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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第4章 冒険者 雌伏編

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第05節 蟻の巣攻防戦(その1)


イザウルクロウのギルドは、騒然としていた。
Dランクパーティの持ち帰った蟻の巣発見の報は瞬く間にイザウルクロウで活動している冒険者の間に広まっていった。

「まだまだ冒険者の数が足らないぞ!各街のギルドにも応援を要請しろ!」

副ギルド長であるファクリの声が、ギルド内に響き渡る。

「どうだ、集まり具合は?」
「18パーティ70名弱といったところですね。各街にも応援を出してもらうよう手配しましたが、まだまだ足りない状況です」
「そうか・・・・数は多ければ多いほうがいい。頼んだぞ」

そう言う人物こそ、イザウルクロウのギルド長を務めるジャスパーだ。
ファクリは無言で頷く。

「なにせ、新しい蟻の巣の発見は50年以上なかったからな。場合によってはアレ(・・)がいるかもしれん」
クイーンアント(女王蟻)ですね」
「あぁそうだ」

二人は、苦々しい表情を見せる。

ギルドの記録では、55年前にホヴァニシアン侯爵領で発見されたのを最後に新しい巣は見つかっていない。
しかもクイーンアント(女王蟻)はCランクレイドとの記録があり、その中でも上位の強さらしく、その時討伐に参加した人数は300名を超え、死者も30名を超えたらしかった。
今回見つかった蟻の巣にもクイーンアント(女王蟻)がいる可能性ふぁ高いと睨んでいた。
それこそが人手を欲する理由だった。

「だが、まずは蟻共を穴から出さないことが先決だ」

そう言って、参加希望パーティを次々登録し送り出すジャスパーとファクリだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カムイは、珍しく依頼を受けていた。
いや、正確にはギルバードに無理やり受けらされていた。

カムイは、いまだにDランクであることに不満はないのだが、ギルバードからすれば優秀な人材をいつまでも下位のクラスで遊ばせる訳にはいかないとの思いがあったからだ。

「えー!?なんで俺がゴブリン討伐に向かわなきゃいけないんだ?」
「煩い!いつまでたっても貴様がCランクに上がろうとしないからだ!」
「そんなの俺の自由だろ?」
「いいから黙ってやれ!それともなにか特別依頼にされたいか!」
「キッタネー!二言目にはそれだ。完全な職権乱用だー」
「いいからサッサといけ!」

カムイからすれば、ゴブリンなどの低級魔物盗伐は難易度が低い。
移動を含めても2、3日で帰ってこれるだろう。



「ただいまー」
「「おかえり、カムイくん!」」

ギルバードから無理矢理やらされた依頼を終えて戻ってきたカムイ。
カレリーナとシータに迎えられる。

「どうだった?」

理由や経緯はどうであれ一度引き受けた依頼に対し、手を抜くことをしないことは判ってはいる。
今回も、到底一人では実行できなさそうな数を討伐してきたのだろうと、カレリーナもシータも思っていた。

「ご希望通り間引いてきましたよ。暫くは増えないと思いますよ」

そう言いながら部位清算のためにワッハーブのところにいく。

「ようカムイ、清算か?」
「えぇ、お願いします」

そう言って無限袋から部位を出していく。
ワッハーブも慣れたもので、普通の冒険者であればトレイで事足りるのだが、カムイが普通でないことは判っているため、複数のコンテナを用意している。

ゴブリン 右耳 1493個
コボルト 右耳 518個
オーク 右耳 327個

「お前、間引くという意味が判ってるのか?これじゃ殲滅してきたと言ってもいい数だぞ?まいどまいど、何なんだったく。確認するからちょっと待ってろ」
「アハハハハ」

カムイは苦笑いするしかなかった。

「ほら、清算金と依頼完了のサインだ」
「ありがとうございます」

そのまま、受付に完了したゴブリン、コボルト、オークそれぞれの討伐依頼書を提出する。

「ご苦労様。これでCランクまであと1つね」
「そうなんですね」

カムイは、冒険者ランクに固執していないためそっけない返事をする。

そんなカムイに、カレリーナから新たな依頼の話がでる。

「そうだ、カムイくん、戻ってきて早々で悪いんだけど、イザウルクロウに向かって貰えないかしら?」
「イザウルクロウ?たしかサフリン子爵領ですよね?何かあったんですか?」
「えぇ。イザウルクロウに新たな蟻の巣が見つかったらしいの。カムイくんが出ている間にイザウルクロウのギルトから各街のギルドに支援依頼がきたの。今ギルド長もイザウルクロウに行ってるわ」
「ギルさんが?」

基本的には、各街のギルドは独立しており、よほどのことがないかぎり他街のギルドに干渉することはない。
そんな中、イザウルクロウから各ギルドに支援依頼が来たり、ギルド長が直々に出張ることはよほどのことが起きているのだろう。

「蟻の巣って、あの蟻の巣ですか?」
「カムイくんがなにを指してるのか判んないけど、その蟻の巣よ」

他の領に蟻の巣が存在していることは、図書館の情報から記憶していたが、各街のギルドに応援が必要なことなのか、カムイにはピンとこなかった。
訝しがるカムイに、カレリーナが簡単に支援の経緯を説明する。

「新しい蟻の巣が見つかったのが55年ぶりなのよ。しかもCランクレイドのクイーンアント(女王蟻)がいる可能性が高いそうなの」

レイドと聞いて、カムイの眉が跳ねる。

「レイドですか・・・・それ本当なんですか?」
「判らないわ。それを確かめる意味でも人手が欲しいみたいなのよ。行ってくれる?」

ギルバードの手配により、カムイに対しては指名依頼という形での参加となるのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「おう、来たかカムイ」

イザウルクロウのギルドに顔を出すとギルバードがカムイを見つけ声をかけてきた。

「どんな状況ですか?」
「うむ。思った以上に蟻の数が多くてな、少しづつしか進めておらんようじゃ。ただ、地下に向かって伸びている洞窟は3つのルートがあるところまでは判っておる」
「そうですか。で、人手はどのくらい集まっているんです?」
「32パーティ225名だな」

そう答えたのは、イザウルクロウのギルド長のジャスパーだった。

「ギルバード、彼ですか?あなたの言ってた秘密兵器とは」
「そうだ。紹介しようカムイだ。こっちはここのギルド長をしているジャスパーだ」
「カムイです。ギルさんがなんて言ってるか知りませんが、ただのDランク冒険者ですので過度の期待はしないでください」

そう言いながら握手をする。

「しかし、200名もいて手古摺るなんて、そんなに厄介なんですか?」

そういうと、ジャスパーが理由を教えてくれた。

・ルートが3つ分かれており戦力を分散していること
・冒険者のランクもC~Dが中心であること
・蟻単体でもLv40以上あり、思った以上に数も多いこと

「そういう状況からから無理をさせることもできず、慎重に進んでいる状態なんだ」
「そうなんですね」
「聞いているかもしれないが、クイーンアント(女王蟻)に到達する前までに損害を抑えたいこともあってな・・・」

どうやら、レイドがいることを想定してのことのようだ。
状況は理解できた。

「それで俺は、どうすればいいんです?」
「それなんじゃが・・・・」

そういって、1つのテーブルに連れていかれる。
そこには、蟻の巣の地図と思われる紙が広げられていた。

「へぇ~。これは蟻の巣の内部ですか?」
「完全とまでは行かないがな」

ちゃんと、マッピングしながら進んでいることに、感心するカムイ。

「お前さんには、このルート攻略を任せたい」

ギルバードが指したルートは、他より進捗が遅れているルートだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カムイは、蟻の巣攻略の前線基地になっているテントにいた。
理由は、ジャスパーからの手紙を前線基地で指揮にあたっているファクリに渡すためだ。

「君がカムイか。ギルバード殿には聞いていたが、随分若いんだな」

手紙を受け取りながらファクリは、カムイから手紙を受け取る。
一通り目を通したあと、再度カムイを値踏みするかのように見渡す。

「手紙には、進捗が遅れている右側通路を任せろと書いてあるが、本当に大丈夫なのか?」
「なにがです?」
「なにも聞いてないのか?進捗が遅れているのには訳があるんだ・・・・」

(ん?そういえばギルさんもジャスパーさんもそんなことは一言も言ってなかったな)

「訳?」
「あぁ、右側通路は、他の2本に比べ魔物Lvが高いんだ」

どうやら、右側、中央はLv40アント、Lv41アントガード、Lv42アントキャプテンが中心なのに対し、左側はLv45ソルジャーアントが中心で中にはLv47キングアントも混じっているらしかった。
そのため、少し多めに人数を割り当てているにもかかわらず、突破に時間を要する結果になっていた。

「まぁなんとかなるでしょう」

クイーンアント(女王蟻)以外は所詮は蟻であり、自分の経験値の肥やしにしかならないと高を括るカムイだった。

お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

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