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魔女のしつけ

作者: 七式

「セシル、セシルはどこ」

森に囲まれた町外れの小さな家で私を呼ぶ声が聞こえる。また私が魔法を使った事がバレたんだ。

「またホウキに魔法を使ったわね。こういう事に魔法を使わないの」

学校から帰ってきたら部屋を掃除するように言われて、面倒だからホウキに魔法を使って掃除させたの。せっかく魔法が使えるのに、お母さんはダメだっていつも私を叱る。

「魔女の子はこんな事に魔法を使ってはいけないの。次は晩御飯を無しにします」

納得できない。

「お母さんは出来上がった薬を届けてくるから、帰ってくるまでに終わらせるのよ」

そう言うとお母さんは出掛けてしまった。私は渋々といった表情で掃除をした。

「なんでアナタは綺麗に掃除が出来ないのよ。ホウキなのに」

 ホウキに文句を言いながら私は掃除を片付けた。お母さんは帰って来ると掃除した部屋を見渡した。

「ちゃんと自分で出来るじゃない。とっても綺麗よ」

 そう褒めてくれた。私はとっても誇らしい気持ちになったけれど、やっぱり魔法を使っちゃいけないのは納得できなかった。

 次の日、学校でみんなに聞いてみた。もし魔法が使えたらって。

「空を飛んでみたいな」

「お手伝いを代わりにやって欲しいわ」

「動物とお話できるかしら」

 やっぱり魔法は便利な物なんだ、使わないなんてもったいないわ。私は意気揚々と帰ってくると、ペンに魔法をかけ宿題をさせて遊びに出かけた。私は友達とたくさん遊びたいし、花や小鳥達といっぱいお話したい。宿題なんて魔法を使えばいいんだ。遊びから帰ってきた私にお母さんが言った。

「たくさん遊ぶのはいい事だけれど、宿題があったんじゃないの」

「そんなの終わってるわ」

 私はお母さんに得意気に宿題を見せた。

「単語の書き取りだったのね。、セシルまた魔法を使ったわね」

「、使ってないわ」

「ウソおっしゃい。今日は晩御飯抜きです」

 バレていた。なんでバレたのだろうとベットでふてくされていると、おばあちゃんがパンを持ってきてくれた。おばあちゃんはいつも優しい。パンを食べながらおばあちゃんに聞いてみた。

「どうしてすぐにバレちゃうのかしら。私の魔法は上手じゃないかな」

 おばあちゃんは優しく私の頭を撫でながら話してくれた。

「セシルの魔法はとても上手だよ。おばあちゃんやお母さんがセシル位のころに比べたらとても上手。けれどねセシル。いくら魔法でも出来る事と出来ない事があるのさ。それがなにかわかるかい」

「よくわからないわ。おばあちゃん」

 頭をかしげる私におばあちゃんは優しい笑顔で続けた。

「お母さんはセシルに魔法なんて使わなくても、なんでも出来る人になって欲しいのさ。もちろん、おばあちゃんもそう思ってるよ。それで魔法が使えたら、もう一人前の魔女さ」

 私にはよくわからなかったけど、お母さんやおばあちゃんが私を愛している事はわかった。今日はゆっくり寝なさいとおばあちゃんは言いながら頭を撫でてくれた。私は魔法にかけられた様に眠ってしまった。

 次の朝、お母さんは朝ご飯を作っていた。

「、昨日はごめんなさい」

 そう言った私にお母さんは笑顔で答えた。

「反省してるならいいのよ。お腹空いたでしょ」

 そう言ってお母さんは魔法を使って食器を並べた。お母さんを見ると悪戯っ子な笑顔を浮かべていた。

「おばあちゃんっ」

 おばあちゃんを見るとおばあちゃんも笑っていて、私までおかしくなって三人で笑っていた。その日の朝ご飯は魔法の様に美味しかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 可愛らしいお話ですね 何でも自分で出来て、魔法も使える理想の魔法使いに育てたいという気持ちが伝わってきました。
2014/10/13 21:56 退会済み
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