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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第4章 冒険者 雌伏編

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第08節 蟻の巣攻防戦(その4)(女王蟻たち視点)


女王蟻(クイーンアント)を頂点とする蟻たちは、コロニーと呼ばれる巣を地中深くに構築している。
通常、エネルギー源である食料は充分に備蓄しているため滅多に地上に出てくることはない。
しかし、外敵に襲われることがない地中にいるため、個体数が増え備蓄では足りなくなった場合に地上に餌を求め蓄えを補充する。

蟻の食性は肉食であり生きた動物を襲うため、蟻の巣が発見された辺りでは生物が確認できないといった事態にまで発展することが報告されている。

また、食料の対象は多種多様であり、驚きは自分達よりはるかにLvの高い生物でさえ、数の暴力により狩ってしまうことまであった。
当然、食料の対象には人間も含まれている。

イザウルクロウの街からそう遠くないところでの蟻の巣の発見は、街に蟻が大挙して押し寄せる可能性もあり、冒険者ギルドが目の色を変えて蟻の排除を行うのには、そういった背景からでもあった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

大地震は、コロニーにも甚大な被害をもたらしていた。

女王蟻(クイーンアント)が側近のソルジャーキングに被害状況を確認する。

「被害状況はどうなっておる?」
「はい。幸いにも孵化部屋への被害はありませんでしたが、餌の貯蔵庫に通じる道の大半が埋まってしまいました」
「復旧の目処はどうじゃ?」
「少なくとも数年はかかるかと」
「そう・・・」

ソルジャーキングの報告に落胆の声を上げる。
しかし、嘆いてばかりもいられない。

「で、残りの備蓄でどの程度もたせられるのじゃ?」
「まもなく孵化する3万の子供たちを含めますと、約10年と言ったところでしょう。さらにそれ以降の産卵を考えますと、食料の調達は急務かと・・・」

元々30年は楽に越せるだけの備蓄があったが、その約7割を失った上にあと2回は行うであろう産卵を考えると、食料難は免れない状況であることは理解できた。
そこで、女王蟻(クイーンアント)はある決断をする。

「地上への食料調達隊を直ちに編成しなさい」
「よろしいので?元々は次代の女王蟻(クイーンアント)が行う予定でしたが・・・」
「仕方ありません。事は急を要します。私の代で終わる訳にはいきませんもの」
「判りました。すぐに編成を開始します」
「それと、埋もれた備蓄の掘り起こしも急がせなさい」
「仰せのままに」

そう言ってソルジャーキングは下がっていった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

女王蟻(クイーンアント)の指示により、地上への食料調達隊が編成される。
まずは、地上に出るための入り口を確保するためのソルジャーアント15匹が工作隊として編成された。

このコロニーでは、過去に外部への入り口があった時期があり、そこまでは足跡フェロモンをたどって行くことが可能だった。
ただ、今の女王蟻(クイーンアント)の代になってから、外からの侵入者が十年以上無かったことを考えれば、入り口が何かしらの原因で塞がれていることは想像がついた。

「良いか。まずは、足跡フェロモンをたどり塞がれているであろう入り口を見つけだすことだ。入り口が確保出来次第、食料調達隊を送り出す。それまでは外に出ず入り口を確保することに専念しろ」
「判りました」
「外敵に遭遇した場合はどうすればいいでしょうか?」
「もし、外敵に遭遇するようなことがあれば、食料調達隊が着くまで進入を阻止するだけでよい。判ったな」
「「「「はっ!」」」


そうやって送り出された工作隊は、足跡フェロモンをたどりつつ歩を進めていた。

しかし、なにぶんにも時間がかなり経過していることもあり、女王から離れるに従い足跡フェロモンが消えかかっている部分があった。

「そっちはどうだ?」
「こっちにはそれらしい匂いはないな。そっちはどうだ?」
「こっちも同じだ」
「おーい、こっちに微かに匂いが残っているぞ」

入り組んだ通路を手分けをしながら匂いを追跡する。
後続の食料調達隊のため、自分達が通ることで新たな足跡フェロモンを付けることも任務としてあった。
そのため、道を間違える訳にいかず嫌でも慎重にならざるを得なかった。

工作隊は、
地表に近づくにつれ1つの不安を抱いていた。
それは、地表から洞窟内部に向けて空気の流れがあることだ。

「微風だが風を感じないか?」
「それは俺も感じていた」
「たしか、地上への入り口は閉ざされていると聞いているが、間違いないのか?」
「そう聞いている」

工作隊の面々は、先の大地震で閉ざされていた入り口が、よもや開いているとは思っていなかった。
風は微風だったが、洞窟の外部から内部に向けて流れていた。

「しかし、この風の流れはどうだ。既に入り口が開いているのかもしれん」
「たしかそうかもしれんが、匂いもそちらに続いている以上留まることは出来んぞ?」
「それは判っている。だが、用心に越した事は無い。慎重に進もう」

暫く匂いを辿って進んでいく。
その間、風の流れははっきり感じ取れるようになっており、その風は木々の爽やかな香りに包まれていた。

「この様子だと、確実に入り口が開いているな」
「そうだな。どうする?」
「この状況を女王蟻(クイーンアント)に伝えよう。その上で指示を仰ごう」
「それがいいだろう」

カラカラカラ!

これからのことを相談していたところに壁の石の崩れる音がした。
工作隊は、慌てて音のしたほうを見ると、そこには数人の人間がこちらを覗きこんでいるのが判った。

「人間だと!」
「もうすでに入り口を見つけられていたか!」

「#$%87%$#&#=~!」

人間たちは、工作隊に見つかったことで何かを叫びながら慌てて逃げ出した。

「ま、まずい。お前は急ぎ戻って状況を女王蟻(クイーンアント)に伝えるのだ」
「お前たちはどうするのだ」
「どうやら逃げ出したところを見ると人間共は少数のようだ。逃がすと厄介だから奴らを追いかける」
「判った。くれぐれも無茶はするなよ」

そう言って、人間たちを追いかけ始める工作隊。

「&‘(%$#)==&%△■」
「▲%=#“□=~&%$#12‘&」

しかし、人間たちも死に物狂いで逃げており、なかなか距離が詰まらない。

しかも、追いかけているうちに、周りがだんだんと明るくなってきているのが判る。
やはり、既に人間共に入り口が開けられているようだった。
ただ、その仕業が人間のせいではなく、先の大地震だとは思ってもいなかった。

「急げ、逃げられてしまうぞ」

そう言った瞬間、目の前に光が溢れ出した。

どうやら、入り口に到達したらしく、人間共は転がるように外に飛び出す。

「と、止まれ!」

工作隊は、入り口の側で慌てて停止する。

人間共も入り口の側で迎撃体制を取りながら中を伺っている。

「仕方ない、戻るぞ」
「あいつらは放っておいていいのか」
「あの人数ではなにも出来まい。それよりも状況報告に戻ろう」

そう言いながら、巣の中へと引き返していった。


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