仮面ライダー電王♀ 第三弾!PDFで表示縦書き表示RDF


仮面ライダー電王♀ 第三弾!
作:Daisy Wig


2007年8月──未来と拓也が付き合い始めてから、一週間が経とうとしていた。だが、連日、イマジンとの戦いが続き、まともにデートをした事が無い。


 荒野を走るデンライナーの中に、新しいイマジンが仲間に加わった。名はリュウタロス。その名の通り、龍だ。
 モモタロスは、そのリュウタロスを、一方的に殴り付けている。
「痛いよ、やめてよ」
「五月蝿えっ、言う事聞かねえのが悪いんだろうが!」
 モモタロスが言い放つと、食堂車の角にある席で寝ていた未来が起き、暴れる彼を捕縛した。
「リュウちゅんいじめたら私が許さないと何度言ったら解るのかね、モモタロスくん?」
「放せっ、こいつが俺の言う事聞かねえのが悪いんだ!」
 モモタロスはそう言って、未来の腕の中で暴れた。
「はいはい、それはあんたの性格が悪いからでしょ。
 リュウちゃん、こいつ捕まえてるから、好きなだけ殴って良いよ」
「はーい」
 リュウタロスはそう返事すると、モモタロスに近付いた。
「ち、ちょっと待て!」
 だが時既に遅し。モモタロスの腹に、リュウタロスの鉄拳が埋まっていた。
「うっ、いってえー!」
 モモタロスは叫んだ。
「リュウちゃん、まだ足りないよ」
 リュウタロスは再び鉄拳制裁。
「ギョエー!」
「まだ」
 リュウタロスはまたもや鉄拳制裁。
「がはっ、俺が悪かった!許してくれ!」
「お姉ちゃん、どうする?」
 リュウタロスは未来に聞いた。
「そうねぇ・・・じゃあ次私がトドメ刺すよ」
 未来がそう言って一旦放すと、火山の噴火音と共に灰色の煙が噴き出して充満し、それ晴れると身体中ボロボロにしてピクピクと痙攣起こして倒れているモモタロスが姿を現した。
「な、何でこうなるんだよ?」
 と、モモタロスが言うのとほぼ同時に、ハナが食堂車に入って来た。
「ちょっ、何よこれ!?一体何があったの!?」
 ハナは驚いて目を丸くした。
 リュウタロスは、
「お姉ちゃんがやった」
 と、言った。
「・・・未来っ、私がいない間に何してんのよ!?」
「さあて遊び行ってこう」
 未来はとぼけて、デンライナーを降りて行った。
「ちょっと待ちなさい!」
 しかし、未来はハナを無視した。


 中央に花時計があるとある公園。その前には拓也が腕時計を見ながら立っていた。するとそこへ、未来が入り口から駆けて来た。
「ごめん拓也、待った?」
「いや、僕も今来た所」
 と、拓也は顔を上げて言った。
「嘘、今時計眺めてたでしょ?まぁ、私は優しいからそう言う事にしときましょ」
「何処がだ?」
 拓也は、言って後悔した。
ゴリゴリ!──未来は拳を鳴らすと、拓也のみぞおちに鉄拳制裁。
「ヴォエ!」
 拓也は蹌踉めき、胃の内容物を吐き出した。それが、未来の肩にビシャッと掛かってしまった。
「いっ、イヤー!不潔!」
 と、未来は後退りした。
「自業自得だよ」
「うっさいわね!拓也、あんた責任持って洗いなさい!」
 未来はそう言って、公衆トイレに駆け込み、着替えて出て来た。
「ほら」
 と、胃液でビショビショに濡れた服を拓也に差し出した。
「ちゃんと洗って来いよ?」
「解ったよ。洗えば良いんでしょ?」
「ああっ、何その喋り方?そこは、喜んで洗わせて頂きます、でしょ?」
「よ、喜んで洗わせて頂きます!」
「絶対だぞ」
「はい!」
 と、拓也は大きく返事をし、未来の服を受け取った。濡れていなけりゃどんなに幸せな事か・・・。
「で、何処行くの?」
「遊園地、かな?」
「ガキっぽい。もっと大人っぽい事しない?」
「えっ、でもデートって言ったら遊園地だよ?普通」
「否、違う。映画だよ」
「まあそれでも良いけどね」
 と、徐にポケットから映画のチケットを出した。
「そう言うと思って、買っておいた」
 すると未来はチケットを取りあげた。
「あっ、これ仮面ライダー電王 俺、誕生!のチケットじゃない!どうしたのこれ?」
「未来なら、観るかなって」
「わーい、嬉しい!」
 と、未来は拓也を抱き締めた。
「やっぱ持つ者は彼氏だねぇ。拓也大好き!」
 拓也は赤面した。
「ちょっ、未来、恥ずかしいよ」
「誰もいないんだから良いじゃん」
 と、そこへデンライナーが出現し、ハナが降りて来た。
「大変よ未来」
なっ!?──未来は慌てて拓也を放し、ハナの方を向いた。
「何だよ、今良い所なのに。で、どうかしたの?」
「イマジンが現れたの。早く乗って!」
「解った」
 そう言って、デンライナーに乗り込む未来。
「待って、映画行くんじゃないの?」
 未来は振り向き様に、
「今はそんな暇無い!それに映画なんて何時でも行ける!」
 そう言うと、扉が閉まり、デンライナーは発射した。


 あのお偉いさん方が沢山いらっしゃる国会○事堂に、蟹をモチーフにしたクラストイマジンが現れ、お偉いさん方、所謂いわゆる政治家達を襲っていた。
パララパララン、パララパララン──と、電車の発車音らしき音楽を鳴らしながらデンライナーが現れ、未来が降りて来る。
 周囲は逃げ惑う政治家達で一杯だ。
『契約者を捜すのが先よ、良い?』
 ハナのその言葉が、食堂車の映像と共に未来の頭に過る。
「契約者って、こん中からどうやって!?」
 と、その時、未来はクラストイマジンに襲われた。勘違いしないで欲しい。断じて女として襲われた訳では無い。
「ふっ、貴様が電王だな?ついでだから消してやる」
 クラストイマジンはそう言って、未来を抱き抱え、空高く飛び上がった。
「さらばだ」
 クラストイマジンは大空を飛びながら、ポケ○ンの地獄車の如く、未来を地面に叩き付けた。
ドンッ!──未来は背中を地面に打ち付けた。
「痛!」
 と、横を向いて背中を押さえる。
「リュウちゃん、お願い」
 未来はそう言って、ベルトを出現させ、紫のボタンを押してライダーパスをセタッチ。電王・プラットフォームにした。
Gun formガンフォーム
 と、空中にアーマーが出現し、プラットフォームと合体。電王はガンフォームに移行した。
「お前倒すけど良い?ねぇ、良いよね?答えは聞いてないけど!」
 電王はそう言って、素早くデンガッシャーを銃の形に組み立て、大空を飛ぶクラストイマジン目掛けて発砲した。
バキュンッ!──銃声と共に弾丸が飛ぶが、クラストイマジンには当たらない。
『リュウタロス、よく狙って!』
 と、頭の中で響く声。
「解ってるよ。けどチョコマカ動いて当たらないんだ」
 電王はそう言いながら闇雲に発砲する。
バキュンバキュンッ!──辺りに発砲音が木霊する。
『えーいっ、俺に代われ!』
 そう頭の中でモモタロスの声が響く。
『断る!』
 と、未来が力強く拒否。
「あーもう、二人とも頭の中で喧嘩しないでよ!気が散るでしょ!?」
 電王は怒って注意した。
『五月蝿えっ、そこ退け!』
 モモタロスはそう言って、電王に憑依し掛けた。
「何すんの?邪魔しないでよ?」
 と、踏ん張るリュウタロス。
『入らないでっ、汚らわしい!』
 未来はそう言って、モモタロスの侵入を拒んだ。
『なっ、俺が汚いだと!?』
『あたしの体はリュウちゃん専用!解ったらとっとと出てけ!』
 未来はそう言って、モモタロスを完全に追い出した。
『うわあっ!』
 と、デンライナーに弾き飛ばされるモモタロス。
『ごめんねリュウちゃん。もう大丈夫たがら』
「良いよ別に・・・。何かやる気無くなっちゃったなぁ」
 リュウタロスが電王から離脱した。途端、プラットフォームに戻る電王。
「ちょっと待ってリュウちゃん!」
『ごめんお姉ちゃん』
「全く、しょうがない子ね」
 電王は赤いボタンを押し、ライダーパスをセタッチ。
『結局俺かよ!』
 と、電王に憑依するモモタロス。
Swod formソードフォーム
 瞬間、電王はソードフォームに移行。
「俺、漸く参上!」
 と、ファイティングポーズを取る電王。
「蟹が飛ぶな!」
 電王は持っていた銃型のデンガッシャーをクラストイマジン目掛けて蹴り上げた。
 デンガッシャーはクラストイマジンに直撃し、地面に叩き落として電王の手に戻って来た。
ガシャッ!──電王はデンガッシャーを組み立て直し、ソード状に変化させた。
「行ーくぜ行くぜ行くぜ!」
 と、電王はクラストイマジンに向かって駆けて行く。
『モモタロス、契約者の事巧く聞き出せよ』
「解ってるよ!」
 電王はそう言って、ライダーパスをセタッチ。
Fullフル chargeチャージ
 するとデンガッシャーの剣先が空中へ飛び出した。
「俺の必殺技Part 3」
 と、電王は剣先を振り回した。しかし、クラストイマジンは素早く避け、何処かへ逃げ去って行った。
 電王はベルトを外し、変身を解除。
「クソッ、誰の所為せいで逃がしたと思ってんだ!?」
 と、M未来は怒鳴る様に訊ねた。
『知ーらなーい』
「ったく!」
 モモタロスは未来の体から抜けた。途端、未来の顔が引き攣る。
「いてて、少し手加減しろよモモタロス。ああ、痛え」
 と、未来は背中を押さえながらデンライナーに乗り込んだ。


 デンライナー食堂車。未来はハナに湿布を貼って貰っていた。
「ったく、モモタロスの所為で背中が余計に痛くなったじゃねえか。誰の体だと思ってんだ?」
 そう言って、モモタロスを睨み付ける未来。
「知らねえよ」
 モモタロスが言うと、
「僕とお姉ちゃんの体だよ?」
 と、リュウタロスが言った。
「そうそう、もっと大事に扱って欲しいね」
「何が、僕とお姉ちゃんの体だよ?だ。未来は俺の体だ。俺だけの!」
「殺すよ?」
 と、未来はモモタロスに向かって不適に微笑んだ。
「それじゃあ誰がイマジン倒すんだよ?」
「あら、あんた自分が全部倒すつもりでいたの?」
「当然だろ。俺はな、その為に来たんだ」
「嘘、ホントは何かの使命とかで歴史を変える為に来たんだろ?」
「違うっ、俺は本当に・・・」
「本当に?」
「いや、何でも無えよ」
 モモタロスはそう言って、眠ってしまった。
「はい、出来たわよ」
 と、ハナが言った。
「サンキュウ、ハナ」
「全く、油断しすぎよ。けど驚いたわ。あんな高い所から落とされてよくその怪我で済んだわね。普通だったら死んでたわ」
「いや、それがさ、誰かが助けてくれたんだよ」
「えっ?」
「地面にぶつかる瞬間、気い付けろって声がして。そう言えば、何かが私の体を支えた様な・・・。所で、気になってんだけど、ベルトに残された青と黄色のボタン、あれは押したらどうなんの?」
「解らないわよ、そんなの。多分押しても何も起きないと思うよ。それより、早く契約者見付けないと大変な事になるよ?」
「そんな事言われても痛くて動けません」
「そうね・・・。解った、私が行く」
「えっ、でもハナは戦えないんじゃ?」
「大丈夫、契約者捜すだけだから」
「解った。じゃあ一応、ボディガードにモモタロスも一緒に行かせるよ。って事で起きろモモタロス!」
 未来はポケットから生徒手帳を出し、モモタロスの頭目掛けて投げた。
コツンッ!──と、頭にぶつかって落ちた。
「痛っ、誰だ今の!?」
「私だ。お前にお願いがある。ハナのボディガードをしてくれ」
「ちょっと待って。イマジンは願い事をしなきゃ外の世界じゃ現出出来ないのよ?どうやってボディガードを?」
「バーカ、今のが私の願いだ。これで存在出来るだろ?な、モモタロス」
「嫌だね、何で俺がハナクソ女の御守りしなくちゃいけないんだ?」
ピキッ!──ハナは額にムカつきマークを出現させ、モモタロスの顔面を殴り付けた。
「誰がハナクソですって!?」
(ボディガード、要らねえかも・・・)
「ハナ、やっぱお前一人で行け」
 未来はそう言って、何も描かれていないカードをハナに渡した。
「ありがとう、行って来るわ」
 ハナはそう言って、デンライナーから降りて行った。
「なんちゃって、これから映画なんだよね」
 未来は小声で呟やき、すっくと立ち上がった。
「おいおい、お前動けないんじゃなかったのか?」
 と、心配そうに言うモモタロス。
「ああ、あれ?嘘、ホントはピンピンしてる」
「ねえ、お姉ちゃん」
「何、リュウちゃん?」
「映画って、誰と行くの?」
「だっ、誰だって良いでしょ!?」
 頬を赤くする未来。
「男だな」
 と、モモタロス。
「男・・・?駄目、僕怒るよ?」
「何で怒るんだよ?」
「だって、お姉ちゃんは僕のだもん」
 リュウタロスは未来目掛けて巨大なハートを飛ばした。
「止めんか!」
 と、迫り来る巨大なハートを蹴って割った。
「あれ、リュウちゃんは?」
 未来は辺りを見回したが、リュウタロスを発見出来ず。
「未来、お前の中だ」
 と、モモタロスが未来を指差す。
「リュウタロス、出てきなさい!」
『嫌だよ。お姉ちゃん、放っておいたら取られちゃうもん』
「ちょっ、リュウちゃん何する気!?」
 刹那、未来の意識が吹っ飛び、帽子を被ったリュウタロス未来に変身した。
「ごめんお姉ちゃん。約束やぶっちゃった」
 そう言ってR未来はデンライナーを降りて拓也の下へ向かった。


 例の花時計の公園。拓也は未来の帰りを待っていた。
「遅いなぁ・・・」
 と、腕時計をチェックする拓也。そこへ、AAA 電王フォームのClimax Jumpをバックに数人のグループと踊りながら帽子を被ったR未来がやって来た。
「お前がお姉ちゃんの彼氏?」
 と、拓也を指差して言うR未来。
「み、未来?凄く似てるけど・・・?」
 と、目をパチクリさせる拓也。
「お前にお姉ちゃんは渡さないよ。だから、お前倒して良い?ねぇ、良いよね?答えは聞いてないけど!」
 そう言って、電王・ガンフォームに変身するR未来。
「あっ、君は2年前町中を破壊して回った伝説ガンナー!」
「何の事かなぁ?」
 電王はデンガッシャーを組み立て、数発発砲した。
「うわあっ!」
 と、足元に飛来する数発の弾丸を足踏みして避ける拓也。
「危ないじゃないか!日本は銃の所持は違法だよ!」
 此処で、そんな法律仮面ライダーには通用しない、と言う突っ込みはしてはいけない。
「知らないよそんなの。兎に角、お前倒す」
バキュンッ!──電王は再度発砲。
 弾丸が拓也の膝をかすめる。
「痛っ、殺す気かよ!?」
「お前がお姉ちゃん諦めれば止める」
 その時、電王の頭の中で未来の声が響いた。
『何やってるのかなぁ、リュウちゃんは?』
「あ、お姉ちゃん。起きちゃったんだ?」
『そりゃ起きるに決まってるでしょ。こんなに動き回られたら。兎に角、やめてくれない?』
「嫌だっ、僕お姉ちゃんを守るんだ!」
『頼もしいね。でも、拓也いじめたら、いくらリュウちゃんでも、許さない』
 未来はそう言って、左半身を奪還し、デンガッシャーを奪い取って投げた。
「あっ、何するんだよお姉ちゃん!?」
『体返しなさいっ、私はこれから拓也と映画行くんだから!』
 未来はそう言って、リュウタロスを体から追い出そうとした。が、リュウタロスは、
「お姉ちゃんは僕の物。お姉ちゃんは誰にもあげない。お姉ちゃんはあいつに付き纏われているだけ」
 と、眠りを誘うような喋り方で言った。
『何だろう?何か急に拓也が憎くなって来た。リュウちゃん、好きなだけやって頂戴。でも殺すのだけは駄目』
「えー?殺しちゃ駄目なの?」
『相手は人間よ』
「解ったよ、死なない程度に殴るから」
 電王はそう言って、拓也に連続拳ガトリングガンを放った。
「いてててててててて!」
 と、叫ぶ拓也。
「トドメ!」
 電王はみぞおちを狙った。すると、クラストイマジンが現れ、電王を吹き飛ばした。
「うわあっ!」
 と、宙を舞う電王。
「貴様の相手は俺がしてやるよっ、この死に損ない目が!」
 そう言って、クラストイマジンは、電王が地面に着く直前に蹴り上げた。
「キャー!」
 電王は悲鳴を上げ、リュウタロスの憑依と共に変身が解けた。
「トドメだ!」
 クラストイマジンは飛び上がり、両手を組んで叩き付けた。
ダンッ!──未来は地面に突っ込み、砂煙を巻き上げた。
「ふっ、もうおしまいか?もっと楽しませてくれると思ったのに、泣けるぜ」
 そう言って暫くすると、砂煙が晴れ、髪に金のメッシュを入れたチョンマゲ姿の未来が露になった。
「お前の強さ、泣けるで!」
 と、チョンマゲ未来は言い、ベルトを出現させ、黄色いボタンを押してライダーパスをセタッチした。
「変身や!」
 途端、チョンマゲ未来は電王・プラットフォームに変身し、
Ax formアックスフォーム
 と、アーマーを空中に出現させて合体。アックスフォームへ移行した。
 辺りに無数の白い紙らしき物がフワフワと漂う。
「未来、後は俺に任しとき」
 電王はそう呟くと、デンガッシャーへ飛び込みをし、拾って組み立て直し、アックス状に変化させた。
「掛かって来い」
 と、クラストイマジンを挑発する電王。
「コロコロと姿を変えやがって!」
 クラストイマジンは怒り狂って電王に襲い掛かった。
 電王はライダーパスをセタッチ。
Fullフル chargeチャージ
 電王はデンガッシャーをを空に投げ、まるで相撲をとるように前屈みになり力を溜め、全力でジャンプ。
 投げたデンガッシャーを上空で掴み、両足をM字開脚の如く思い切り広げそのままイマジンを頭から縦一文字切りした。
ドカーンッ!──クラストイマジンは爆裂霧散。
 電王はドスッと着地をし、
「ダイナミック、チョップ」
 と、発してベルトを外した。


 デンライナー食堂車。
「お前、今未来の体から出てきたが、一体何者だ?」
 モモタロスは未来をお姫様抱っこしている謎のイマジンに訊ねた。
「俺は、未来と契約しとるイマジンや」
「け、契約ってお前、俺は全然感じなかったが?」
「それはそうやろな。俺は未来の心の奥の奥で眠っておったんやからな」
「眠ってた、ってお前何時憑いたんだ?」
「未来が幼少の時や。こいつは覚えてへんやろうけど、こいつ俺にお願いしたんや。強くなりたい、ってな。で、俺はこいつの体鍛える為に憑いて、暫くは体鍛えとったんやけど、つい居眠りしてしまって今に至る訳や」
 関西弁のイマジンが話しを終えると、未来が目を覚ました。
バシッ!──未来の拳がイマジンの顎にヒットした。
「痛いやないか、いきなりなにするんや!?」
「降ろせ」
 と、仏頂面で言う未来。
 イマジンは手を放した。
ドカッ!──尻餅を着く未来。
「痛えな、普通に降ろせ!」
 そう言って、その体勢のままイマジンの足を蹴った。が、とても頑丈だったらしく、ゴリッと骨が砕ける音と共に、未来は涙目になって足を押さえた。
「おめえ熊みてえだな。ようし、今日からお前はキンタロスだ。さっきまさかり使ってたからな」
「起きとったのか?」
「ああ。それより、先刻はありがとな」
何の事だ?──イマジン・キンタロスは首を傾げた。
「忘れたか?地獄車を喰らった時、助けてくれたのあんただろ?」
「何や、気付いとったか」
「まぁな。それより飛べよ?私はあんたのお陰で強くなれたんだ。願いは叶ったんだ。だからさ、飛べよ?過去に・・・。勿論、飛んだら追っ掛けるけどな」
 そう言って、笑みを浮かべる未来。
「ん、そうさせて貰うわ」
 するとそこへ、ハナが戻って来た。
「ちょ、何このイマジン?」
 と、目を丸くするハナ。
「お帰りハナ。蟹さん倒しちゃった」
「あ、そう・・・。で、このイマジンは?」
「キンタロス。これから私の過去に飛ぼうとしている所だけど?」
「はぁ!?あんた、イマジンとの契約完了させちゃったの!?何時お願いしたの!?」
「幼少の時お願いした。そんで今契約完了」
「時の運行を守る電王がイマジンに協力してどうすんのよ!?」
 と、ナイス突っ込みのハナ。
「幼少の頃は電王じゃないし」
 その一言でハナは撃沈。返す言葉が無い。
「あの、どうでもええけど、そろそろ飛ばせて欲しいのやけどアンタ」
「お、おう」
 未来は目を瞑った。
「ほな行くで」
 キンタロスはそう言って、未来の過去へ飛んだ。
「行ったか?」
 と、目を開ける未来。辺りを確認すると、徐にカードを取り出し、頭に翳した。
 カードの中央にキンタロスの姿が現れ、赤い文字で06.03.13と表示された。
「この日付は?」
 と、ハナが聞く。
「引っ越しの日、かな」
「引っ越し?」
「うん。私ね、1年前まで北海道にいたんだ。北海道に。だけど、日頃の行いが悪かった所為か、転校を進められてね。で、その日に旅立とうとしたんだが、追い掛けて来た奴がいてさ、告白されたんだ。しかもそいつ、拓也と一緒で私がいじめてた奴なんだ。何でだろうな?いじめてたのに、苦しめてたのに、何で好かれんだろ?」
「それは可愛いからじゃないですか?」
 そう言ったのは、乗務員のナオミだった。
「未来さん、どの角度から見ても可愛いですから」
「成る程、一目惚れね。顔が良いから好かれるのね。誰かさんと違って」
 と、一瞬ハナを見る未来。
「その誰かさんってのは私の事?」
 ハナは今にもキレそうな顔で訊ねた。


2006年3月13日──北海道、新千歳空港。
 未来は、両親に連れられ、搭乗口に向かおうとしていた。そこへ、一人の少年がやって来た。
「待って、待って欲しいっしょ」
 未来は振り向いた。
「何だ、裕二か。またいじめて欲しいのか?」
「違うよ。少しだけ、話し良い?」
「ああ」
 そう返事をすると、両親は、先行ってる、と去って行った。
「好きだ!」
 少年、裕二は未来に抱きついた。
 未来は全身が火照る。
「はっ、何言ってんのお前!?」
「俺、天道さんの事大好き!いじめられても、苦しめられても、何されても平気!だから、行かないで!此処に残って、俺をもっといじめて、苦しめて!」
「ちょ、おま、何言っちゃってんの!?いじめて欲しいなんて、どうかしてんじゃ?」
「どうかしてるよ!」
「よし解った。別れの挨拶だ」
 未来はそう言って、自分を好きだと言う裕二の腹に拳を叩き込んだ。
「うっ!」
 裕二は涙目になった。
「快感、もっとやって?」
ブンッ!──未来は裕二をぶっ飛ばした。
「手加減せず本気でお願い」
「死んでも知らないよ?」
「大好きな天道さんに殺されるなら本望」
「ドM目」
 未来は連続拳を放った。
「オララララララララ・・・・・・!」
 と、叫びながら放つ拳は手加減を知らない。裕二はみるみる内にボロボロになって行き、身体中に痣が出来た。
「もう、気が済んだか?」
「まだだよ。今度は、蹴って欲しいな」
 裕二はそう言って、ニッコリ笑う。
(何だこいつ?Mにも程があるぜ)
「早く蹴ってよ?」
「しょうがねえな」
 そう言って、腹にキックし、怯んだ所で飛び膝蹴りを顔面に放ち、着地の瞬間に回し蹴りを放つ。
 裕二は宙を舞い、床に落ちた。
「気持ちいい、もっとやって、と言うかいっそのこと殺して?」
「・・・良いんだね?殺しても」
「言ったでしょ、天道さんに殺して貰えるなら嬉しい、って」
 未来は裕二に歩み寄り、
「本当に殺すよ?ウザイから」
「良いよ、早く殺してよ」
「じゃあ、トドメね」
 そう言って、未来が裕二の脳天に思いっ切り拳をぶつけようとした刹那、身体中から砂が吹き出し、キンタロスが現れた。
 裕二は驚いて気を失った。
「邪魔だお前!」
ガンッ!──キンタロスの背中に未来の拳がめり込んだ。
「ふん!」
 キンタロスは自慢の怪力で未来を吹っ飛ばした。
「サンキュウ、キンタロス」
 と、電王・プラットフォームが現れ、宙を舞う未来をキャッチした。
「あ、ありがとう、コスプレさん」
ピキッ!──電王の額にムカツキマーク出現。
 電王は未来を降ろすと、鳩尾を繰り出した。
「うっ!」
 未来は気を失い、その場に倒れた。
「ごめん、私・・・。裕二を死なさせる訳にはいかないんだ・・・」
 電王はそう呟き、キンタロスの方を向いた。
「キンタロス、約束だぞ」
「解っとるで!」
「行くぞ!」
 電王はキンタロスに突進。だが、キンタロスはびくともしない。
「未来、イマジン呼ばへんのか?」
「あんたが過去に飛んだの、私の責任だから、私がケリを付ける」
「そうか。ならば全力で来いちう訳や」
 キンタロスはそう言って、電王を宙へ放り投げた。
 電王は空中で体勢を立て直し、踵落としを繰り出した。
「ふん!」
 キンタロスは受け止めた。
(読まれた!?)
「悪いが、その程度の小細工は通用せんで」
「ならば!」
 電王はもう片方の足で、キンタロスの胸部を蹴り飛ばした。
 キンタロスは蹌踉めき、電王を放した。
「なやろかかやるな。やけど、その程度では俺を倒す事は出来ないや」
 キンタロスは体勢を立て直し、空手チョップを繰り出した。
「くっ!」
 ガードする電王。「スキありや!」
 蹴り飛ばすキンタロス。
「うわ!」
 電王は後方に吹っ飛び、床を転がった。
(やべえな。此処では人間が巻沿いを喰らう・・・)
 電王は素早く立ち上がり、
「キンタロス、場所変えねえ?」
「どうしてや?」
「此処でやったら他の人間が巻沿い喰らうだろ。外へ出よう」
 電王はそう言って、左側にあるガラスをパリンと割って飛び降りた。
 続いてキンタロスが飛び降り、両者は地面に着地し、構えた。
 その傍らでは、金田一風の男が時計を見ていた。
「はああああ!」
 電王は雄叫びを上げながらキンタロスに接近。跳び蹴りを放った。
 キンタロスは両手を前に出して受け止める。
「重たい技やな」
 キンタロスは後方へズルズルと下がった。
「やけど、俺を侮るな」
 キンタロスは力一杯込めて、電王を上空へ跳ね上げた。
 電王は空中で数回程回転し、間合いを取って着地した。
「お前、手加減してるだろ?本気だしたらどうだ?」
「俺は女の子相手には本気出さないんや」
「確かに私は女だが、電王だ。電王はイマジンの敵だろ?」
 と、その時、巨大な爆発が発生。管制塔が破壊された。
「何や?」
「何?」
 二人は爆発のあった方を向いた。すると、燃えさかる炎の中からクラストイマジンが姿を現した。
「アホなっ、あいつは俺が倒した筈や!」
「生きてたってのか!?」
「未来、再契約や」
 キンタロスはそう言うと、電王に憑依した。
「悪いがもう暫く一緒にいさせて貰うで!」
 電王はそう言って、黄色いボタンを押してライダーパスをセタッチ。
Ax formアックスフォーム
 瞬間、アーマーが出現、装着され、アックスフォームに移行。辺りに数十枚の白紙がヒラヒラと舞った。
 電王はクラストイマジンを目指し、走り出した。
ん?──クラストイマジンはそれに気付き、急接近した。
「ふん!」
 電王は瞬時に組み立てたデンガッシャーを接近するクラストイマジンに思いっ切りぶつけた。
 クラストイマジンは吹っ飛び、落下した。
「お前、何故生きとるんや?」
 クラストイマジンは起き上がり、
「それは急所を外れたからだ」
「そうか。それにしても、同じ時間やったとはな。御陰でカードを無駄にせんと済んだぞ」
『来るなんて知らなかっただろ』
 と、突っ込む未来。
「そないなのどやってええんや」
「何を一人でブツブツ喋ってやがる!?」
 クラストイマジンはそう言って、巨大な蟹挟みをブーメランの如く飛ばした。が、それは電王を横をスルーした。
「そないなの当たりまへん」
『キンタロス、後ろ!』
「何やと!?」
 電王は慌てて振り向いた。が、時既に遅し。電王は旋回して戻って来た蟹挟みを喰らってしまった。
「うわあ!」
 電王が吹き飛ぶのと共に、キンタロスが電王から抜けてしまった。
「バトンタッチだモモタロス!」
 そう言って、電王は赤いボタンを押し、ライダーパスをセタッチした。
Swod formソードフォーム
 瞬間、電王はアックスフォームからソードフォームへフォームチェンジした。
「どわ!」
 電王は落下すると、そう口にした。
「何で着地してから呼ばねえんだ!?」
『面倒だったし』
ガシッ!──クラストイマジンは電王の顔に足を載っけた。
「また姿を変えたな?」
「うっせえ!面倒だから前置きは無しだ!」
 電王はデンガッシャーを組み立て直し、クラストイマジンを斬りつけた。
「ぬわ!」
 と、蹌踉めくクラストイマジン。
「おらよ!」
 デンガッシャーがクラストイマジンの胴体を斬り、火花を散らせる。
「こいつでしまいだ!」
 と、ライダーパスをセタッチ。
Fullフル chargeチャージ
 剣先がデンガッシャーから外れ、空中へ飛び出す。
「俺の必殺技Part5!」
 と、デンガッシャーを斜め上から振り下ろし、クラストイマジンを真っ二つに切り裂く。
ドーン!──クラストイマジンは爆裂霧散。跡形もなく消滅した。
『モモタロス、一つ良いかな?』
「何だ?」
『3の次は4だよ?』
「良いんだよそんなの!俺の必殺技は一個抜かす程凄いんだ!」
 電王はそう言って、デンライナーに向かった。
『待ったモモタロス!』
「何だよ!?」
『後ろ。やべえ気がする』
「何がだ!?」
 と、振り返る電王。その先には、恐竜並の巨大な生物が宙に浮いていた。
『あれ何なの?』
「ギガンデス・・・イメージが暴走したイマジンだ!」
 電王はそう叫ぶと、急いでデンライナーの操縦席に入り、バイク・マシンデンバードに跨った。
『どうするの?』
「さあな!」
 電王はライダーパスをデンバードのキーボックスに差し込み、デンライナーを戦闘形態にした。
「行くぜ行くぜ行くぜー!」
 電王はそう叫びながら、各車両に付いたゴウカノン、ドギーランチャー、モンキーボマー、バーディーミサイルでギガンデスに攻撃をした。
 ギガンデスは全ての攻撃を喰らい、轟音と共に消滅した。
「終わったぜ・・・」


 デンライナー食堂車。
「で、何でまだこいつがいるんだ?」
 と、モモタロスは未来に訊ねる。
「いや、それがさ、再契約って事で、また憑かれてしまったんだよね」
「お世話になるんや」
 と、キンタロス。
「あーあ、食堂車狭く為っちゃったな」
 と、リュウタロス。
「リュウちゃん、文句言わないで?」
「全く、こんなにイマジン増やして・・・・・・」
 ハナ呆れた顔で言った。
「良いじゃん、賑やかになって」
「そうじゃなくて、あなたの体が心配なのよ。一気に三体ものイマジンを憑依させてるんだから、それだけ体にも負担が掛かるの」
「大丈夫だって」
「もう良いわ。好きにして」
「解った。好きにする」
 未来はそう言うと、ナオミの前のテーブルに着いた。
「ナオちゃん、コーヒーくれる?」
「了解しましたぁ」
 ナオミは特製のコーヒーを煎れ、未来の前に出した。
(う、何コレ?凄く不味そうなんだが・・・)
「飲んで下さい、とても美味しいですよ?」
「本当か?」
 未来はコーヒーを試し飲みした。
ブッ!──未来は吹き出した。
「マッッッッッッッッズー!」
 未来はそう叫び、気絶した。どんだけ不味かったのだろう?




宣伝兼ねて名前だけ出した「劇場版・仮面ライダー電王 俺、誕生!」
放映は今月の4日土曜、つまり明日だ!そして今日はテレ朝系列の「クレヨンしんちゃん 真夏の夜にオラ参上!嵐を呼ぶ 電王VSしん王60分スペシャル」に我らが電王が登場だ!
電王ファンもしんちゃんファンも絶対見逃すな!見る時は気分は最初から最後までクライマックスだ!













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