挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第4章 冒険者 雌伏編

93/96

第07節 蟻の巣攻防戦(その3)


「準備はいいですか?」

後5分ほどでファイアウォールの効果が切れるというところで、カムイから攻略の手順の説明があった。

「俺が魔法で一掃しますので、皆さんは、俺が討ち漏らした魔物の処理をお願いします」

アマゾーンのメンバーは、既に俺の戦いを経験済みなので『判った』と承諾したが、砂塵の星のメンベーからは『一人で大丈夫なのか?』と心配する声が上がった。

「カムイに任せておけば大丈夫よ」
「そうそう。出番があるかも怪しいしね」

そう言って、砂塵の星の心配を笑ってみせる。

Dランクパーティには討伐した魔物の部位剥ぎ取りを、連絡員はこれまで同様マッピングと本部の連絡係りをお願いした。

だんだんファイアウォールの炎の勢いが無くなり、壁の向こう側が見えてきた。
そこには、炎の壁つたいにビッシリ黒墨になった蟻の死骸が積み重ねられていた。

「来ます!」

カムイは、魔素を集めながら他の者に注意を促す。
そのカムイの言葉が合図かのように、黒墨になった蟻の壁を破るようにソルジャーアントの群れが殺到してきた。

(コールド)

カムイは、すかさず魔法で迎撃する。
通常コールドは、氷柱(つらら)状の槍を相手に飛ばすのだが、多数の魔物に対するためにカムイは針状の細かい槍になるよう魔力を制御する。
氷柱状態では、どうしても1本1本の間隔が大きくなり討ち漏らしがでるのを、針状に細かくすることで回避するためだ。
氷の針は、1列目にいたソルジャーアントの身体を貫き、2列目、3列目にいたソルジャーアントをも貫いていく。
貫かれたソルジャーアントは、その場に崩れるように動かなるが、その上を後続のソルジャーアントが踏みつけながら迫ってくる。

(ウインド)

カムイは、前進しながら続けざまにウインドを放つ。
系統が違う魔法であればリキャスト(魔法再発動時間)を気にする必要がないための芸当だ。
ウインドは、真空の刃を放つ魔法だが、コールドと同様に魔力を制御し無数の小さい刃にすることでソルジャーアントを屠っていく。
運が悪い者は、後頭部と前胸背板の間(首に相当する位置)を切り飛ばされ、またある者は四足をきり飛ばされ動けなくなったところを後頭部に短剣を突き立てられ絶命する。

「す、すごいな・・・・」
「だから大丈夫といったでしょう」
「しかし、相変わらずやることが出鱈目ね」

これまで自分たちが苦労していたソルジャーアントを苦もなく倒していくカムイを呆れ顔で眺めるアマゾーンの面々と、あまりの強さに驚きの表情を隠せない砂塵の星の面々と反応は様々だった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カムイは、魔法と短剣を駆使し殲滅速度を上げていく。

蟻たちは、密集していることが仇になり、カムイの魔法を避けることができずに喰らってしまう。
運よく即死を逃れても、カムイの容赦ない短剣の一撃で命を刈られていく。
それでも蟻たちは、本能的に『この男を女王蟻(クイーンアント)に近づけてはいけない』と感じているのか、カムイに襲い掛かってくるのを止めなかった。
蟻たちにとっては悪夢のような時間が過ぎていく。

蟻たちに知性というものがあれば、闇雲に突っ込んでいくことはなかったかもしれないが、ただひたすらに女王蟻(クイーンアント)を守るためだけにカムイに向かっていく。


蟻の巣は、1本道ではなく所々に支道があり、そこにも蟻たちが群がっていた。
支道の蟻たちは、カムイの指示によりアマゾーン、砂塵の星が対応に当たる。

「右の通路はジュリアナさんお願いします」
「任せて!」

「左の通路はバシルさんお願いします」
「判った!」

支道は、蟻の数もそう多くはなく、背後を気にしなくてもいいため、アマゾーン、砂塵の星で十分対応が可能だった。
カムイが支道を他のパーティに任せるのは、その先が行き止まりで蟻の増援が無いとマップで判っているためだ。
蟻を殲滅し、証明部位を集めて戻ってくるまで、カムイは先には進まず本道で迎撃に専念する。

カムイが合流してから一番忙しいのは、カムイが屠った蟻から証明部位を剥ぎ取るDランクパーティかもしれなかった。
時折、殲滅スピードに追い付けず、カムイがペースをセーブするといったことが何度もあった。

そうしてソルジャーアント、アントキングを倒しながら進むと、30m四方の大きなドーム型の空間に出た。
そこには、6~70cmほどの丸くて白い塊が床に並べられ、それでも場所が足りないのか壁一面にへばり付けられていた。

「これはなに?」

初めて見るのだろうジュリアナが声を上げる。
ジュリアナだけではなく、カムイを除く誰もがそれ(・・)がなんであるか判っていなかった。

「どうやら蟻の卵のようですね」
「これが全部!?」

カムイも元の世界での体験を含め実物を見るのは初めてだったが、知識だけは持っていた。

「よく判ったわね」
「昔、祖父に教わりましたから。それに・・・・」
「それに?」

カムイは、無造作に部屋に足を踏み入れ、白い殻の内部が透けて見える卵を切り裂いた。
そこから出てきたそれは、まぎれもなく蟻の形をした個体だった。
モゾモゾと四足を動かし、立ち上がろうともがく蟻の仔の脳天に容赦なく短剣を突き立てる。
マップ上も孵化間近の卵だろう、赤いマーカーがビッシリと点在している。
間違いなくここは蟻の孵化(ふか)部屋のようだ。
ここにあるということは、他の通路でも見つかっているかもしれない。

「蟻に孵化されると厄介なので、全部燃やしてしまいましょう。それと、他の通路でも同じようにある可能があるので、本部に知らせてすべて処分するように連絡してください」

そう言って連絡員を本部に走らせる。

「皆、一旦外に出てもらえますか。範囲魔法で一気にすべて焼き払います」
「えっ!?」
「範囲魔法って、あなた盗賊でしょ?そんなことできるの?」

アマゾーンの黒魔術士であるアゼナイジでさえ、範囲魔法は習得していない。
もちろん砂塵の星の黒魔術士もだ。
にも拘わらず、盗賊であるカムイは使えると言う。

全員を部屋の外から追い出したあと、入念に魔素を集めていく。
そして、魔法の範囲を慎重にイメージしていく。

「いきます」

(ボルケーノ!)

すると、床全体を覆うように魔法陣が浮かび上がり、部屋を埋めつくす巨大な1本の火柱が立ち上る。
炎は、部屋の中にあった全ての卵を飲み込み燃え上がる。

ギギギャキューーーー!

孵化間近の卵から悲鳴のような鳴き声が漏れてきた。

「す、すげーな・・・・」
「どこまで規格外なの・・・・」

カムイを除く全員が、その光景を呆気にとられながら見ているのだった。


一方、カムイたちが孵化部屋を炎で焼き払っているころ、カムイの指示を受けた連絡員がイザウルクロウのギルド長ジャスパーに元に卵の件が届けられた。

「数千個の卵だと!?」
「はい。カムイの話では他の通路でもあるはずなので、やり過ごさず必ず処分するようにとのことです」

『孵化間近の卵もあり、放置していおくと背後から教われ挟み撃ちになる』と。
それを聞いて頭を抱えるジャスパー。

「どうしたのじゃ?ジャスパー。カムイの言うことが本当なら、他の通路にも連絡を急ぐ必要があろう?」

ギルバードの言葉に、ジャスパーは困った顔をする。

「実は30分ほど前に、同じものを見つけたと報告があった。それが蟻の卵とは知らずに害がなければ放っておくように指示したばかりなんだ。」
「なんだと!?」

ジャスパーとしては、各パーティとも疲弊していることは、報告を受けて知っていた。
そのため、体力や魔力を温存する上でも避けられる戦闘は避けたいとの思いがあった。
また、その白い物体が蟻の卵であることを知らなかったこともあり、放っておくよう指示したのだった。

「まだ、そう奥へは進んでないだろう」

ギルバードは、カムイが遣わした連絡員に向直り、

「すまんが、他の通路へ今の情報を伝えてくれんか」
「判りました」

そう言って、他の通路へと走り出す連絡員だった。


お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

設定資料集のブログです。
http://adventure00story.blog.fc2.com/
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ