21。 マヤマwithゴーストバスターズ
−文芸部−
シイナ『ちょっ。何やってんですか。』
ぺたぺた。
マヤマ『見れば分かるだろう。お札を貼ってるんだよ。』
まりあ『何でまた。』
ぺたぺた。
マヤマ『いやね。一連の心霊現象も考えてみれば、この部室は北東に位置してるんだ。つまり鬼門の方角なんだよ。陰陽道では霊や鬼が出入りすると言われていて万事に忌むべき方角だとされているのさ。』
シイナ『だからお札を…。(何だその説明口調は。)』
ぺたぺた。
マヤマ『そういうこと。うー、身震いがする。』
カエデ『マヤマさんをここまで苦しめるなんて……霊の奴…絶対に許さない…!!江原に言いつけてやる!マヤマさん。私もお札貼り、手伝います。』
マヤマ『ありがとう。カエデくん。』
カエデ『一緒にがんばりましょう。』
マヤマ『ああ。』
2人は堅い握手を交わした。
まりあ『……………。』
シイナ『……………。』
※ちなみにカエデはマヤマの言う心霊現象こと“いつも感じる視線”が、実際は霊の仕業ではなく自分の仕掛けた盗聴器や隠しカメラの視線だという事に気づいていない。と言うよりも本人は隠しカメラと盗聴器があるからこそマヤマの身に何か良くない事が起こっても自慢のヘリですぐに駆けつけ助けてあげる事ができると考えているらしい。つまりバカ。
そして1時間後、室内は謎のお札で埋め尽くされた。
まりあ『いったい何の呪い部屋だ。』
マヤマ『よしっ。これなら安心だろ。次は教室だな。じゃあ、みんな行こうか。』
まりあ『何、私たちが普通に手伝う前提で話してるんですか。』
マヤマ『嫌なのかい?』
まりあ『……やります。』
マヤマ『シイノくんは?』
シイナ『喜んで。』
まりあ『…………。あーあ。NOと言える日本人になりたい。』
マヤマ『あれ?まりなくんはこりん星人じゃなかったの?』
まりあ『ちげーよ!一緒にすんな!誰がりんごももか姫だ!』
シイナ(似たようなもんだろ。)
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−3年A組−
♪〜♪〜♪〜
「…ねえ、何か聴こえない?」
♪〜♪〜♪〜
「え、何?」
♪〜♪〜♪〜
「ほら。」
耳をすますと、どこからか“あの霊退治をする映画の主題歌”が聴こえてくる。そしてそれが段々大きくはっきりと。間違いない。何かが近づいて来ている。
♪〜♪〜♪〜
「こ、このリズミカルな音楽は…!」
「これって…。」
♪〜♪〜♪〜
「あー…だめ…我慢できない…。」
「ちょっ、ダメぇ!!」
「誰を呼ぶ!?」
そしていきなり教室の扉が開いた。
まりあ『ゴーストバスターズ!!!(←曲に合わせて)』
シイナ『…………。』
カエデ『…………。』
マヤマ『…………。』
「……あーあ……。ダメだって言ったのに。」
まりあ『マシュマロマンはどこだぁ!?』
「いないよ。」
「……ねえ真山くん…一体何してんの…?」
マヤマ『霊退治。』
「……その子たちは?」
マヤマ『ゴーストバスターズ。』
シイナ、カエデ(一緒にされた……!!)
マヤマ『という訳だから、みんな手伝ってよ。』
ぼそぼそ。
「どんな訳だよ。」
ぼそぼそ。
「せめて斯く斯く然々ぐらい言えや。」
マヤマ『……………。』
「じゃあマヤマ始めようか。」
「ちょうどそういう事やりたい年頃なのよねぇ。」
こうして教室に残っていたクラスメート数名はマヤマの無言の圧力により“霊退治”とやらを手伝わされる羽目となった。
一見すると困っている友人をクラスメートや後輩が自分の事のように親身になって助けてくれる(マヤマの思い込み(カエデは除く))。そんな微笑ましい光景のように思えるが、まさにこの状況こそが“緊急事態”だということに誰も気がついていなかった。ある2人を除いて。
シイナ(まずいな…。さっきは何とか大丈夫だったけど…。この人数じゃ…。)
まりあ(カエデの仕掛けた盗聴器や隠しカメラがマヤマさんに見つかったら…。)
マヤマの用意したお札を全員で教室中にぺたぺた貼っていく。まりあとシイナは何事も無いよう祈りながら。
−数分後−
マヤマ『あれ?何だこれ?』
シイナ(やばい!!盗聴器でも見つかったか…!?)
マヤマ『ハンカチ……か……?』
マヤマが見つけたのは薄汚いハンカチだった。広げてみると端っこに名前らしい刺繍がしてある。
WATANABE
マヤマ『マ、タ、ナ、ベ。』
「あっ!真山くん!それ私の!ずっと探してたの。20日ぐらい前から。」
「…汚ねえ…。もはや雑巾じゃないか。」
マヤマ『何だ。ワタナベのか。お前、字コレ間違えてるぞ。』
ワタナベさんは一言『ありがとう』とだけ告げハンカチを受け取った。
シイナ(書けないだけじゃなくて読めもしないのか。そして誰もその事について触れない。…あっ、逆恨みされて下手に弱み握られるのが嫌なだけか…。妥当な判断だ。ふーっ。それにしてもびっくりしたなぁー。ったく。そもそも何でオレがこんなドキドキしなきゃいけないんだよ。)
マヤマ(…ワタナベ……?そういえばあの時の1年も…。たしか……ワタナベアン…)
カエデ『マヤマさん?どうかしました?』
マヤマ『…え?あ、いや、何でもあらへんよ。』
カエデ『…………。そうですか。』
1時間後、祈りが通じたのか何も発見される事なく無事、終了した。そして呪い部屋2号が誕生した瞬間だった。
「私、明日この教室に入るのが怖い。」
「明日の朝、悲鳴が学園中にこだまするな。うん。」
マヤマ『みんなありがとう。本当にありがとう。いい死に方するよ。もう帰っていいよ。』
無事解放されたクラスメート達は逃げるように教室を飛び出して行った。どさくさに紛れ、まりあとシイナも教室を後にしようとする。
マヤマ『まりあエリザベス、椎名明人。君たちは…』
反射的に動きを止める2人。
まりあ『やだなあ、マヤマさん。私たちは帰ろうとしたんじゃないですよ?ねえシイナ。』
シイナ『そうですよー。話の流れから言って次はマヤマンの自宅でしょ?マヤマンの身の安全のためにも一刻も早く向かわねばと思った次第でございまするよ。はい。』
カエデ『えっ!?マヤマさんのご自宅に(正式に)お邪魔していいんですか?』
マヤマ『よーし!僕たちみんなの力で幽霊を追い払おう!』
カエデ『おー!!』
まりあ『……………。』
シイナ『……………。』
マヤマ『……………。』
まりあ、シイナ『おーーっ!!!』
−−−−−
−−−
−
♪〜♪〜♪〜
「あら、何か聞こえない?」
♪〜♪〜♪〜
「これは…もしかして昔よく観た映画の…?」
♪〜♪〜♪〜
「青春時代を思い出すわぁ。」
♪〜♪〜♪〜
まりあ『♪アンインビジブルメェェン♪』
シイナ『ついに一緒に歌い出した。』
♪〜♪〜♪〜
まりあ『♪スリィィピンユアベッッ♪』
マヤマ『ちょっ。やめてくれよ、恥ずかしいな……。』
♪〜♪〜♪〜
まりあ『Ohhhhhh!!!♪フユゴナコォォル♪』
「ゴーストバスターズ!!!」
シイナ『ひぃぃぃっ。その世代と思われる人たちが現れた!!!』
Ghostbusters
Ray Parker,Jr.
Ghostbusters!!!
If there's something strange in your neighborhood
Who you gonna call?
Ghostbusters!!!
If there's something weird and it don't look good
Who you gonna call?
Ghostbusters!!!
I ain't afraid of no ghost
I ain't afraid of no ghost
If you're seeing things running through your head
Who can you call?
Ghostbusters!!!
An invisible man sleeping your bed
Oh, Who you gonna call?
Ghostbusters!!!
I ain't afraid of no ghost
I ain't afraid of no ghost
Who you gonna call?
Ghost busters!!!
If you're all alone, pick up the phone And call
Ghost busters!!!
−マヤマ家−
マヤマ『母さん、ただいまー。』
シイナ『おじゃまします。』
カエデ『(正式に)おじゃまします。』
まりあ『おじゃましまうま。』
「翔。お帰りなさい。あら?今日はアズサちゃんは一緒じゃないの?。」
まりあ、シイナ(………アズサ………?)
マヤマ『何言ってんだよ。アズサは関係ないだろ。』
カエデがすかさず口を開いた。
カエデ『初めまして。私たちはマヤマさんの後輩でもあり友人でもあり、はたまたそれ以上の仲でもあり、とにかくマヤマさんとは“一番”仲良くさせていただいてるんですよ。そりゃあもう“一番”仲良く。』
まりあ『(何だ、そのセールスマンみたいな喋り方は)初めまして。この中ではマヤマさんと“3番目”に仲のいいまりあエリザベスです。まりエリって呼んでください。』
「ユリマリ?…今何してるのかしら。」
シイナ『オレも同じくマヤマさんと“3番目”に仲良くさせてもらってる椎名です。』
「まあ、同率なのね。」
カエデ『そして私がマヤマさんと一番仲良くさせていただいている楓藍です。なぜだか初めて会った気がしませんね。』
「ほんとに。あなとは何だかいつも一緒にいるみたい。」
カエデ『まあ、お母様ったら。』
マヤマ『さあさあ。玄関で立ち話も何だからみんな上がってよ。水ぐらいは出すから。』
シイナ(……ここまで連れてきといて、水だけ……。)
「まあ翔、何て事言うのよ。せっかくわざわざ来ていただいたのに水だけなんて申し訳ないでしょう。
醤油もつけますね。」
シイナ(…もはやどうしろと…。)
「さあ皆さんとにかく上がって。」
シイナ『おじゃまします。』
カエデ『(正式に)おじゃまします。』
まりあ『おジャ魔女どれみ。』
マヤマはまりあの足元に目を落とす。
マヤマ『ちょっ。まりなさん。靴は脱いでいただけますか?』
まりあ『そうじゃないでしょ!“欧米かっ!”でしょ。ツッコミどころじゃない!まったくもう今時の若い子は…。ブツブツ…。』
マヤマ『君のが若いだろ。コラコラ。奥へ進むな。戻ってきなさい。』
まりあ『いやー素晴らしい扉の取っ手ですねー。』
マヤマ『(渡辺篤史に)似てねえよ!!』
−−−−−
−−−
−
マヤマ『ではこれから、マヤマwithゴーストバスターズによる、“霊なんていらねえよ、初夏2007”作戦を開始したいと思います。』
まりあ『……はーい……(←無理やり靴を脱がされたので不機嫌。)』
シイナ(帰りたい。)
マヤマ『では各自、手分けしてお札を貼っていきましょう。尚、家の母親はこの前飼い犬のサムさんにジャーマンスープレックスをしかけた際、持病のヘルニアが悪化したため残念ながら見学とさせていただきます。ご了承ください。』
まりあ『あの母ちゃんさっきサンバ踊ってなかった?』
シイナ『……犬に何してんだよ……。』
カエデ『さっ!2人共、今は亡きお母様のためにも私たちが、がんばりましょう!』
シイナ『まだ生きてるから。』
−−−−−
−−−
−
−30分後−
ぼそぼそ。
まりあ『ちょっと、カエデ。カエデ!』
ぼそぼそ。
カエデ『何よ、まりあ。トイレなら扉出て右曲がって…』
ぼそぼそ。
まりあ『違うわよ!あんた一体この家には隠しカメラ何個しかけてんのよ。』
ぼそぼそ。
カエデ『えーっ?そうね……分かんない。』
ぼそぼそ。
まりあ『分かんないってあんた。』
ぼそぼそ。
カエデ『心配無いわよー。だって…。』
マヤマ『こっ…これは…!!!』
まりあ(やばい…!!見つかった……!?)
マヤマ『不二家のミルキーじゃないか!!ちょっ!おかあーさぁーーん!!だめだってコレ!!え?何?ミルキーはママの味?オメーの母ちゃん60越えてんだろが!!!』
まりあ『はぁー。』
マヤマ『えっ?』
まりあ『いやっ、何でも…。(何で私がこんなドキドキしなきゃいけないのよ。)』
−さらに30分後−
マヤマ『何だこれは!!!』
シイナ(げっ!…ついに見つかったか……!?)
シイナはマヤマの声が聞こえてきた2階へと駆け上る。
マヤマ『シイノくん!ちょっと見てくれ!!』
マヤマはある部屋の入り口に呆然とした様子で立ち尽くしていた。シイナがマヤマに気を配りながら室内へ目を向けると、その部屋は床一面、土足の足跡で埋め尽くされていた。
シイナ『……どっ、泥棒……。』
マヤマ『違うっ!!!まりあエリザベス出てこい!!コォラァ!!!オノレまた部屋ん中で靴履きやがったなぁ!!!ここはアメリカじゃねぇんだよぉぉっっ!!!どこじゃっボケッ!!!』
シイナ(……うわー、キレたよ……)
−−−−−
−−−
−
カエデは1階でお札を貼りながら盗聴器の電波を小型レシーバーで受信しイヤホンで聞いていた。
カエデ『怒るマヤマさんもやっぱりかっこいいなぁ。』
まりあ『と言うか、わざわざそんなのつけなくてもあんだけでかい声で怒鳴ってるんだから充分聞こえるでしょ。』
カエデ『どうでもいいけどあんたほんとに靴脱ぎなよ。』
こうしてただ時間だけが過ぎ無事何事もなくマヤマwithゴーストバスターズの霊退治は終了した。
−次の日、文芸部−
まりあ『お札貼って何か変わりました?』
マヤマ『何も。かえって気味が悪くなっただけだよ。』
シイナ(だろうな。)
カエデ『えぇっ!?お札効き目なかったのかな…?』
まりあ『所でこのお札はどこから?』
マヤマ『えっ?手書きだけど。』
シイナ『…………。でしょうね。』
−後日談−
まりあ『そう言えば何でカエデは隠しカメラも盗聴器も見つからない自信があったのよ?』
カエデ『…………。』
まりあ『何か言えよ!!』
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