挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

85/102

第32節 トーナメント決勝戦


いよいよトーナメントも大詰めの決勝戦を迎えた。
1つ目のパーティは、1番人気の下馬評通りの強さをみせたファブリス率いるアブガリャン侯爵家。
もう1パーティは、大方の予想を裏切る形で勝ち上がったファティマ率いるロトクルイド男爵家。
ここまで、どちらも圧倒的な強さをみせ、ともに冒険者が鍛錬したパーティであることから接戦が期待され、観客は試合前からヒートアップしていた。
それは、両パーティが入場することで最高潮を迎える。

「まさか、お前たちが勝ち上がってくるとは思わなかったよ」
「あら、そうですの?こちらは予定通りですわ」
「よほど運に恵まれたようだな。なにせ教官はDランク冒険者だったんだろう?」
「そうですわ。ただ、そちらのAランク冒険者より腕は立つようですけどね」
「何をバカな、そんなこと「オークに()られなくて、良かったですわね」」

ファティマは、ファブリスの油断によりオークに不覚をとられそうになったことを反面教師的にカムイから聞かされており、そのことをチクリと刺す。
当然、ファブリスは、助けたのがカムイだとは知らない。
だが、その場にいなければ知りえないことを言われ、ファブリスは慌てる。

「な!ま、まさか・・・・」

ファティマは肩を竦め、これ以上は言うことはないと口を閉ざす。

(あの場に誰かいたことは確かなんだが、まさか彼らの教官が?ユーグさんたちも気配すら察知できなかったのにDランク冒険者がいた・・・?まさかな・・・・)

結局その答えは、謎のままだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

観客席ではユーグたちが両チームを見つめていた。

「で、どうなの?」
「どう・・・とは?」
「勝てそうなの?」

マルテがユーグに勝負の行方を聞いていた。
他のパーティメンバーも気になるようだ。

「どうだろうな。これまで本気じゃないように見えたからなぁ~」

ファティマたちは、これまで全力を出していた。
その結果が、どの試合も圧倒的な結果となっていたが、それでもユーグにはまだ余裕があるように思えてならなかった。

「それに・・・・」
「それに?」
「どうやら、ドゥオ(第2)ダンジョンの出来事は、あちらの冒険者の仕業らしいしな」
「っ!唇を読んだの?」

ユーグは無言で頷く。
読唇術。
声が聞こえなくても唇の動きから発話の内容を読み取る技術だが、ユーグに限らず高Lvの冒険者であれば習得している者は多い。
ファブリスとファティマが会話しているのは観客席からも判ったが、まわりの歓声が大きく内容までは聞こえなかった。
しかし、読唇術の心得があるユーグはファティマの唇の動きを読んでいた。

「Dランクという噂は誤りってこと?」
「いや、実際ロトクルイド男爵と一緒にいた冒険者らしき男(・・・・・・・)のリングはDランクだった」

ユーグがらしき男といったのは、その男は前夜祭同様に仮面を付けていたために顔がはっきり判らなかったからだ。
だが、冒険者であればギルドリングをしていることから、その男が研修生を鍛えた冒険者だろうと思っただけだった。

「名前はカムイ、クラスは盗賊、職業は鑑定士、Lvは47。その他の情報は隠蔽されているのか見れなかった」
「そんな・・・・見れなかったって嘘でしょ・・・・。しかもLv47?どう見てもDランクのレベルじゃないわよ?」
「俺もそう思うが、本当だ」

深紅の傭兵団の中で一番鑑定スキルのランクが高いユーグが見れなかったということは、隠蔽のLvが相当高いということになるのだが、到底Dランクの冒険者では考えられなかったからだ。

そんなカムイが鍛えた研修生なだけに、すんなり勝たせてもらえるとは思えなかった。

ユーグたちは、改めて闘技場のファブリスたちを見つめるのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「カムイ、勝てるのか?」

ロトクルイド男爵が緊張した面持ちでカムイに尋ねる。

「さぁ、どうでしょうね・・・」
「いやに落ち着いているな」
「教えられることはやりましたからね。あとは彼女たち次第ですよ」

そんな男爵とは対照的に落ち着いているカムイ。

「ご存知のとおり、対人の戦闘は魔物を相手にするのとは異なりますからね」

多くの魔物は闘争本能だけで襲ってくる。
そのため、思考も読みやすく、戦闘を重ねるほどに対処もし易くなる。
純粋な戦闘力で勝敗が決まることも多い。
一方、対人戦は魔物とは違い思考の読みあいとなり、純粋な戦闘力だけで勝負は決まらない。
いや、決まる場合もあるのだが、それは戦闘の経験値に大きな差がある場合だ。

戦闘経験に乏しい研修生では、そこまでの差がないためちょっとしたことで勝敗が決まってしまう場合が多い。
戦闘の経験値を上げるために、カムイも、ユーグたちもダンジョンに篭った訳だが、この短い期間でどちらが多くの経験を得、戦いにおける引き出しを所有したかが勝敗の鍵になる。
そう言った意味では、Lvが高いファティマたちのほうが有利だとは言えた。

「彼女たちを信じましょう」

そう言って、闘技場のファティマたちを見つめるのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

いよいよ決勝戦が始まろうとしていた。

審判が両手を広げ観客に静まるよう合図を送ると、急速に歓声が収まっていく。

『お互い準備はいいか?』

その言葉にファティマとファブリスが頷く。

『決勝戦、始め!』

審判の開始の声と同時に両パーティが一斉に動き出した。

ファブリスたちは、これまで同様、鶴翼(かくよく)の陣の変形であるY字陣形をとり、後衛のファイターとメイジが背後を取るべく陣を離れる。
一方ファティマたちは、これまでの丁字陣形から、鶴翼(かくよく)の陣の変形で対する。
ファティマ、バレンティンがファイターを、エステル、オルガがメイジを背後に回らせないように狙いを定める。

まず、背後の回ろうとする後衛のファイターとメイジに狙いを付ける。
ファティマがファイターに対し、ソニックブラスターで剣気を飛ばす。

[ソニックブラスター Lv2]:剣気を飛ばしてLv1毎に5秒間対象をショック状態にさせる。剣/両手剣/双剣を装備時に使用可能。

ただ、これは敵に命中させるというよりも、出足を牽制するために放ったものだ。
思惑通りにファイターは、剣気を避けるために一瞬行動を停止する隙を作ってしまう。
その隙を狙いバレンティンがスタンショットを放つ。
ファイターはそのスタンショットもギリギリで回避するが、完全に動きが止まる。
そこにファティマが猛然とシュルダータックルをお見舞いする。
さすがにこれは避けきれずファイターは大きく吹き飛ばされ、開始位置まで転がっていく。
立ち上がりを狙って、バレンティンが矢を飛ばすが、これも盾で防がれてしまう。
しかし、その間に間合いをファティマに詰められ、防戦一方に追い込まれてしまう。
なんとかファティマの猛攻と絶妙なタイミングで飛んでくるバレンティンの矢をなんとか凌いでいたが、多勢に無勢で、ついにはバレンティンの矢を受けて倒れてしまう。


もう一方のメイジも、エステルとオルガに足止めをされていた。
最初は、オルガが支援魔法(バフ)をかけている間こそ、エステルを相手に互角に渡りあっていた。
だた、それは1発の威力は大きいが発動までに時間のかかる魔法魔法の打ち合いではなく、エステルが杖で物理攻撃を仕掛けてきたために、接近戦を展開していた。
同じメイジであるエステルは、こういうときのためにカムイに杖の指導を受けていた。
そこに支援魔法(バフ)をかけ終えたオルガが参戦する。
メイジは、得意の魔法を封じられ、慣れない接近戦を挑まれこちらも防戦一方に追い込まれる。
そして最後はオルガのスタンアタックを受け、ショック状態にされトドメにエステルのフレイムを受け倒されてしまう。


圧巻は、アレクだった。
タンカーであるファブリスとアタッカー2人を相手に奮戦する。

「なんてしぶといんだ!」

アレクは、ファブリスとアタッカー2人の攻撃に対し、アイアンハンマー、盾を巧みに操り防御に徹する。
たまに放つアイアンハンマーのスタンショット、盾でのシールドスタンを織り交ぜながら、致命傷を負わないよう急所をガードしながら耐えに耐える。

デケム(第10)ダンジョンのリザードマンに比べればどうってことないぜ!おら、コイよ!」

そう言って挑発する。

アレクが粘れば粘るほど、ファブリスたちは焦りやイライラが募ってくる。
そのため、攻撃も単調になり雑になってくる。
一方で、アレクからすると攻撃が読みやすくなり護りやすくなってくる。
ファブリスたちには悪循環だが、アレクにとっては好循環にハマる。
そのうち、攻撃しているファブリスたちのほうが息が荒くなってきた。

そこに、ヒーラーも倒したファティマたちが、ファブリスたちの背後から3人に襲いかかってきた。

こうなっては、攻守交替だ。
アレクも、今度は自分たちのターンとばかり攻撃に転じる。

ファブリスたちは防戦一方になるが、頼みのヒーラーも倒されて支援も期待できない。
こうなってくると、Lvが高く自力に勝るファティマたちが優勢になり、アタッカーが1人、また1人と倒され、最後にはファブリスもファティマのい渾身の一撃を受け倒れるのだった。

『そこまで!勝負あり』

それまで固唾を呑んで見ていた観衆が、審判の声で我にかえる。
そして大歓声を盛大な拍手がファティマたちを包む。
そこでようやくファティマたちも一息つく。

喜びよりも優勝できたという安堵のほうが大きかった。
安心したのか、6人の目からは涙が溢れていた。

「やりましたわ!」
「あぁ、そうだな」
「勝ったんですね!」
「優勝だよ!」

そしてここでようやく、6人は抱き合って喜びを爆発させた。

「「「「「「やったー、優勝だーーーーー!」」」」」」

△▼△▼△▼△▼△▼△

「思ったより完勝だったな」
「そうですね。皆よくやりました」

ロトクルイド男爵とカムイはガッチリ握手する。

「やはりお前に任せて正解だったな」
「今度から事前に相談して欲しいですね」

苦笑いしながらギルバードともガッチリ握手をするのだった。


「完敗・・・・だったわね」
「そうだな、パーティとしての完成度が違ったから、仕方がないさ。ファブリスたちもよくやったさ」

ユーグたちからしても、ファティマたちのパーティとしての完成度に驚いていた。

「とてもDランク冒険者が鍛えたとは信じ難いわね」
「どうやって鍛えたのか興味があるな・・・・ドゥオ(第2)ダンジョンの件もある。後で少し接触してみるか」
「そうね。私はその冒険者のほうに興味があるわ」
「決まりだな」

ユーグたちは後夜祭で、カムイに接触することを決めるのだった。

予想通り(?)、カムイが教えた研修生が優勝しました^^;


お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

設定資料集のブログです。
http://adventure00story.blog.fc2.com/
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ