ『(…アズサさん?)30話にもなるのに主要キャラが全員登場してないからとりあえず全員とっとと出させようって事なんじゃない?』
シイナ『なるほろ』
まりあ『マルボロがどうしたのよ?』
シイナ『言ってないよ。喫煙は二十歳になってからですよー、みなさん』
カエデ『誰に言ってんの?』
−−−−−
−体育の授業−
シイナ『やっぱり雨で校庭はぐちゃぐちゃだから今日の体育は体育館かー』
「何でお前そんな説明口調なの?」
体育館にはC組の男子の他にD組の男子もいる。
シイナ(しかもD組と合同か…何だかアウェイな空気…)
体育教師がホイッスルを鳴らし生徒たちに呼びかける。
「先生、教官室でRー1用のネタ作ってるから適当にボールにでもじゃれてなさい。ははっ。大丈夫。間違ってブログに投稿したりなんてしないさっ」
シイナ(…滝口…)
「おい、シイナ一緒にボールにじゃれようぜ」
シイナ『やだよ』
−−−−−
友達のグループから外れ一人ステージに座りぽかーんとしているシイナ。シイナは社交性もゼロで協調性も皆無に等しいので団体行動や友達付き合いは苦手なようだ。
その時、一人の生徒がステージに向かって歩いてくる。
シイナとは少し離れた場所に腰を下ろすその生徒。シイナがちらりとその生徒を確認する。D組の生徒だ。しかし話したことはない。(そもそもシイナはクラスメートでさえ、全員と話をしたことがない)ぼーっとそいつを眺めていると、偶然目が合ってしまった。とっさに視線をそらすシイナ。するとその生徒がシイナの元へ近づいてくる。
???『かったるいよな』
シイナ『あ、ああ』
シイナはその生徒のジャージの名札へと目を向ける。
“永山功介”
シイナ(…ナガヤマ…コウスケ)
コウスケ『そもそも体育って必須じゃなくてもいいと思わん?』
シイナ『確かに』
コウスケ『よくいんじゃん。体育はしゃいで喜ぶやつ。マジたぬきだよな』
シイナ『そうだな。意味分からんけどたぬきだな』
近くで自由気ままにボールにじゃれている男子たちの会話が耳に入ってくる。
「ロンドン行きてえなあ!ロンドンに!」
「あらん、ボールが」
「グリーンだよ」
「昨日ブラットピットと一緒に蕎麦食ってる夢見た。蕎麦を知らないらしくて“this is udon. japanese famous food. but I'm not Tsnmabuki.”って教えてやったよ」
シイナ『………』
コウスケ『………』
シイナ『…ロドニー…アラン…』
コウスケ『…グリーン…ブラット…』
シイナ『え?』
コウスケ『え?』
シイナ『知ってんの?ロドニーアラングリーンブラット』
コウスケ『知ってるも何もめちゃくちゃ好きだけど』
シイナ『マジで、マジで』
コウスケ『でもオレはロドニーっていうか、どっちかっていうとパラッパが好きかな』
シイナ『マジだっ。オレもオレも。オレゲームはしないんだけどアニメがめちゃくちゃ好きでさー』
コウスケ『オレDVD全部持ってるよ』
シイナ『エクセレント!!!お前どの話が一番好き?』
コウスケ『やっぱ20話の“いいねスペクタクル〜!”じゃん?あれは神だね』
シイナ『それ最高だよなぁ!!でもやっぱオレは7話の“ブルジョアだねぇ”が一番かな!!』
コウスケ『あはは、あれもいい。オープニングの歌も良くない?』
シイナ『前期の?LOVE TOGETHER?ノーナ・リーヴス?オレCD持ってるし』
コウスケ『そうそう、それそれ!!♪ふっとばーしてよ!DJ!!♪』
シイナ『♪エービバディゲッダーン♪』
シイナ&コウスケ『♪LOVE♪LOVE♪LOVE TOGETHER ベイビー♪LOVE♪LOVE♪LOVE TOGETHER ベイビー♪LOVE♪LOVE♪LOVE TOGETHER ベイビー♪LOVE……(エンドレス)』
その2人の様子をどん引きで見ている友人たち。
「………」
「…シイナって…ああゆう一面も持ってたんだな…」
「…永山も…」
「…み、見なかったことにしてやろうぜ……」
「…まりあちゃんとか、カエデがいなくて良かったな……」
「…そうだな…」
ハハハと笑いあっているシイナとコウスケ。
シイナ『何だよ、気が合うじゃんか、よろしくな。コウスケ』
シイナが手を差し出す
コウスケ『おう、明人』
強く握手を交わす2人
キーンコーンカーンコーン
チャイムと同時に教官室から体育教師が出てくる。
「はーい、今日の授業はここまでー」
「先生ネタできたんすか?」
「できたできた。マネージャーに送ろうと思ったら間違ってブログにアップしちまって、いやー参ったよ」
ぼそぼそ
「マネージャー?」
ぼそぼそ
「ほら、あいつバスケ部の女子マネージャーに手出してるから」
シイナとコウスケが仲良く話をしながら体育館を後にする。
シイナ『マットかっけーよな。』
−
−−−
−−−−−
−1年A組−
友人のタロット占いをしている杏里。目を閉じ精神を落ち着かせ集中している。
「全員揃ったみたいね」
「え?何の話?」
杏里がタロットの中から一枚のカードを引く。
“死神”
「…残念ね…6人の結束はいずれ壊れてしまう時が来る…それも…6人の中のたった“1人”のせいで…」
「……6人?SMAP!?確かに今5人だ……!」
永山功介
通称、コウスケ、ナガヤマ
魔法少女まりあの6人目、つまり最後の被害者。
2年D組の生徒。
シイナと意気投合し、仲良くなる。
まりあに興味を持ち、こそこそ調べていたのは実は彼。と言ってもそれは好奇心から来るものであり悪意はない。D組だがC組に入り浸るようになる。目があまりよくないらしく、たまにメガネをかけている。なぜ、たまになのかと言うと彼曰く『余計な物まで見えてしまうから』6人の中では一番の常識人。
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