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9月になって
9月6日

 日付を忘れずに入れておかないと。しばらく日記をさぼっていたから自分を戒めるためにもな。

 カトリは、あれからしばらくして学校を辞めて、常に私の家に居るようになってくれた。 
 料理とか家事も少ししてくれるようになって、私が学校の講義が終わったらカトリの作ってくれた料理を二人で食べるようになったりするようになった。
 買い物に行ったら手を繋いで。綺麗なところで抱き合ったり。……外で変なことはしてないぞ!
 カトリとの関係を他人に訊かれたら、「私の妻です」と答え、それを聞いていた恥ずかしそうにするカトリを見るのも幸せだった。

 つまり、色々あったが生活は順調ということだな。

 ただ、一つ不安になることがある。
 時折、前のようにカトリが熱を出し、寝込むことがあることだ。
 長引くことはなく、一日二日で元気になるのだが、突然朝に熱を出しているので心配になる。
 何か大きな病気の前触れなどではないだろうか。
 今度ちゃんと、医者に診てもらうことにしよう。
 私の、かけがえの無い大切な女の子だからな。

――――

9月10日

 最近、おかしな事象が世間の話題となっていた。

 世界の魔物が少し弱くなったらしい。
 魔物とは、簡単に説明すると、このミッドガルド全域に生息する人間や動物とはまったく違った種族のことで、その形は様々で、魔力を源として生き、人間と敵対する生物のことだ。魔物と人間が戦っている世界なのだ。終わりもなく……。
 というか、自分の日記に何をわかりきったことを書いているのだ。まぁいいか。

 それでその魔物が弱くなった――今まで太刀打ちできなかった魔物を討伐できるようになったとか、魔物が時折逃げることもあるとか。
 そのことについて、私に再三の質問が来るようになった。魔法学校のほかの先生やら、生徒やら、私の噂を聞きつけた名も知らぬ冒険者達。
 しかし、そんなこと、私にわかるはずもなく。とりあえず磁場の関係で魔力が弱くなって来たからではないかとか、安息日と言うものがあるからとか適当に答えたりしたのだが、半分あてずっぽうなので、隣で心配そうな瞳で見るカトリに苦笑いするしかなかった。

 魔物の研究、また始めてみることにしようか。
 この研究についてカトリが知ったらどう思うのだろう。
 今度相談してみよう。

――――

9月15日

 また、私の研究のことを少し書いておくことにする。

 まず、私が興味を持ったのが魔物の生態系だ。
 大抵の魔物は、昆虫や動物型であったり、物の形であったり、人間の死体から魔物になるケースもある。霊といった実態を持たない魔物もいる。そういった魔物は基本的に種族という分類はしていても、生態系は不明だ。
 だが、人間ほどの知識を持った魔物はいる。悪魔種族とか天使種族に見られる。
 また、オークとかゴブリンと言った種族は文化があり、人間に似たコミュニティを形成している例はあるが、稀である。
 それらの魔物は突然現れて、襲ってくるものもあり、倒したら、消える。減りもしないから絶滅することも無い。
 つまり、どのようにして生まれ、生き、死んでいくのかわからないのだ。
 だから、延々と1000年以上も魔物と戦ってきた歴史があるのだ。
 一般の見解では、魔物とは、魔力によって生まれ、魔力によって生きている。そんな生物らしい。
 人間のように、互いに異性を愛し、子を作り、育てていくといったような事はしないのだ。

 では、その魔力の源とはなんであろうかと疑問に思った。
 それを知り、解明することで、人間の可能性への道が開かれるような気がしたのだ。

 私は、あるとき、ある一つの可能性に言及された本を見つけた。

 それは、人間としての尊厳を無視する、倫理に反した事が書かれていた。
 でも、私ならば、違う方向にこの可能性を利用できるのではないだろうか。
 こうして、研究を始めたのだ。

 こんなことをカトリに話してみたが、私が研究を始めることは喜んでくれたみたいだ。
 愛する人から了承をもらった。少しずつだが、また始めてみることにした。


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