第三章/八頁目
受け狙い?
俺は、そんなの狙って書いたつもりなんてなかった。
ただ、絵理香の絵柄に合う話を考えただけなのに。
作者の思いは筆に乗る。そう考えた俺は、絵理香が好きなBLを題材を入れて、とにかく『同性愛』をテーマに考えた。
ただ、あくまでBLは題材であって直接的な描写はない。
だから、受けを狙ったつもりは一切なかった。
話を考えた方から言えば、そう思われるのは心外だ。
だが、ぐだぐだ愚痴を溢していてもしょうがない。
とりあえず、俺はこの時間を使って修正してみることにした。
――私の絵柄。
私の絵柄は確かに女性読者向けの絵柄で、厳密に言えば一部の女性読者向けの絵柄だ。
彼が私の絵柄を第一に置いてストーリーを考えてくれるのは嬉しい。
だけど、だからといって受け狙ったストーリーは気が進まない。
彼のストーリーの一部分には、BL臭い描写が見られた。
絵だけもBL臭いのにストーリーまでBL臭かったら、ただのBLとして見られてしまう。
そう見られないようにするためには、彼には私の“絵のキツさ“を少しでも取り除いてもらえるストーリーを考えてもらいたかった。あわよくば感じさせないくらいのストーリーを。
この作品を絵で敬遠するのは勿体無い。そういう感想がもらえる作品が理想的だ。
「――ちょっと修正してみたんだけど、これでどうだ?」
俺は少しだけ修正した。
修正前は、ある部分が欠けていた。
それがないと、確かに受けを狙っていると思われてもしょうがない。
だけど、それを追加することによりストーリー性が重視された。
それは、読者目線のキャラクターだ。
修正前のストーリーは、作者目線のキャラクターでしか物語を進行していなかった。
その場合だと、最終的にはテーマが薄くなっているのだ。
何故なら、同性愛に賛成していたキャラクターがテーマを伝えたいがために否定する側に変わっているのだから。
つまり、キャラクターの性格が唐突に変わっていて、不自然さやご都合主義が目立つ形になっていたということ。
しかし、読者目線のキャラクターを置くことにより、作者目線のキャラクターが読者目線のキャラクターの意見を口にする必要がなくなったのだ。
これにより、作者目線のキャラクターは最後まで性格が生かされ、読者目線のキャラクターを置くことにより取っ付きにくさを改善できた。
これなら絵理香も気に入ってくれるはず。
「うーん……まだ受け狙ってる感があるかなあ」
「……そこまで言うならさ、自分で考えみたらどうなんだよ。
――受けを狙ってないストーリーをさ」
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