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29。 僕らの青春時代
 5月26日

生徒会室

アズサ『もうすぐ6月ねえ。』

 何かと便利な仲谷がこくりと頷く。

「あ、そう言えば昨日、文芸部に行ってきたんですよね?どうでした?」

アズサ『ええ。さっそく3人入部したわよ。』

「あの真山翔のいる文芸部にですか?いったいどんな奴が…。」

アズサ『ほら、先月、学園内で自殺騒ぎがあったじゃない?』

「あー、たしか空からアクエリアスが降ってきたり(正しくは地上から)ヘリコプターでトッピンチョコばらまいたりのですよね。」

「2年C組の連中ですよね?ほんと迷惑な奴らですよねえ。あのトッピンチョコ掃除したの生徒会だって知ってんのかしら。」

「確かあのまりあエリザベスって奴も関わってたんですよね?」

アズサ『そう。あの騒動を起こした3人。まりあエリザベスと楓藍、椎名明人が文芸部に入部したってわけ。』

「でも、来週までにあと1人入らなきゃ廃部になるんですよね?」

 ただ黙って話を聞いていた何かと便利な仲谷がちらりとアズサを一瞥する。

アズサ『まあ、大丈夫でしょ。』

 アズサが鼻歌を歌い出した。仲谷もつい笑顔になる。なぜならアズサが鼻歌を歌う時はすごくご機嫌な時だけだからだ。世界は平和だ。


−−−−−

−−−




−文芸部−

まりあ『ではこれからの文芸部の未来についてのミーティングを始めたいと思います。』

マヤマ『………。』

シイナ『………。』

カエデ『………。』

まりあ『それでは何か質問ある人いませんか?』

カエデ『はい。』

 カエデが手を挙げる。

まりあ『はい。楓藍さん。』

カエデ『本当の愛って何ですか?』

 カエデがちらりとマヤマを見るとマヤマは同時に目をそらした。

まりあ『それについては、マヤマさんと語り合って探してください。』

マヤマ『ちょwww』

まりあ『他には?』

シイナ『じゃあ、はい。』

 シイナが手を挙げる。

まりあ『はい。椎名明人くん。』

シイナ『青春て何ですか?』

まりあ『………。』

カエデ『………。』

マヤマ『………。』

まりあ『とりあえず辞書によると“人生の春にたとえられる若い時代”ということらしいわ。』

シイナ『じゃあ、みんなに春来た?』

カエデ『と言うか今初夏じゃない?』

マヤマ『いや、春っていうのは一般的には恋人を指すんじゃないのかな?』

カエデ『じゃあ、私に春は来ると思いますか?』

 カエデがマヤマの目を見据える。

マヤマ『………。』

まりあ『………。』

シイナ『………。』

マヤマ『思ったんだけど青春の定義が曖昧すぎるよね。』

まりあ『そうですよね。私もちょっと分かりにくいと思ったんですよ。』

シイナ『やっぱり色々な人の意見を参考にしてみるのがいいと思うんだ。』

カエデ『………。』

マヤマ『例えば?』

シイナ『ほら、ここにマッキーのCDがある。』

マヤマ『ああ、あの視聴率が低いドラマの主題歌だよね?たしか青春をテーマにして作った歌だって聞いたよ。』

シイナ『そうゆうことです。』

まりあ『でもそれって8月発売のシングルよね?今5月なんだけど。こうゆうのをパラドックスって言うのかしら。』

シイナ『まあそうゆうことはいいじゃん。』

カエデ『で、実際その“GREEN DAYS”でどうするのよ?』

シイナ『とりあえず歌詞の通りにしてみればいいんじゃないかな?』

まりあ『なーるほろー。』

−−−−

カエデ『と言うか靴ひも無いし…。』

シイナ『………。』

まりあ『………。』

マヤマ『………。』

シイナ『く、靴ひもはみんなの心の中にあるんだよ!』

カエデ『………。』

まりあ『………。』

マヤマ『………。』

シイナ『結ぶふりでいいんじゃん?(投げやり)』

 シイナの言葉通り4人はその場にしゃがむ。

まりあ『………。』

シイナ『………。』

カエデ『………。』

マヤマ『緑色の道なんか無いけど。』

シイナ『ぬ、塗る…?』

まりあ『………。』

マヤマ『………。』

カエデ『…い、今だけこの床の色を緑色だと思えばいいんじゃない?』

まりあ『そ、そうね。』

−−−−

カエデ『ねえ。』

シイナ『何だよ。』

カエデ『ちゃんとみんな1人で悩んでる?』

まりあ『悩んでるわよ。』

シイナ『悩んでるから。』

マヤマ『悩んでるよ。』

カエデ『分かったわ。』

−−−−−

まりあ『で、ダイニングは?』

マヤマ『そこでいいんじゃないかな?』

 マヤマが小さいキッチンスペースを指差す。

シイナ『でもダイニングじゃないですよ。』

 マヤマ『じゃあ机とイスを並べてダイニングっぽくしてみようか?』

まりあ『………。』

シイナ『………。』

カエデ『………。』


 4人は無言で即席ダイニングを作る。

まりあ『じゃあ…ここ出ようか。』

マヤマ『だが断る。』

カエデ『………。』

シイナ『…ああ、そだな。』

−−−−−

シイナ『と、とりあえず(廊下の)窓開けてみる?』

まりあ『でも今夏じゃないし。』

カエデ『夜でもないし。』

マヤマ『天気いいから湿ってもないと思う。』

シイナ『………。』

 シイナが無言で窓を開ける。

シイナ『…風も無い。』

−−−−−

カエデ『まず“君”を誰にするかが問題ね。』

まりあ『適任がいないわね。』

シイナ『………。』

カエデ『………。』

マヤマ(お前が言うな。)

シイナ『消去法で行こうか…。』

カエデ『要するにコイツといると世界はサイテーだと誤解したまま1日が終わるっていう奴を選んでけばいいんでしょ?』

まりあ『………。』

シイナ『………。』

マヤマ『シビアだね。』

まりあ『とりあえずマヤマさんは確定よね?』

マヤマ『………。』

カエデ『ちょっ。何でよ!』

シイナ『反論したから自動的にカエデもだ。』

カエデ『………。』

マヤマ『……まりなくんもだろ。』

まりあ『………。』

シイナ『えっ、じゃあオレ?みんなオレといると世界はサイコー?オッパッピー?ぬるま湯?』

カエデ『………。(何だよ、そのテンション)』

マヤマ『………。』

まりあ『だから消去法だっつってんだろ。』


−−−−−

まりあ『分からないわあ。』

カエデ『ほんと分からない。』

シイナ『マヤマン分かります?』

マヤマ『いや全く分からないよ。』

まりあ『………。』

カエデ『………。』

シイナ『………。』

マヤマ『………。』

−−−−−

シイナ『ほんとのことって?』

マヤマ『さあ?』

まりあ『カエデ実はパット5枚じゃなくて6枚だったんですよ。』

カエデ『まああああああありいいいいいいいあああああああ!!!!!!』

−−−−−

 席に戻る4人。

まりあ『これを青春と呼ぶらしいです。』

マヤマ『奥が深いんだなあ…。』

カエデ『でも良かったね、シイナ。青春がいったい何なのか分かって。』

シイナ『いや、まだだ…!』

 3人がシイナに目を向ける。

シイナ『2番がある…!!』

まりあ『………。』

カエデ『………。』

マヤマ『………。』


−中略−

 4人はTシャツに着替えた。

まりあ(少し汗ばんだTシャツで…。)

シイナ(少し汗ばんだTシャツで…。)

カエデ(少し汗ばんだTシャツで…。)

マヤマ(少し汗ばんだTシャツで…。)

全員『いや。』

ぼそり

×××『それに嫌でも明日会うし。』

まりあ『今、言ったの誰だ。』

−−−−−

カエデ『私たちは“牛に願いを”を応援しています。』

シイナ(白々しい…。)

マヤマ『僕見てないから分からな』

まりあ『ヨーグルトでも作ろうか。』


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