挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第4章 冒険者 雌伏編

88/96

第02節 ファイアードレイクは何処?


「改めまして、ヴューベルで冒険者をやっています、カムイといいます」

ガロッツォに改めて素性を明かす。

「俺のことは知っているな。後ろにいるのが、俺の右腕のファクリとイスマイルだ」

後ろに控えている2人を紹介する。
2人は、軽く会釈で答える。
ギルドリングこそしてないが、Bランク冒険者相当の腕は持っているようだ。

「で、情報が欲しいとのことだが、なんの情報が欲しいんだ?」
「ファイアードレイクの情報です」
「ファイアードレイク?魔物か・・・・そんなものどうするんだ?」
「新しい防具を作るのに、ファイアードレイクの素材が必要なんですよ。図書館で調べたり、伝手(つて)に頼ったんですが、居場所が判らないんですよ」

知られても困る話でもないため、カムイは正直に今の状況を説明する。

「お前たちは聞いたことがあるか?」

ガロッツォはファクリとイスマイルに聞いてみるが、2人とも首を横に振るだけだった。

「レア素材のようで、古い文献にその名前だけが残されているのみですからね」
「で、それでどうして俺なんだ?俺はしがない予想屋だぜ?それこそ魔物の素材のことなら冒険者ギルドで判るんじゃないのか?」

普通に考えればガロッツォの言っていることは正論だ。
ただ、革の街ニバックルで判らない情報を冒険者ギルドが所有しているとは思えなかった。

「トーナメントの日、俺と会話した内容を覚えてますか?」
「・・・・・」
「その様子だと覚えているようですね。前夜祭の出来事を知っていることに対してこう言いましたよね。『蛇の道は蛇じゃないが、情報収集で食ってるようなもんだからな』と」
「よく覚えているな・・・・。確かに言った」
「そこでピンときました。この人は確かな情報網を持っている(・・・・・・・・・)はずだと」

その言葉にファクリとイスマイルの眉が跳ねる。
しかも殺気まで(まとい)はじめる。
それをガロッツォが手で制し、椅子の背にもたれるように深く座る。

「はぁ~。偶然だったとはいえ、お前さんと話しをしたのは失敗だったのかもしれんな・・・・・。で、依頼はファイアードレイクの居場所で間違いないんだな?」

こうして、ガロッツォにファイアードレイクの情報収集を依頼するカムイだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

ガロッツォに情報収集を依頼している間、カムイは、防具の制作に必要な残りの素材集めに奔走した。
そちらの収集については、そう時間はかからなかった。

ガロッツォには、何かあればノップス商会に連絡を寄越すように伝えていたため、今はヴューベルの牛歩亭ではなくノップスのところに厄介になっている。
それに一番喜んだのはセフィールだった。
一人っ子だったせいか、なにかと『お兄ちゃん』といって甘えてきていた。
その光景をエリィは微笑ましく見ていたが、ノップスはセフィールに構ってもらえず寂しそうだった。


ガロッツォに情報収集を依頼してから4日、『情報が集まった』と連絡が入った。

カムイはガロッツォが指定した酒場に足を運ぶ。

「お待たせしました」

酒場には既にガロッツォが待っていた。

「何か飲むか?」
「それじゃ、ミックスジュースを」
「なんだ酒じゃないのか」

こちらの世界では、飲酒ができる年齢は15歳からと低い。
元いた世界から比べると随分と低年齢化していると思うが、昔は15歳に元服といって成人の扱いをされていたことを思えばアリなんだろう。
カムイは、元いた世界でも飲酒していなかったこともあり、こちらの世界でも飲酒はやってない。
或いは元の世界のように平和であれば飲酒していたかもしれない。
しかし、ちょっとしたことで生死が分かれるこちらの世界では、アルコールによる思考の低下や運動機能の低下といった弊害を考えれば、とても飲酒する気にはならなかった。

運ばれてきたミックスジュースを受け取りながら状況を聞く。

「さっそくだがファイアードレイクの情報なんだが、正確な居場所を特定することは出来なかった」
「やはりそうですか・・・・」

ある程度予想はしていた回答だ。

「ただ・・・」
「ただ?」
「ファイアードレイクが生息していそうな地域は何か所か当たりがついた。実際にそこに居るかどうかは未確認だが、それでも聞くか?」

頷くカムイ。

「カムイが調べた通り、俺の情報網でもファイアードレイクの居場所を見つけることはできなかった。ただ、過去の出現した地域を調べていくうちに一定の条件があることが判った」
「条件?」

ガロッツォがいう一定条件とは、

・標高3000mを超える山岳地帯であること。
・火山の活動が活発な地域であること。
マーイウス(3月)からヤーヌアーリウス(11月)の間であること。

であった。

「なんか、人には過酷な条件ですね」
「そうだな。逆にこういう場所だからこそ、これまであまり存在が知られなかったと考えれば納得もいくだろう」
「確かに」

ガロッツォの説明に納得するカムイ。

「条件に合致する場所は全部で3か所だ」

そういって地図を広げるガロッツォ。
そこには、すでに『×』が付けられていた。

「ここがフランシス公爵領ニャックマナバンシー山、それとこっちがムナチカニン伯爵領ビットマルサ山、そして最後にキタリアン辺境伯領クラールマウント山。確率としては、最後に目撃情報のあったクラールマウント山が有力だとは思うがどうだろうな。全部当たりの可能性もあるし、逆にハズレの可能性もある」

それぞれの位置を示しながらガロッツォが説明する。

「あとは行ってみれば判らないってことですね」
「あぁ」
「ありがとうございます。あとは、俺のほうで調べてみます」

そう言って、報酬の相談に移るのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カムイは、キタリアン辺境伯領クラールマウント山の山頂を目指して歩いていた。

既に、フランシス公爵領ニャックマナバンシー山、ムナチカニン伯爵領ビットマルサ山は調査が終了している。

ニャックマナバンシー山は、最近も噴火をしたらしく山頂付近は火山ガスで覆われていた。
火山ガスは高温の上、二酸化炭素、二酸化硫黄、硫化水素などの有毒な気体が多く含まれ、また酸素が少ないため、有毒成分の吸入や酸欠によって人間が死亡することも珍しくない。
そのため、山頂に近寄ることが出来なかった。

ムナチカニン伯爵領ビットマルサ山は、ニャックマナバンシー山に比べれば火山ガスの噴出口は限定的だったため、そこを避けるように進めば山頂までは行くことができた。
魔物を示すマーカーも数は少ないが点在していたが、どのどれもがウィル・ウィスプという鬼火の類であり、肝心のファイアードレイクは生息していないのか見つけることが出来なかった。


クラールマウント山は、他の2つが標高3000m前後の活火山だったのに対し、唯一標高が4000mを超える休火山のようだ。
そのため、まだ冬には遠いノウェンベル(9月)だというのに山頂付近は分厚い雲に覆われ、山腹から見上げると雲の切れ間から山頂は降雪しているようだった。
ただ、休火山ということもあり有毒な火山ガスなどは鳴りを潜めていた。

また、カムイにとって幸運だったのは、どれも円錐形に近い形の成層火山だったこともあり、比較的楽に登頂できていることだろう。
これが元の世界のマッターホルンやエベレストといった険しい山々であったなら、登頂は困難を極めるどころか、仮にファイアードレイクが存在していてもそんな場所で戦闘など話にもならなかっただろう。

そんなことを思いながら、山頂を目指し歩を進めるカムイ。
ついには、雲の中に入ったのか視界が真っ白になり、足元が見づらいため慎重にならざるを得なかった。
そのまま雲の中を登って行く。
マップには、魔物を示すマーカーの反応はない。
ただ、山頂に近づくにつれ、ある種の緊張感が漂ってくるのが判った。

(ひょっとして当たりかも)

より慎重に山頂を目指すカムイだった。

お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

設定資料集のブログです。
http://adventure00story.blog.fc2.com/
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ