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追放された者

作者:ルスト
 私の眼下で、轟音と共に電車が走り行く。
 矮小なる存在がうろうろしている。
 私はそれらを高いところから見下ろす優越感に浸りつつのんびりと午後のひと時を過ごす。
 友人や恋人と戯れ、暖かな日差しや優しき風に包まれる優雅なひと時を過ごし、それから別の場所に旅立ち、そちらでも同じく友人や恋人と戯れる。
 そんな生活が永遠に繰り返されるのだ。
 幸せな日常がループし、私の生活パターンを構築してくれた。

 ……ああ、何と幸福な生活であろうか。実にすばらしい生活だ。
 それなのに……。

 最近、私のくつろぎ空間に妙な連中が足を踏み入れてくるようになった。
 妙な鉄の塊に足をかけ、私のくつろぎ空間に土足で踏み込んでくる。
 私が「出ていけ!」と叫ぼうが、威嚇しようが、連中はものともしない。
 私のことなどお構いなしに、奴らは私の、いや、私達のくつろぎ空間に足を踏み入れてくる。
 抵抗する私達をその剛腕で払いのけ、瞬く間に私達の場所を奪い取ってしまった。

 おのれ! 何をするんだ! そこは我々の場所だぞ!
 そうだ! 返せ! 今すぐ出ていくんだ!

 友人たちの怒りの声が上がる。
 無論、私も彼らと同じだ。
 私達のくつろぎ空間を奪い取った者共に対する怒りの声を上げた。
 無害な者の平和を力で踏みにじるなど、あっていいはずがない!

 ……しかし、我々の怒りの声は聞き入れられることは無い。
 どころか、奴らは我々のくつろぎ空間に何やら妙な物を置き始めたではないか!
 鋭く尖った物体を次から次へと、隙間なく敷き詰めていく!
 私達の足の踏み場を無くすかのように、徹底的に置いていくではないか!

 ……なんという事を!
 これでは、我々がくつろぐことが出来なくなってしまうではないか!
 今すぐその作業を止めるのだ!
 これは命令だ!
 そう叫び、必死に訴えるも、相手は聞く耳を持たない。
 我々の事などお構いなしに作業を進め、勝手に私達のくつろぎ空間を壊してしまった!
 訴え続けた私達の事など見向きもせず、奴らは鉄の塊を伝って去っていき、私達の前にはくつろぐことが出来なくなった「元」くつろぎ空間だけが残された。

 ……何だこれは!
 我々が何をしたというのだ!
 怒り狂い、悲嘆にくれる友人たち。
 無論、私も同じ気持ちだ!
 私達のくつろぎ空間を破壊しつくし、奴らはそのまま、私達の方に謝罪することもなく、去って行ってしまったのだから。
 これを怒るなと言う方が不可能だ!

 しかし、悲劇はこれだけではなかった。
 諦めて次の場所に向かうと、なんとそこでも同じことが行われていたではないか!
 尖った物体に覆い尽くされ、くつろぐことも出来なくなったかつてのくつろぎ空間を見て泣き叫ぶ友人たちに、私は声をかけることも出来なかった……。
 あの悪魔は、何という事をしてくれたのだ!
 私達のくつろぎ空間は一つ、また一つと破壊されていく!
 尖った物体を取り除こうとしてもどうすることもできない。
 失われた空間は、二度と取り戻すことが出来ないのだ!

 怒りに震える私は、くつろぎ空間を破壊したものを見つけた。
 一体何を話しているのだ!?
 話の内容次第ではただではすまさない!

「鳩対策の工事、終わりましたよ」
「ありがとうございます! 今まで連中のフンで酷い被害が出ていましたからねえ」
「いえいえ、迷惑な鳩はさっさと追放するに限りますから。○○駅でも工事が終わったと連絡がありましたので、このあたりの駅から鳩は消えると思いますよ」
対策工事は徹底的に。棘はびっしり敷き詰めましょう。
なお、これをやっていないとある百貨店の駐車場は案の定鳩のフンまみれになっていました。

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