31。 止まっていた時計が今、動き出すようです
5月30日(28日と29日は土日だったらしい)
キーンコーンカーンコーン
まりあ『あ、今日はチャイム普通になったね』
カエデ『チャイムネタ久しぶりだね』
まりあ『じゃあお昼にしよっか』
シイナ『オレは今日からお弁当〜♪』
まりあ『平野さんに作ってもらったの?』
シイナ『平野さん?』
まりあ『あのネズミ』
カエデ『なぜ平野さん』
まりあ『いや深い意味はないけど』
シイナ『オレはリトルシェフって呼んでるんだけど…』
まりあ『平野さん』
シイナ『うん。平野さんに作ってもらった』
カエデ『折れるの早っ』
シイナ『平野さん出ておいで』
シイナのバッグの中から出てくる平野さん。
カエデ『ほんと頭いいネズミだね』
シイナ『1人にするのがかわいそうだから学校に連れてきたんだ。でもずっとバッグの中に入れたままじゃ息も詰まるよな?リト…平野さん』
「ちゅー」
シイナが平野さんとじゃれ合う。
まりあ『今、さりげなく、本当さりげなく、ごく自然に平野さんとチューしたでしょ?』
シイナ『してないよ』
まりあ『嘘!したわよ』
シイナ『何だよ。じゃあまりあオレとしてよ』
まりあ『うるさい!ドブネズミ!』
シイナ『昨日洗ったからキレイだよ』
カエデ『…じゃあ頭にでも乗せてたら?』
まりあ『何を』
カエデ『ドブ…平野さん』
シイナ『…え、大丈夫かな』
カエデ『たぶん誰も触れないと思うよ』
頭に平野さんを乗せるシイナ。
シイナ『うん、何かしっくりくる。』
※以降、シイナの頭には常に平野さんがいるとお考えください。
まりあ『そういえば、明後日だね』
カエデ『何が?』
まりあ『何がって文芸部の部員の締め切りがでしょー』
カエデ『あー』
シイナ(こいつほんとにマヤマのこと好きなのか?)
まりあ『見つかったのかな?』
シイナ『後で部室行ってみようか』
−3年A組−
「おい、翔」
マヤマ『………』
「翔!」
マヤマ『…え、オレ?』
「当たり前だろーが」
マヤマ(…そっか…オレ下の名前、翔っていうんだった)
※ちなみにマヤマはまりあ達の前でのみ、一人称が“僕”になる。
マヤマ『で、どした?』
「なんだよ?元気ねーじゃん?勉強疲れか?」
マヤマ『…勉強疲れ?』
「何言ってんだよ?忘れちゃいけねえぞ?オレらは受験生だってことをな」
マヤマは遠くを見つめ、軽くため息をつく。
「約束したろーが?3人で一緒の大学に行こうってさ」
マヤマ『…あいつはとっくにもっと上を目指してるよ…』
−−−−−
まりあ『あ、雨だ…』
カエデ『もうすぐ梅雨入りかなあ』
シイナ『土砂降りだなあ…。これじゃ明日の体育はサッカーできないな。体育館だと他のクラスと合同になるから嫌なんだよなあ…なあ、平野さん』
「ちゅー」
カエデ『…まさか体育にもそのネズミ連れてくつもり?』
シイナ『一緒に行くよな?』
「ちゅー」
シイナ『行くって』
カエデ『全部“ちゅー”じゃない』
シイナ『そんなことないよ。平野さん、否定の場合は?』
「ちゅーちゅー」
シイナ『さらに、ペンを持たせれば』
サラサラ
カエデ『えっと何何…。カ、エ、デ、の、ク、ズ…』
カエデは明日、教室中にネズミ取りをしかける事を決意した。
カエデ『でも本当かしこいね。このネズミ、中に人が入ってるんじゃない?』
まりあ『カエデそういうこと言わないの。本当に“中に人が入っているネズミ”に失礼でしょ!』
シイナ『………』
カエデ『………』
まりあ『子供に夢を与えましょう。公共広告機構です』
シイナ『………』
カエデ『………』
まりあ『かのマリーアントワネットはこう言いました。“着ぐるみと写真を撮るなら中のおっさんとも写真を撮ればいいじゃない”』
シイナ『オリエンタルに消される…おや、誰か来たようだ』
−−−−−
−生徒会室−
アズサ『うーん、更新するのに大分時間がかかっちゃったわねえ』
「…この小説がですか?」
アズサ『…ちょっ、何言ってるのよ、中谷くん。それよりあの文芸部は部員のほうは見つかりそうなの?』
「苦戦している…というか忘れているようです」
アズサ『………』
「一人をのぞいて」
アズサ『…誰?』
「まりあエリザベスです」
アズサ『…ねえ、中谷くん。あの子何か気になると思わない?』
「普通の女の子だと思いますが?」
アズサ『…普通ねえ…』
「あと…」
アズサ『ん?』
「こそこそと、その“まりあエリザベス”について調べ回っている生徒がいるようです」
アズサ『…それは誰?』
「それは」
−−−−−
−−−
−
放課後、下校するまりあ達3人を影に隠れてじっと見ている一人の生徒がいる。
???『虎穴にいらずんば虎児を得ず…か』
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