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19。 まりあのプレゼント
シイナ『倉木麻衣、昔の髪型のがかわいかったなあ。』


カエデ『……………。』


まりあ『もうすぐゴールデンウイークだねえ…。』

シイナ『え、何言ってんだよ、まりあ。ゴールデンウイークならもう終わったろ。』

まりあ『はっ?』

カエデ『そうよ。みんなであんな所やこんな所に行ったり』

シイナ『あんな事やこんな事したりで楽しかったよなあ?』

カエデ『ねえ。』

まりあ『………。』


シイナ『まりあなんか熊の手は高く売れるとか言い出して怯える熊をチェーンソーで無理やり…』


カエデ『はたまた、嫌がるマヤマさんを冗談に見せかけて本気で滝壺に蹴り落としたり、まあその後、私もあんたを滝壺に蹴り落としたけど……』





まりあ『…一体どこに行ったのよ。でも何かそう言われればそんな事したような気がしてきた……。』


シイナ『まあつまり、今日は5月8日。そろそろ5月病の症状が出てくる頃だな。』

カエデ『そういえば何だか鬱になってきた。』

シイナ『あーもう何もやりたくない。猫になってもいいかも。まりあ勝手に話進めて。』



まりあ(…こいつら…。)



 まりあは突然、奇妙な手つきで頭を揉み始めた。


カエデ『…………何してんの?』


まりあ『えー?見れば分かるでしょ。脳の活性化よ。今、集中してるんだからちょっと黙ってて。』



 シイナが小声でカエデに問いかける。


シイナ『あれで活性化されんの?』


カエデ『たぶん頭皮のマッサージで終了だと思う。』



 まりあは唸りながら悩ましい表情を浮かべている。


まりあ『ぽ!』



 まりあは何かを思い出したのか笑顔になり自分のバッグの中を探り出した。

カエデ『…ちょっとどうしたのよ?何か探し物?』


シイナ『“ぽ!”って何だよ。』


カエデ『………え……練りわさびに懐中電灯にグラスに……。ちょっ。グラスは分かるけど何よ!わさびや懐中電灯は!……ん……?わっ!!!…く、熊の手……!?!?……1、2、3……しかも奇数………!!!』


 まりあのバッグの中から色んな物が次々と出てくる。



シイナ『鮭の切り身に………んっ……変な匂いする………超熟6枚切り一袋……マーマレード…あんこ……に、鶏の足………?……ひっ!!!め、目玉………!!』


まりあ『大丈夫よ。マグロのだから。』


シイナ『何が大丈夫なんだよ……。』


カエデ『ほんとドラえもんか!!!』


シイナ『…ドラえもんに失礼だし。』



カエデ『ちょっと。ほんと一体何探してるのよ?』


まりあ『えへへ。ちょっとね。』





−5時間経過−

 まりあはいまだにバッグの中を探している。シイナとカエデはそんなまりあをただ見ている。


シイナ『この5時間の間に授業があったり移動教室があったりしたけど誰も何も言わなかったね。』

カエデ『この前のショータイムの時からみんなどこかよそよそしくなったよね。』

シイナ『もう放課後だし。』



まりあ『あった!!!』



 シイナとカエデが目を向けると、まりあの手には小さな石が握られていた。


カエデ『それって……もしかして鉱石?』


まりあ『そっ。パワーストーン。ゴールデンウイークに自由行動で行った鉱山で見つけたの。』


カエデ『(覚えてんじゃねえか。)自由行動っていうかあんたが一人で行方不明になってただけでしょ…。しかもあんた鉱山て……。』


シイナ『それ。きれいな石だね。』


まりあ『はい、シイナ。』


 そう言うとまりあは得意の笑顔でパワーストーンをシイナに差し出した。


シイナ『え?オレにくれるの?』



まりあ『遅くなっちゃったけど誕生日プレゼント。何も用意してなかったし…。』


 まりあは申し訳なさそうな表情を見せるが、シイナは本当に嬉しそうで石とまりあを交互に眺めている。


シイナ『ありがとう。これは何て石なの?』


まりあ『クリスタル。まあ水晶ね。』


シイナ『へえ…。で、意味は?』



まりあ『万能の強運石よ。その石と私がいればシイナには怖いものなんてないわ。フフ。』



シイナ『ハハ。確かに頼もしいね。ありがとう。』



まりあ『はい。カエデにはこれ。』

 まりあがもう一つ取り出すとカエデの手のひらに乗せる。


カエデ『え?私にも?』


シイナ(え、オレの誕生日プレゼントじゃなかったのかよ。)



カエデ『…わー…きれいな石…。これアメジストね?でも…これって2月の誕生石よね?私誕生日は6月なんだけど…。』

まりあ『まあ確かに水晶は4月の誕生石でシイナと合ってるけど、これは誕生石としてじゃなく飽くまでも一種のパワーストーンとして渡してるの。』

カエデ『そっか。ごめんごめん。ねえねえ、アメジストの意味はなんていうの?』


まりあ『そ、れ、は…カエデの隠れた魅力を引き出してくれるのよ。早くマヤマさんにその魅力、気づいてもらえるといいね。』



カエデ『…まりあ…。』



まりあ『文芸部行こっか。マヤマさんにも石、渡さなきゃ。』

シイナ『ああ、そだな!』

カエデ『うん!で、まりあ。マヤマさんには何の石あげるのよ?』

 3人は教室を出て部室へと向かう。

まりあ『ローズクォーツだよ。』

シイナ『へえ。その石はどんな意味なの?』

まりあ『ローズクォーツはね、………愛の女神、ヴィーナスの石なのよ。』

カエデ『えー!ちょっ。もうー。まりあはー。』

まりあ『何よ?怒ってるの?』

カエデ『いや、嬉しい。』


シイナ『それより一番大事なまりあ自身の石は?』


まりあ『私?私はね……。』


 まりあはポケットに手を入れ中身を取り出す。


カエデ『……えーと、電球に、なめこに、はさみに、チクワに、チワワに、チョコワに………あ、どうもウチの商品をありがとうござ…………ってこれケロッグじゃん!!!うちケルビーだから!!!』


シイナ『みんなもチョコクリスピーを食べよう!!(営業スマイル)』


カエデ『だからチョコクリスピーはケロッグだろーが!!!ウチはチョコパフィだっつの!!!!!』



まりあ『あったあった。』



 ようやくまりあは石を見つけ出した。


カエデ『へえ…。やっぱりきれいだね。』

シイナ『その石は何ていうの?』

まりあ『“瑪瑙メノウ”よ。名前の由来は馬の脳みそに似ているかららしいわ。でも実際に馬の脳みそなんて見たことないから似てるかどうかなんて分からないじゃない?そんな全国の皆さんの疑問にお答えするべく、今回私まりあエリザベスはMY鉈なたを持参し、深夜、武豊さんのご自宅に忍び込み』

カエデ『ちょっ、あんた本当何やってんのよ。』

シイナ『武豊の自宅に馬はいないだろ……。っていうか武豊の自宅に鉈持って忍び込むなよな…。』


まりあ『とりあえず“武豊の脳みそ”は“メノウ”とは似ても似つかなったわ。』


カエデ『……………。』

シイナ『……………。』


カエデ『何で馬がいないって分かった時点で帰らなかったのかが不思議……。どんだけチャレンジャーなのよ。』

シイナ『もはやレクター教授の域に達している…。』


まりあ『おいしかったです。』

シイナ『喰ったのか!!!』



まりあ『……メノウの意味は……。』



カエデ『また何事もなかったかのように話進めやがった…。』



まりあ『……願いを叶える……。』



シイナ『……願い……?』



まりあ『もちろん、ずっとみんな一緒にいられるようにね。』



 シイナとカエデはお互いに目をやると2人揃って軽くため息をついた。


シイナ『……バカだなあ。そんなのわざわざ石に力借りるまでの事じゃないだろ。』

カエデ『そうよ。前にも約束したでしょ?』



まりあ『だよね。ありがとう。シイナ。カエデ。』



 まりあはポケットから別のパワーストーンを2つ取り出す。


シイナ『それは?』


まりあ『これは“ソーダライト”と“シトリン”よ。』

カエデ『で、誰のための石?』


まりあ『…それは、まだ言えないなあ。』



シイナ『もったいぶらないで教えろよー。(あと2人入るのか…。)』

まりあ『だめだよーん。』



カエデ『“だめだよーん”て……。』



−文芸部−


シイナ『もう帰ったみたいだね。』

カエデ『…………。』

まりあ『…………。』






カエデ『そもそも何で旅行中に渡さなかったのよ?』

まりあ『さあ?』


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