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小説家になろう物語
作:俺とキルマシーン



第三章/九頁目


「……ごめん」

 絵理香は一言、そう謝ってきた。
 言った後に気づく。自分で何を言っていたのかを。
 そして、後悔する。

「いや、別にいいよ……」

 俺には、弱気な女性を責め立てるほど暴力的な感情はない。
 だけど、自分が不利になると急に弱気になるのは、ずるいと思う。
 正直、そこ一点だけを問えば、かなり腹立たしい。
 だが、結局は許してしまっているので複雑な気分だ。
 喋れない空気になっていた。
 きっかけなんていくらでもあったのに、話す気分になれなかったのだ。
 罪悪感のようなものが吐気を誘っていた。
 それは、吐き出されることなく最後まで残留していた。
 授業の鐘が鳴り、時間が流れ、昼食の時間になる。
 やや気まずい雰囲気を抱えながらも、俺達はいつも通り屋上に向かった。
 本心を言えば、今日みたいな気まずい雰囲気の中で昼食を、しかも屋上という人気のない静かな場所で食べるのはキツイので、別々で食べたかった。
 だけど、そうしてしまうと絵理香は一人で昼食を食べることになるだろう。
 こう言ってはアレだが、絵理香はイジメられやすいタイプだと思う。
 そういうタイプの人間は、対外話す相手が少なく、孤立していることが多い。
 実際、絵理香が友達と話している姿を見たことがない。
 だから、俺が何とかしなきゃ駄目な気がした。
 屋上には誰もいなかった。誰かいればよかったのだが。
 いつもの場所。グランド側の手摺の方に座った。

「さっきはごめんね」

 絵理香は、また謝ってきた。

「いや、別に謝らなくていいから……」

 そう何度も謝られると、本当に謝っているのか疑ってしまう。
 何回も謝れるより、たった一回だけ謝れる方が受け止めやすい。
 俺は弁当を、絵理香はサンドイッチを食べている。
 黙々と手が進んでいた。
 そのペースを落とすようなことをしていないから。

「……武内君って、彼女にお弁当とか作ってきてもらいたいタイプ?」

「どんなタイプだよ。それ。……まぁ、うん。作ってきてほしいタイプかもな」

「じゃあ、私、作るよ」

 絵理香は、はにかみながらそう言った。
 どこか照れ臭そうで、可愛いらしい。
 長く付き合うには、こういう譲歩する気持ちがなければならないのだろう。
 彼氏が譲歩してやらないと彼女に余計な負担をかけてしまう気がする。

「気持ちは嬉しいけど、まずは自分の作れよ。お前、いっつもコンビニで買ってきたやつじゃん」

「うん。じゃあ、そうする。――そしたら、色々と交換しようね」

「交換って……、遠足じゃねーんだからいいよ」

 何となく気が楽になった。

「遠足じゃなくても交換くらいはするよ」

 いつの間にか、空気が軽くなっていた。

「――武内君、私、一つ分かったことがあるんだ」












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