12。 目指せ!文芸部
休み時間、シイナはカエデの机を運んでいる。
シイナ『ふぅー。疲れた。』
カエデ『ありがとう。シイナ。』
まりあ『ちょっと待ちなさいよぉ!!!』
シイナ『どうした?まりあ。』
まりあ『カエデが私たちと席が近くなったのは良かったわよ!でも、』
シイナ『でも、何?』
まりあ『何でシイナの隣の席なのよ!』
シイナ『だってまりあの隣の席のやつが代わるの嫌だって言うから。』
まりあ『あんたそんな事言ったの!?』
「ひぃぃぃ。だ、だってまりあちゃんはボクちぃの太陽だからぁ。そしてボクちぃはまりあちゅわんの周りをぐるぐる回るセーラームーンさぁ。あはあ。」
まりあ『そっか。じゃあ仕方ないわね。まあそれはいいとしても何でシイナがカエデの机わざわざ運んでやってんのよ。』
シイナ『しょうがないじゃんか。カエデが机運ぼうとした瞬間、捻挫しちゃったみたいなんだから。』
まりあ『そんなの嘘に決まってんでしょーが!!』
シイナ『そうなの?』
カエデ『そうだよ。』
シイナ『だったらまりあが魔法で瞬間移動させればよかったじゃんか。』
まりあ『そんな事できる訳ねえだろぉが!!!』
「できないって言っちゃったよ…。」
カエデ『要するに妬いてるんでしょ。』
まりあ『お前が言うな!!!』
シイナ『……………。』
まりあ『…な、何よ……。』
シイナ『……まりあ、考えすぎだよ?』
まりあ『え…?』
シイナ『まりあにとってカエデは何?』
まりあ『………そりゃあ、大事な友達よ。』
シイナ『オレにとってもそうなんだよ。』
まりあ『……………。』
シイナ『だから怒んないの。ね?』
まりあ『でもカエデだって腐っても女の子よ。あんな風に優しくされたらクラッときちゃうかもしれないじゃない。』
シイナ『カエデに関しては問題ないでしょ。』
まりあ『……。』
シイナ『だってほら。』
2人は目を向けると、カエデはバッグから取り出した“センパイ”のアルバムを眺めていた。
まりあ『……ホント、嬉しそうな顔してるね。』
シイナ『一体あの“センパイ”のどこがそんなにいいんだか。』
まりあ『シイナはその“センパイ”と面識あるんだ?』
シイナ『面識って訳じゃないけどね。』
まりあ『私も写真でなら見たことあるけど、実際はその“センパイ”ってどんな人なの?』
シイナ『一言で言うなら変人だね。』
まりあ『この学校はまともな奴いないのか。ところでカエデが大事な友達なら私は何?』
シイナ『後で実際にその“センパイ”のとこに行ってみる?』
まりあ『えー、でも蛯原友里に間違われたらどうしよう。』
シイナ『放課後になったら文芸部のぞいてみようか。』
まりあ『…え、ええ。そうね。』
シイナはトイレへ行くと言って席を立った。
まりあ『…………何だかなあ…………。』
キーンコーンカーン、ブスッ。
「ひぃぃぃっ。誰か刺された。」
「は〜い!今日も気をつけて帰ってくださいです〜。あ、間違えました。では、行ってらっしゃいませ〜。ご主人様〜。」
「……春木彼氏変わったのかな?」
「っていうか彼氏によってキャラ変えるのもどうかと思うけどね。」
まりあ『あれ?カエデは?』
シイナ『いないね。』
まりあ『ま、いっか。ではさっそくその“文芸部の部長”さんとやらを拝見しに行こうじゃありませんか。シイナさん。』
シイナ『そうですね。まりあさん。』
まりあ『手でもつなぎましょうか?シイナさん。』
シイナ『だめですよ。まりあさん。』
「また言ってるし。」
「でもさ、」
「え?」
「実際2人ってどんな関係なんだろうね?」
まりあ『と言うか文芸部ってどこにあんのよ!?』
シイナ『うーん。見当たらないね。職員室行って聞いてみようか。』
まりあ『うん。そうしよ。でも何でそれ早く気づかなかったんだろうね。じゃなきゃ3時間も校舎の中歩き回らなかったのに。』
−職員室−
「ああ、文芸部ね。部室はえーと…、どこだったかしら…。すみません、タランティーノ先生、文芸部の部室はどちらにありましたっけ?」
「文芸部ですか?えっ…そうですねえ……実質一名で活動している部活ですよね。たしか…。」
まりあ『……実質一名……?』
「おお、そうだそうだ。文芸部の顧問なら、たしか春木先生だろう。春木先生に聞いてみなさい。」
まりあ『役立たず。』
シイナ『こらっ。』
職員室を後にするまりあとシイナ。
シイナ『文芸部、春木が顧問だったのか。』
まりあ『と言うかなぜ、どいつもこいつも部室の場所を知らない。まあ実質一名で活動しているらしい部活だから仕方ないのか…?』
シイナ『とにかく教室行ってみよう。たぶん春木まだいるだろうから。』
2人が2−Cの教室に戻ると中は何やらざわついていた。
まりあ『?????(まだいたのか暇だなぁ。)』
シイナ『一体どうしたの?』
「あっ、2人とも。それがね、今、春木のケータイに電話がかかってきて春木が出たんだけどさ、電話の相手、誰からだったと思う?」
まりあ『え、誰からだったの?』
「彼氏よ、彼氏。」
「それがさーどうも別れ話だったみたいで春木ふぇんふぇん泣き出しちゃってよー。」
シイナ『……ふぇんふぇん……?』
まりあ『………。それで、春木先生はどこに………?』
「彼女は亜麻色の髪の乙女のごとく羽のように丘を下り彼のもとへと向かって行ったわ。亜麻色の〜長い髪を〜〜♪風が縦結びにする〜〜♪」
シイナ『歌うな!』
まりあ『ねえ、シイナ。春木いないって。』
シイナ『うーん……。誰かさ、文芸部の部室がどこにあるか知らない?』
「そんなのカエデに聞きゃいいじゃん。」
まりあ(本当にみんなカエデが“文芸部の部長”に片思いしてるの知ってるんだ。)
シイナ『それが見あたらなくてさ。ケータイにメールしても返事ないし。』
まりあ『えっ?シイナ、カエデのアドレス知ってるの?』
シイナ『…え?まりあ知らないの?』
まりあ『知らないわよ。家隣だし、いつも一緒だし。必要ないじゃない。だから私シイナのだって知らないし。あっ!そういえばあんたたち昨日2人っきりで何してたのよ!?私を薬かなんかで眠らせといて!!』
シイナ『(うちの弟、気絶させてダンボールで梱包して疲れて)自分で勝手に眠っちゃったんだろう?』
まりあ『£※ζ§☆√£!!!』
「……あ、あの…私知ってるよ?」
まりあ『え!?何?昨日シイナたちは私を眠らせて一体何をしていたの?神経衰弱?人生ゲーム?それとも長澤まさみのあのしゃべり方について話し合っていたとか?』
「いや…そうじゃなくて…文芸部の部室……。」
まりあ『…………。教えて教えて!』
「う、うん。でも私これから用事あって案内できないから場所、紙に書くね…。」
まりあ『ありがとう。』
カキカキ。
「……………。」
カキカキ。
まりあ『…………。』
カキカキ
「………………。」
カキカキ。
まりあ『…………下手な字。』
シイナ『こらっ。』
文芸部の部室の場所が書かれた紙を受け取ると再びまりあとシイナは教室を出た。
シイナ『どれどれ……あ、そうか!B棟の方にあったのか。』
まりあ『何それ。B棟って?』
シイナ『そういえばまりあが来てからは授業で使った事ないね。まあもともとあまり使わないんだけど。高等部には校舎がA棟とB棟で別れていて教室とか職員室、校長室はA棟にあるんだ。そしてB棟には調理室や美術室、音楽室とかがあるんだよ。B棟には直接繋がってなくて一階の渡り廊下からでしか行けないからさ。』
まりあ『ふーん。何かその話聞く限りだと部室関連はみんなそのB棟にありそうだけどね。』
シイナ『よし。B棟に行ってみよう。』
まりあ『何か単純な答えに随分時間がかかったなあ…。………あ!もしかしてこれが
“本当に大切な人は、一番近くにいた”
って事?シイナは私にこれを気づかせてくれようとわざと…。』
シイナ『何してんの?まりあ、行くよ。』
まりあ『ちょっと待って!チルチル!』
−B棟−
まりあ『何よ。普通に簡単に見つかったじゃない。』
シイナ『しかも普通に“文芸部”って書いてあるしね。』
まりあはさっそく躊躇い無く扉に手をかける。
シイナ『ちょ、まりあ。ストレートすぎるよ。』
まりあ『あ、閉まってる』
シイナ『え?』
シイナは自分の腕時計に目を向ける。
シイナ『げっ。もう8時過ぎだよ。さすがにもう帰ったね。こりゃ。』
まりあ『何さらっととんでもない事言ってんのよ、ここまでさせといて。』
シイナ『まあまあ。明日があるじゃん。明日という字は月が太陽に挟まれてるんだよ。』
まりあ『だから何だ!!!』
その時、背後から1人の男の声がした。
『あれ?君たちは?』
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