バレンタイン ラブ(4/7)縦書き表示RDF


今回も、孝介の目線で話は進みます。
バレンタイン ラブ
作:あいぽ



恋4話『夢へ続く道』



かぁぁぁ〜今日はめちゃくちゃいい天気ばぃ!!

今日は土曜日。学校は休みばぃ。
オレは朝風呂を入った後、自分の部屋で上半身ハダカで朝の光を浴びようと、思いっきり部屋の窓を開けた。



―――!?



「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ちょっ…幸介のヘンタイ!!ナニ見てんのよう!!このバカーッ!!」

隣のウチに住む里香が、窓を開けっぱなしにしてちょうど着替えをしており、ハダカ同士お互い目があってしまった…

そして、隣のウチから飛んできた里香のクションはオレの顔面に見事命中…



オレのウチと、隣のウチはその距離わずか1メートル程で、ちょうどオレの部屋の向かいが里香の部屋になっていた。

…ったく、里香のヤツ部屋の窓を開けっぱなしにして着替えるクセまだ治ってなかったとね。

また、クッションなんて投げてきやがって!!痛いじゃねぇか里香のヤロウ!!


くっそ〜!!



…な〜んてね…



―――超ラッキーばぃ!!

また、里香のヤツのハダカが拝めたばぃ!!

イヤハヤ神様サンキューばぃ。サンキュー。
『早起きは3文の得』とはよく言ったものばぃ!!
今日のツーリングはいい日になりそうばーぃ!!


そぅ、今日は福岡時代の先輩が、東京に遊びに来とるという連絡をもらい、久しぶりに憧れの先輩とツーリングに行く為に早起きしてたのだ。
東京から福岡へ引越してすぐ、オレと意気投合して、ずっと一緒に遊んでた先輩。
そして、オレにバイクを教えてくれた先輩が東京に来ているのだ。
そんな、大好きな先輩と久しぶりにバイクで走れるのを楽しみに、まるで初めての修学旅行を楽しみにしていた小学生の頃のように、早起きをしてしまい朝風呂を入っていたのだ。

真っ黒なライダースに身を包んだオレは、里香の部屋から飛んできたクッションに軽くキスをしてから部屋を出だ。

うん。うん。里香大好きばぃ。
素敵なクッションのプレゼント…神様ありがとうばーぃ!!








玄関先で、オレは相棒にまたがりアクセルを回す。
相棒は、まってましたとばかり威勢のいい声を上げてくれる。

ん〜今日も最高の声ばぃ。




「今日は休みなのに朝が早い事ですね…このス・ケ・ベ!!」

里香がジャージ姿で大きなバックを抱え玄関から出てくる。

「おぉ〜なんばぃ、里香も今日はでかけるとね?」

「私はアナタと違って部活が忙しいからね…!!アンタもなんか部活でも入れば…!?」

「オレは部活なんてやってる暇はないばぃ。まだかまだかとオレの帰りをコイツが待ってるとよねー!!」

オレはバイクにまたがったまま、ハンドルに両肘をつき里香に答える。

「なーにカッコつけてんのよ。孝介アンタ今からどこまで行くの!?」

「渋谷で先輩と待ち合わせばぃ」

すると里香はにっこり営業スマイルをオレに浮かべ、急にオレの後ろにまたがる。

「渋谷まで行くんなら、ガッコまで私を乗せて行きなさい!!通り道でしょ!!」

「ちょ…なんばぃ!!里香…オイ!!」

「今日…アンタまた私のハダカ見たでしょう!!このくらいしてくれてもいいんじゃないかな〜ス・ケ・ベ君!!」

里香は後ろから思いっきりオレの右の横っ腹をつねる。



「ったく…ハイハイ…里香にはかなわないばぃ。しっかりちゃんとつかまっとくとよ。」

オレは里香の両腕を自分の腰にまわし、アクセルを思いっきり全開に回しバイクを出発させた。




―――ひゃほ〜!!

風が超気持ちいいばぃ!!

しかし、今日は朝から、ホントついてるばぃ。

里香とこうやって二人で、大好きなバイクで風を感じれてるなんて!!

いやぁ〜早起きは三文の得ばぃ!!

もぅ嬉しくって嬉しくって幸せばーぃ!!






「ちょっと―――!!孝介スピード出しすぎ―――っ!!」








里香を学校で降ろしたあと、オレは渋谷駅についた。
「よーっ!!孝介!!久しぶりばぃ!!元気だったとねー!?」

真っ赤なライダースに身を包んだヒロシ先輩が、懐かしい博多弁でオレに抱きつく。

「ヒロシさん!!会いたかったばぃ!!」

久しぶりの再会を遂げた後、オレたちはバイクを走らせた。

さっき里香を乗せたときとは違い、1秒たりとも気を抜かないよう相棒の息遣いを身体全体でオレは感じれるように、神経を張り詰める。
久しぶりに会ったヒロシさんのバイクの腕は、さらに磨きがかかりその走りに全くの無駄がない。まるで、ヒロシさんとバイクが一体化しているようだった。

オレは、自分の前を走るヒロシさんについていくのが精一杯で、さっきとはうって変わり風を感じる余裕すらなくなる。

しかし、オレはただただ…感激で胸がいっぱいだった。
福岡でいつも憧れていたヒロシさんの背中を見ながら、こうやってまたバイクを走らせる事ができるなんて…ホントに感動ばぃ。

東京を離れ、福岡の中学に編入したばかりのオレは、里香と離れ離れになったショックから立ち直れず、ずっとふさぎ込んでいた。
思春期も重なり、周りのすべてがうっとおしく感じ、いつも誰かとケンカばかりしていた…

中学1年生の夏…
ケンカに明け暮れていたオレは、ちょっとしたきっかけで3年生の先輩にもケンカを売ってしまった。そして、その時これ以上ないくらいにボコボコにされてしまったのがヒロシさんだった。ボロボロになったオレに、ヒロシさん言った。

『なんばしよっとね。お前は…ガキがいきがるんじゃなかとよ。自分が一番不幸だなんて顔しやがって、お前の学校生活はこれから始まったばかりやなかろーが。自分を粗末にするとやなかっ。』

グランドで倒れこみ、砂まみれになったオレはずっと泣いた。
悔しかったからじゃない。オレをボコボコにしたヒロシさんの拳があったかかったからだ。
今考えると、それは、拳でしか表現できない、不器用な男の優しさだったんだと思う。


それ以来、オレはもうケンカはやめ、何かにつけてはヒロシさんと行動を共にするようになった。
そしていつからか、ヒロシさんに憧れてオレも博多弁を使うようになっていた。
ヒロシさんの博多弁がいつも優しかったから…
いつもあったかかったから…





オレとヒロシさんは、隅田川のほとりまでバイクを走らせた。
そして、バイクを置き、二人で隅田川の河川敷まで降りていろんな事を語り合った。
たまに、隅田川を行き来する遊覧船が、どことなく風情がありオレたちを和ませた。

「なぁ…孝介…オレ学校辞める事にしたばぃ。」
行き来する遊覧船をぼーっと眺めていたオレに突然ヒロシさんが話しかけた。

「なんば、言うとね。ヒロシさん。卒業まであともう少しやなかとね…」

「オレのバイト先のシェフがさぁ、フランスに行くことになったとね。それで、ヒロシお前も来いって言われたばぃ…」

ヒロシさんは、高校にあがってすぐ小さなフランス料理屋でバイトしていた。
ずっと「料理人」になりたいって夢を持っていたのだ。
オレもよくそのお店に遊びにいったけど、2〜3人でやってるフランス料理屋の店で、とにかくがむしゃらに頑張るヒロシさんは、いつもシェフに可愛がられていた。

「ばってん、卒業まで待てなかと?ヒロシさん。」

「まぁな…とにかくオレには今、学校の勉強より、夢への道を一歩でも前に歩きたかとよ。」

そう、話し遠くの空を見上げるヒロシさんの目は、どこか力に満ち輝いていた。
「孝介ぇ!!お前の夢はどうなっとるとね?」

ふぃに、ヒロシさんがオレに問いかける。

「オレの夢…!?」

「そうばぃ、孝介、お前の夢は里香ちゃんだったんじゃなかとね!!やっと東京に帰れて喜んどったね、その後今どうなっとるんじゃと聞いとるんばぃ。」

ヒロシさんは、福岡にいた頃、ずっとオレの里香の恋を応援してくれ、励ましてくれていた。

「ヒロシさん…オレ…」

行き場なく心をさまよう恋に、正直諦めモードになっていたオレは、ヒロシさんの懐かしいその優しさに泣きそうになる。

「ヒロシさん…オレ…やっぱ無理かも…。相手が悪いばぃ。里香の好きなヤツは学校中の人気者ばぃ、しょせんオレが敵う相手じゃなかとよ。こんな事なら東京に帰って来るんやなかったとばぃ。」

思わず誰にも言えなかった弱音がこぼれた。


しかし、そんなオレの弱音なんかには全く耳を傾けず、ヒロシさんは思いっきりオレを殴った。



「なんば言うちょうとね孝介!!お前それでも九州男児やと!?ふざけた事言いうんやなかっ!!お前はいつから里香ちゃんと付き合いたいとか思うようになったとね!?違うだろ!!お前は…お前は…この16年、いつもただただ、里香ちゃんの幸せだけを願っとたんやなかとね!?」

「なぁ孝介!!お前は16年ずっと里香ちゃんの幸せだけを願ってきたんやろ…なら、今、里香ちゃんに好きなヤツいたとしても、恋してる里香ちゃんごと好きななってやり、守ってやるんがお前の役目やなかったと!?」


あの頃と変わらない、ヒロシさんの拳…
あの頃と変わらない、アツクて優しい拳だった。



「ヒロシさん…オレ…九州男児やなかとよ。生まれは東京ばぃ…」

久しぶりに、ヒロシさんに思いっきり殴られ、さっきの弱音がどこか遠くに飛んでいった気がしたオレは、殴られた頬をおさえながら、少しおどけてみせた。

一瞬二人の目が合った。

「はは…ははははは…」
「そうばぃ!!そうばぃ!!孝介、お前は生まれは東京やったもんね。あまりにも、博多弁が板についてたんで、俺も忘れとったばぃ!!」

急にヒロシさんは、お腹を押さえ思いっきり笑い出した。
そんなヒロシさんを見てオレも思わず笑いが込み上げてきた。
ホントに、この人は何をするにも一生懸命な人だった。


「なぁ…孝介ぇ…ばってん、ほんと、お前も不器用なヤツやとね…。俺は今でも覚えてるばぃ。孝介から、初めて里香ちゃんの事を聞いたこと…」

「初めてオレがヒロシさんに話した里香の事?」

「そうばぃ、東京に好きなヤツを置いてきた。好きになればなるほど、その子に嫌われてしまうって話しばぃ。」

ヒロシさんの話に、オレは思わず照れてしまった。
確かに…ヒロシさんに里香との話しをしてた気がする…
今はもぅ忘れたい、小学校時代の話を…
できる事なら、その話しはしたくないと思った矢先…

「なぁ、孝介…小学校の時、お前が里香ちゃんの鞄にカエル入れた話しって、マジ今でも思い出して超ウケルばぃ。」

ヒロシさんはにやけながオレに話しかける。

そうなのだ。
オレは小学校の時、里香がおもちゃ屋に置いってあったカエルのぬいぐるみをいつも欲しそうに見てたので、オレはてっきり里香がカエル好きなのかと勘違いして、里香の鞄にカエルを入れてしまい、里香に1週間無視されたことがある。
ただただ、オレは里香の喜ぶ顔が見たいと思っていただけなのに…。

「…ってか、孝介、お前…普通は女の子の鞄にカエル入れるやつなんていねぇばぃ!!」

ヒロシさんは、お腹を抱えて笑い出す。

「ははっ…そうばぃ、そうばぃ、スカートめくり事件も起こしたって言ってたよな孝介!?」

ヒロシさんは爆笑しながらオレの肩をたたきだす。
確かに…
小学校の頃、オレは里香のスカートを毎日のように教室でめくっていたのだ。
おてんばだった里香は、しゃがみこむ時、いつも足を開いて座るクセがあった。
それに気づいた男子生徒たちは、いつも里香のパンツを見ては、はしゃいでいたのだ。
里香がしゃがみこむ時、必ず、数人の男子生徒が遠くから里香のパンツを覗き込んでいたのだ。それがどうしても許せなかったオレは、里香のスカートをめくることにより、里香がスカートで登校するのを阻止しようと考えたのだ。

結果…
里香は二度と学校では、スカートをはかなくなり、二度と学校で、オレにはしゃべりかけないようになった。


「がははははは!!」

ヒロシさんは豪快に笑い出し、笑いが止まらなくなってしまった。

「ホント、孝介!!お前の不器用な恋の話は何度聞いても笑えるばぃ。…っちゅうか、不器用通り越して、お前の愛情表現は屈折しとるばぃ!!」

「でも、俺はそんな孝介が大好きばぃ!!不器用でもいいばぃ!!相手の幸せを願う気持ちはいつか必ず通じるばぃ!!だから、絶対どんな事があっても里香ちゃんを守りぬいてやるんやぞ、孝介!!里香ちゃんは、お前にとって夢じゃけんね。」

「いいか、孝介…夢は壊すためにあるんじゃなかとよ。叶えるためにあると。俺たちは、今、長い長い夢へ続く道を歩いているんばぃ。だから、俺は自分の夢を叶えるために、フランスへ行く。孝介!!お前も、絶対里香ちゃんという夢を諦めるんじゃなかとよ!!お前の気持ちは必ず通じるばぃ!!もしそれが、例え、お前らがおじいちゃんとおばぁちゃんになった時だとしても、それはそれでいいじゃなかとね。」


「だから…ファイトだぜ!!…お互いにな!!」

ヒロシさんは、そのアツイ瞳でじっとオレを見据え、オレの胸板にパンチをする。

「りょうかいばぃ!!どっちが先に夢を叶えるか勝負ばぃ!!」

オレは、じっとヒロシさんを見据え返す。

…ありがとう

ヒロシさん、オレめちゃくちゃ勇気がでたばぃ。

オレ…オレ…例えオレの恋が叶うのがいつになろうが、ずっと里香を愛し続けるばぃ。

―――そして

いつまでも、里香を守り通すばぃ!!

惚れた女の幸せ守れんヤツは、男じゃなかともんね!!ヒロシさん!!

だから…ヒロシさんも一人前の料理人になって、次は逢おうばぃ!!

オレたち二人のアツイ決意を祝福するかのように、落ちてゆく夕日が隅田川の水面に輝き、ずっとまぶしくきらめいていた。



家に着いて、バイクを停めてようとしていたら、ちょうど里香も部活から帰ってきた。

「よぅ!!今日は休みばってん、よく逢うとね。」

「休みの日くらい、あんたの顔なんて見たくないのにね!!」

里香は、いつものように無邪気な笑顔で笑いかける。オレは、この笑顔がたまらないほど大好きだ。

ふと…里香の手元に目をやる。里香は、手に大きな紙袋を抱えてる。

「なんばぃ!?里香その紙袋は…!?」

「ははっ!!これ、すっごいでしょう!!ぜーんぶ、バレンタインの準備の道具なんだぁ。」

里香は嬉しそうに、紙袋から色んなものを取り出す。
どうやら、手作りでチョコレートをつくるらしく、そこからは、お菓子作りの本や道具がいっぱいでてきた。

「2月14日は恋の魔法を使って、絶対先輩のハートをゲットしちゃうんだから!!」

里香は嬉しそうにオレに微笑む。
やっぱり、窪田ってヤツが好きで好きでたまらないようだ。

オレは里香のその決意に少し切なくなる。

しかし、ヒロシさんと約束した以上は、里香の好きなヤツがどんなヤツでもオレは里香の恋を応援しようと思う。
オレの里香への気持ちの前に、ただただ里香の幸せだけをを願おうと思った。だからオレは拳を振り上げ心から言う

「里香っ!!2月14日頑張れよ!!」


「…ったりめーよ!!」

里香は照れ隠しに、少しおどけたように、鼻の下をひとさし指でこすりながら元気に答えた。



里香…絶対オレはお前の幸せをずっと願ってやるからな!!


2月14日まで、残すところ、いよいよあと5日となっていた。




こんばんわ。
あいぽです。
さぁ、バレンタインまで残すところ、ホントにあとわずかにまりましたよね。
恋を決意した里香。そして恋のサポーターになる事を決意した孝介。
全ての運命は2月14日に決まります!!


―――そして

次回はいよいよ物語も終盤を迎え、恋のサポーターの孝介が大暴れ!!

「窪田…オレっ…絶対お前を許せねぇばぃ!!」

「お前…ただのバカか!?。俺…お前みたいなヤツ大嫌い。」

炎のようなアツイ孝介と、氷のようにクールな窪田がぶつかりあう…!?

恋5話『全面対決!!窪田VS孝介』

2月11日更新予定!!是非ご期待です。












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