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18。 IT'S SHOW TIME!!!
まりあ『……分かった。分かったから早くこっちへ戻ってきてよ。』


 シイナはそっとまりあから目をそらした。


シイナ『もう無理なんだよ、まりあ。』


まりあ『何バカな事言ってんのよ!あんた私を信用できないの?』


シイナ『信用?……そんな言葉知らないな。』


まりあ『…シイナ…。』


シイナ『オレはたった今、もう一度感情を全て捨てた。

悪魔と契約をしたんだ。

これでもう何も考えなくて済む。やっと解放された。本来の自分に戻れた。……でも不思議だな…。やっぱり心を持ってないと恐怖も感じない。…当たり前か…。きっと…ここから飛び降りたって何ともないんだろうな……。

そしてまりあ。僅かな感情が残る今、君に伝えたい事がある…。』



 シイナはまりあの目を見据えたった一言の言葉を贈る。



シイナ『ありがとう。』



 そう言い残すとシイナは一同に背を向け視線を下に落とした。



「大変!!悪魔は、感情を失ったシイナくんの心につけ込んでシイナくんの命さえも奪おうとしてるのよ!!!」



カエデ(よく分かんないけど、いいぞギャラリー。)





 緊張感が走り、周りがざわつきだす。そんな中、1人冷静なまりあが(カエデはきょどってるフリをしてる)シイナにこう言い放った。



まりあ『死にたきゃ死ねばいいでしょう。』



 シイナが無言で振り返りまりあに目を向けた。


カエデ(まーたこのトラブルメーカーは…。……トラブルメーカーって死語かな……?)



まりあ『シイナ。悪魔なんかに耳を貸すようじゃあんたもまだまだね!死に急ぐにはまだ早いんじゃない?そんなの100年後、200年後で充分よ!放課後、文芸部へいらっしゃい。悪魔の囁きなんか簡単に打ち消しちゃう、とっておきの呪文、唱えてあげるわ!』



 その時、上空から何かがこちらへ近づいてくるのが見えた。


「何だあれは!?」

「鳥か!?」

「飛行機か!?」

「いや!ヘリコプターだ!!」



 一台のヘリコプターが学園へ向かってくる。どうやら騒ぎを聞きつけたテレビ局のようで、中から身を乗り出し中継をしている川田亜子が見えた。


「あー川田亜子だ。」

「へー。じゃあTBSかあ。」

「でもヘリコプター、日テレって書いてあるよ。」

「そういえばフリーになったって言ってたね。」

「きっと何かあったんだろうね。」

「ね。」



 川田亜子(を乗せたヘリコプター)が狂ったようにどんどん学園へ近づいてくる為、屋上には突風が吹き荒れる。



シイナ『…まさか…』



 シイナは突風にあおられバランスを崩し

落ちた。

(シイナは期待を裏切らない。)



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    |

  ||    シ
  ∨  ← イ
 \||/   ナ
  ○



まりあ『でーーーーーっっっ!?!?!?図で分かりやすい!!!!!』



カエデ『大丈夫よ。』

まりあ『えっ!?』

カエデ『こんなこともあろうかと思ってね。』


 まりあは目を丸くしてカエデを見ている。



カエデ『ハイドロポンプで宙に花咲け!!!』



 カエデが意味不明な言葉を叫んだ瞬間、下方から巨大なホースを持った何やら怪しい男、数人が現れ、合図を受けると一斉に水(?)を噴射する。その中の一つが空中のシイナを直撃した。そしてその水(?)の勢いは留まることなく、遂には屋上にまで降り注いだ。



「天の恵みだわ……。」


まりあ『下からきてんだよ!!!………ん?何これ!!ちょっとカエデ!これ水じゃないじゃない!!!』





カエデ『栄養満点の海に飛び込めェェ!!!』





まりあ『聞いてんのか!!!』



 はたまた上空には川田亜子(を乗せたヘリコプター)とは別のヘリコプターが何台も集まってきており、すごい量のトッピンチョコをばらまいている。一瞬の内に校庭は辺り一面トッピンチョコで埋まった。そしてシイナはトッピンチョコに吸い込まれるように消えていった。



「ひぃぃぃぃぃっっ。トッピンチョコとシイナくんの神隠し。」



カエデ『ふふふ。どう?真下からの水圧で落下速度は落ち、クッション代わりのトッピンチョコの海へダイブする。名付けて“シリアルとジュースの出逢い、牛乳は無いけど1人の男を添えて”作戦。』



まりあ『バカかおめーは!!!』



 まりあはカエデを(グーで)一発殴ると急いでシイナを救助しに向かった。


カエデ『ちょっと!待てコラ!何度も言うけど牛乳はねーぞ!!ウチじゃ扱ってねえからなあ!!!』


 カエデもまりあの後を追いかけ走り出す。



 教師たちが深くため息をついた。園長と春木を除いて。


「とうとうやってくれましたね。」

「本当どうなさるおつもりですか?園長。」

「………。」

「ふふふ。」

「…ちょっと。春木先生?不謹慎ですよ。」

「ハハハハハ。」

 春木はお腹を抱えて笑い出した。

「アハハハハハ。」

 そんな春木をまた、教師たちが呆れた様子で眺めている。ただ1人、園長を除いて。



−−−−−

 トッピンチョコの中からチョコまみれのシイナを見つけ出し、3人はとりあえず保健室へと向かう。


シイナ『ほんと…何でこんな目に……。』

カエデ『制服もアクエリアスでベタベタだし…。』

まりあ『お前がやったんだろーが!!!(やっぱアクエリアスかよ。)まったく…。いいからもう一度よく制服を見てみなさいよ。』

カエデ『…あれ?制服が乾いてる。』

シイナ『あれ、オレも元通りだ。まりあも。』

カエデ『もしかしてまりあが魔法で?』


まりあ『違うわ。所詮物語だから何でもありなのよ。』


カエデ『…ああそう…。それよりもマヤマさんが行方不明なんだけど……。』


まりあ『えっ…!?大変…!!キャルンキャルンに襲われているのかも……。シイナ!マヤマさんを探してきて!!』


シイナ『……わかったよ。(とことん迷惑な奴だな。)』


 2人は走り去るシイナを見届ける。


カエデ『マヤマさん一体どこに……。』

まりあ『マヤマさんなら大丈夫よ。とにかく私たちは急がないと…!』

カエデ『え?ちょっと。おい。』



−−−−−

−−−







 その時、上の階の方からカエデの叫び声が聞こえてきた。



カエデ『ちょっと!!シイナ!!何やってんのよ!!!』



まりあ『カエデ!?』


 まりあは家庭科室を飛び出していく。



マヤマ『3代目、金田一は僕だな。(亀梨は無かった事にしている。)待ってろ。美雪。』



 マヤマもまりあの後を追おうと家庭科室を出た時だった。しかしそこには途中で引き返してきたのか、待ち伏せていたのかは知らないがまりあが立っていた。


まりあ『急遽、予定変更です。マヤマさんはどこかで時間を潰してもらっていていいですか?』

マヤマ『えっ?』

まりあ『後からシイナがマヤマさんを探しに行きますから、その時に2人で文芸部の部室へ戻って来てください。』

マヤマ『ちょっ。』

まりあ『大丈夫ですから。よろしくお願いしますね。』

 まりあは微笑み頭を下げると階段を駆け上って行く。


−−−−−

−−−





 シイナは各教室などがあるA棟を探していた。しかしなかなか見つからない。少し休憩をしようと考え自分の教室、2−Cへ向かう事にした。時刻は17時30分。騒ぎの事もあり生徒達は既に大半は下校していた。


シイナ(…ついてない1日だったな…。)


 シイナが2−Cの扉を開く。静まり返った教室に1人だけ誰かが残っていた。しかし差し込む夕日が逆光になりその人物が誰だか特定できない。シイナは中に入り近づいていく。


シイナ『なんだ…。マヤマンか…。何してるんですか?こんな所で。』


マヤマ『ああ、シイノくんか。』

シイナ『前から思ってたんですけどオレ、シイナですから。』

マヤマ『ああそう。』

シイナ(ああそうって…。)

マヤマ『じゃあ…とりあえず部室へ行こうか…。』

シイナ『……え、ええ……。』


 2人は教室を出て部室へと向かう。



マヤマ『……まりなくんの事怒っているのかい?』

シイナ『……いえ。機嫌がなおったみたいでほっとしてます。』

マヤマ『ハハ。彼女は突拍子もない事を突然言い出すからなあ…。』


シイナ『ほんと、困りますよ。』

マヤマ『でもシイノくんもカエデくんもまりなくんの事好きだろ?』

 シイナははっきりとした答えを示そうとせず、お茶を濁すかのようにマヤマに答えた。


シイナ『マヤマンもでしょ?』

 マヤマは鼻でくすりと笑う。

マヤマ『もちろん。』


 いつの間にか2人は部室の前へと到着していた。


マヤマ『大丈夫だよ。今日は君にとって忘れられない1日になる。もちろんいい意味でね。
扉を開けてごらん。』


 シイナはゆっくりと扉を開いた。彼の目にしたものは…






まりあ・カエデ『誕生日おめでとう!!!シイナ!!』






シイナ『……………。』

 シイナは驚きのあまり声にならない様子で呆然と立ち尽くしている。


マヤマ『何してるの?ほら。中に入って。』

 マヤマも嬉しそうな顔をしてシイナを中へと引き連れて行く。



 中に入ると朝一で家庭科室の冷蔵庫にでも閉まっておいたのだろう、見ただけで手作りと分かるどこか不格好なバースデーケーキに、お菓子とジュースがたくさん。時間がなかったのかちょっとまだらな室内の飾り付けがシイナを出迎えてくれた。



 今日、4月30日は椎名明人の17才の誕生日。
数日前にカエデからそれを知らされたまりあはマヤマと3人でサプライズパーティーを計画する。
しかしただ驚かせるだけではつまらないとまりあは考えシイナに対して当日冷たい態度を取る事により、サプライズが2倍にも3倍にもなるのではないかと考えた。しかしいざ実行してみるとまりあの冷酷な眼差しや言動に、演技だと分かっているカエデでさえたじろんでしまう始末。度を越えていると判断したカエデはこれ以上シイナを傷つけさせないためにあのショータイムを思いついた。



カエデ『おめでとう。シイナ。』

マヤマ『おめでとう。シイノくん。』



まりあ『誕生日おめでとう。シイナ。』



 まりあはとびきりの笑顔をシイナに向けた。


 3人の想いも思いも寄らないサプライズも不格好なケーキもまだらな飾り付けも全部が全部シイナの涙腺をゆるませる。


シイナ『…みんな……。』


まりあ『…シイナごめんね……。ちょっとやりすぎたよ……。』

シイナ『ちょっとじゃねーよ…。』

カエデ『ほらほら泣かない泣かない。みんなでケーキ食べよう。ねっ。』

マヤマ『紅茶でも淹れようか。』

カエデ『あっ、私手伝います。』

 カエデが2人に目を向けると、まりあが泣き止んだシイナにケーキを『あーん』と言って食べさせようとしていた。(しかしシイナは照れがあるのか頑なに拒否している。)



カエデ(ほんと…世話がやけるんだから…。)

マヤマ『どうしたんだい?カエデくん。』

カエデ『あっ、いえ、何でも…。』





まりあ(ありがとね。カエデ。)





−−−−−

−−−



 時間も時間という事で4人は場所を変える事にした。


シイナ『じゃあこれから家来る?』

カエデ『いいね!!シイナの家でパーティーの続きだ!!』

まりあ『マヤマさんもね!!』

マヤマ『え?ボクもいいの?』

シイナ『もちろん。』



 校舎を出ると川田亜子(ヘリコプターから出た)がまだ中継を続けていた。



「あっ、すみません。お名前聞かせていただいていいですか?」


まりあ『蛯原友里です。』


シイナ『ついに自分から言っちゃったよ。しかも迷いなく。』


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