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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第33節 後夜祭


後夜祭。
トーナメントの表彰式がメインだが、2ヶ月に上る研修期間を慰労するための会でもあった。

そのため、前夜祭同様、多くの貴族や学園関係者が参加していた。

前夜祭と違うのは、ロトクルイド男爵のところに優勝祝いを述べるために、多くの貴族や学園関係者がひっきりなしにやってきていたことだ。

「ロトクルイド男爵、おめでとう」
「これはアガシャン侯爵。ありがとうございます」
「しかしどの戦いも圧勝でしたな。彼女たちを鍛えたのはやはり騎士団ですかな?」
「いえ、残念ながらうちの騎士団では役不足でして・・・・。アブガリャン侯爵と同様に冒険者に依頼を出したものでして・・・」
「ほう、それは。アブガリャン侯爵のところはAランク冒険者に依頼を出したのでしたか。するとロトクルイド男爵も?」
「確かに腕は立つ冒険者ではありますな」
「これでは、来年からはどこも冒険者に依頼するかもしれんな」
「はははは、そうかもしれませんな」

そんな話をしている間に、表彰式が始まった。

『優勝パーティ、準優勝パーティは壇上にお上がり下さい』

司会者からそう紹介されファティマたち、ファブリスたちパーティが壇上に上がる。
ファティマたちは、前夜祭の装備とはうって変わって、ドレスなどで着飾っていた。
それを見ても、もう戦いは終わったのだと実感させられる。

学園長が、握手をしながら優勝、準優勝パーティ1人1人にメダルを首にかけていく。
また、パーティにはそれぞれ賞金の目録が手渡された。

『それでは、優勝パーティより一言頂きたいと思います。パーティリーダーであるファティマ・マルティロシン様、よろしくお願いします』

司会者にそう促されてファティマは、壇上の中央にでる。

「ご紹介に預かりましたファティマ・マルティロシンです。この度は私のパーティが優勝という栄冠に輝いたのは、パーティ全員で頑張ったことは言うまでもありませんが、ロトクルイド男爵家の皆様にご支援頂いたことが大きく、この場を借りて御礼申し上げます」

ファティマがそういうと、参加者が一斉にロトクルイド男爵のほうに顔を向ける。
それに対しロトクルイド男爵は、持っていたグラスを軽く上げファティマの礼に対し応じる。

「特に、私どもを鍛えて頂きました教官には、学園で習ったこと以上に様々ことを教えて頂きました」

さずがは、伯爵家令嬢だけあって、体面を考えてか学園の教えに誤りがあったなどとは言わない。
さらに、話を続ける。

「本当は、教官はこういった華やかな場所は苦手なようなのですが、今日ばかりは主役の1人になって頂かないと私どもの気が済みませんわ。私どもを鍛えて下さった、ヴューベル冒険者ギルド所属、カムイさんです」

そう言うと、事前に関係者と打ち合わせしてあったのだろう。
会場のライトが落ちカムイにスポットライトが当たり、会場全員の目がカムイに向けられる。

(やられた!油断した・・・・・)

ファティマが挨拶するということで、ギルバードの傍らまで出てきていたのが災いした。
突然当たったスポットライトに困惑の顔をするが、その顔は着けている仮面で伺うことはできなかった。

「故あって、仮面をつけておりますがお見知りおき頂きたいですわ。私が言うのも変ですが、ロトクルイド男爵様から腕のほうは確かと伺っておりますし、私どもを優勝に導いたことからも指導力があることは言わずもがなだと思います」

そう紹介するファティマの顔はしたり顔だった。
後ろに控えているアレク、エステル、ミラド、バレンティン、オルガも顔が笑っていた。

「してやられたな」
「ほんとに」

ギルバードにそう言われ、苦笑いしながら頭を掻くカムイだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

表彰式も終わり、あとは後夜祭を楽しむ時間となった。
ロトクルイド男爵のところには、ファティマたちも合流し賑やかな時間を過ごしていた。

一方、カムイの所にはというと、学園関係者や各街のギルド関係者が挨拶に訪れていた。
そのほとんどが、学園での講師の依頼やら、ギルドへの勧誘・・・・所謂引き抜きだった。
教官としても優秀で、腕の立つ冒険者となれば、自分たちで抱え込みたいと思うのは自然な成り行きだった。
中には、破格の待遇を条件を示す所まであった。
ただ、ヴューベルには、拠点として2、3ヶ月しか過ごしていなかったが、顔見知りも増え始めこの依頼が終われば本格的に冒険を始めようと考えていたこともあり、今すぐ拠点を変えることは選択肢としてありえなかった。
そのため、すべての勧誘は丁重に断っていた。

(しかし、こんな素顔を見せていない怪しい者に、よく勧誘なんかしてくるな・・・・)

それは(ひとえ)に、『ロトクルイド男爵が信用して使った者ならば・・・・』という名前によるところが大きかったが、あまりの多さにうんざりしていた。

「カムイ殿、ちょっと構わないか」
「もう・・・・勧誘は断・・・・り・・・・・・」
「勧誘か・・・いいかも知れないが、残念ながら盗賊枠は埋まっているのでな」

また何かの勧誘かと勘違いしたカムイが振り向いた先には、深紅の傭兵団のユーグとマルテがいた。
それにはロトクルイド男爵やファティマたちも気が付き、どんな話をするのか注目する。


「深紅の傭兵団・・・・」

呟くように言ったつもりだったが、ユーグは聞き逃さなかった。

(チッ!思わず口に出ちゃったよ)

内心そう思いながらも、平静を装うカムイ。

「どちら様でしょうか?」
「深紅の傭兵団のリーダーをやっているユーグだ」
「サブリーダーをやらせてもらっているマルテよ」
「あぁ、アブガリャン侯爵家の研修生を鍛えたという?」

そういいながら握手を交わす。

「で、その深紅の傭兵団のリーダーがなんの御用でしょうか?」

あくまで初対面であるかのように接するカムイ。

「まずは、おめでとうを言わせてもらおう」
「ありがとうございます。今回は勝ちを譲って貰いましたかね」
「謙遜はいいさ。パーティ錬度に差がありすぎたから何度やっても同じだろう」

そう言って、両手を広げ肩を窄める。

「それより、ドゥオ(第2)ダンジョンでの礼を言わせてくれ」

ユーグの言葉に、カムイは眉を撥ねる。

(どうしてバレた?)

しかし、仮面で顔を隠していることもあり、表情は読まれてないはずだとあくまで平静を装う。

「なんのことでしょう?」
「今更とぼけなくてもいいさ。ファブリスとそこのお嬢さんの会話を聞いていたからな」
「戦いの前にちょっと話しをしただけですのに、お判りになったんですの?」

あの大歓声の中、闘技場で内でファブリスに言ったことが聞こえたのかとファティマは驚く。
カムイも何か話しているのは判ったが、聞こえてはいなかった。

「読唇術・・・ですか・・・・」
「その通り。そこのお嬢さんの口の動きを読ませてもらった」

カムイは、『本当に話したのか』とファティマを見る。
ファティマは申し訳なさそうにカムイに白状する。

「申し訳ありません。ドゥオ(第2)ダンジョンでファブリスを助けたことを言いました」

(よかった!隠行が見破られたのかと思った)

内心ホッとするカムイ。

「そうですか。もうバレてるんですね・・・。まぁ、あの時は咄嗟に身体が動いただけですので、気にしなくても構いませんよ。逆にこちらこそ黙って覗いてすいませんでした」
「それはいいさ。そのお陰でファブリスは助かったし、情報収集はこちらもやったからな。だた、Dランク冒険者が教官をするってことで、ノーマークにしたのは失敗だったけどな」

そこからは、お互いの鍛錬の内容等の話に花を咲かせるのだった。

本節をもって「第3章 揺籃編」は終了になります。
次節より新しい章に入ります。


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