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2。 シイナの窓際の席
 まりあは反射的に手を引っ込めた。

シイナ『ご…ごめん。』

まりあ『…あなただったんですか……。』

シイナ『え?何が?』

まりあ『…ジャック…!!会いたかった…!』

 ガバッ。まりあは助走をつけてシイナに抱きつこうとしたが呆気なく交わされた。

シイナ『ひぃぃ。ジャックって何?豆の木?この木何の木気になる木?』

まりあ『私よ!私!ローズよ!一緒に船の甲板に立って変わったポーズとったじゃない!!』



「……タイタニックかよ……」



まりあ『身分の雲泥の差から泣く泣く私たちは結ばれる事はなかった…。でもほら…!!今こうして生まれ変わってまたあなたに逢えた!!奇跡よ!』

シイナ『そ…そんな……オ…オレの前世は……ジャック・ドーソン…だったのか……!ピーマンじゃなくてよかった……!』


「たぶん後者だと思う。」



まりあ『そう…やっと思いだしてくれたのね…。そして私はケイト・ウィンスレット…!』



「…………………。」



シイナ『ケイト…!!』

ガバッ。

まりあ『Oh!ディカプリオ…!!』

ガバッ。

 二人はきつく抱きしめあう。


「よぉ〜〜〜〜っひぃ〜〜〜〜っ」
←MY HEART WILL GO ON



シイナ『だから歌うなっ!』


 まりあはシイナの机をどかしている。


シイナ『……。まりあちゃん。お遊びはここまでだ…。』


まりあ『………………。』


 まりあは机から手を放し、ただじっとシイナの目を見ている。


シイナ『な、なんだよ…。オレだって嫌だぞ。オレだってこの席…気に入ってるし……。』

まりあ『えっ……。』


シイナ『…好きなんだよ…。ここから見える景色が…。東京にもまだ、こんな青く広がる空が見れる場所があるなんてさ…。』


「曇ってるけど…。」



シイナ『今日はたまたま!と、とにかくそういう訳だから。この席はゆずれないよ。』


 まりあは少し黙ったまま何かを考えているようだった。そして一度だけ浅くため息を吐いた。

まりあ『……………。わかりま…』


「まりあちゃん。」


 まりあが声の聞こえてきた方へ振り返ってみると、どうやら声をかけてきたのはシイナの後ろの席の女子のようだ。


 まりあはかわいく見せようと首を少し傾けてみせた。(もう遅い)


「私の席でよかったら交換してあげるよ。」

 女子はにこりと微笑んだ。

まりあ『えっ。』

 まりあの表情がみるみるうちに明るくなる。


まりあ『本当ですか?ありがとう!ありがとう!本当にありがとう!脇役にするのはもったいない逸材ですね!』


 まりあは再びシイナの方へと向きを変えた。


まりあ『という訳でよろしく。シイナくん。』

 まりあは手を差し出す。


 シイナは満更でもない表情を浮かべて考えてるフリをしてから『よろしく』とだけ答え、まりあと握手を交わした。






「なー本当に席交換しちゃって良かったのかー?」
「おまえも窓際良かったんじゃないの?」
「いいのいいの。だってあの2人見てるとおもしろいじゃん。」
「ホント。変わった子入ってきたねー。自称魔法少女まりあ、、、か。」
「そもそも何であの子そんなに窓際が良かったんだろ。」
「もしかしたら最初から……。」
「あるかも。」
「これから楽しくなるといいな。」
「なるなる。ならない訳ないでしょ。」
「あの二人がいるんだもん。」





 椎名明人。通称、シイナ。
彼は(自称)魔法少女まりあの記念すべき第一人目の被害者。


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