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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第31節 熱戦!トーナメント


第1試合に引き続き第2試合は、アレクサニン伯爵家に派遣されていた研修生とブルトヤン男爵家に派遣されていた研修生の対決。
大方の予想通り、学園での成績が良かったアレクサニン伯爵家の研修生が勝利を収めた。
やはり陣形は、両チームとも横隊だった。


第3試合はアブガリャン侯爵家に派遣されていた研修生とベリアニゼ子爵家に派遣されていた研修生の対決だ。
そう、アブガリャン侯爵家はファブリスが率いるパーティだ。
学園の成績もトップで、Aランク冒険者に鍛えられたと言う情報は一般客にも知れ渡っているようで、ファブリスたちが入場してくると、これまで以上の歓声があがる。

ブックメーカー各社のオッズも2倍を切る勢いだったことからも期待の大きさが判るというものだ。

当のファブリスたちは、手を振りながら観客の歓声に応える。
可愛そうなのが対戦相手だ。
少しでも反骨心があれば、『優勝候補を喰って番狂わせを』と思うのだろうが、実戦経験の少ない研修生たちにそこまで期待するのは無理だろう。
闘技場全体が完全アウェーのような状態で入場してきて、すっかり萎縮してしまっている。
すでに誰の目から見ても戦う前に勝負が付いているように見え、対戦相手が気の毒になってきた。

審判を挟み、対峙する両パーティ。
これまでと同様に王に一礼、そしてお互い向き直り一礼する。

『第3試合、始め!』

優勝候補と言われるパーティの戦いが幕を開けた。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

ベリアニゼ子爵家の研修生は、横隊に展開する。
前衛にアタッカー3人に中衛を空け、後衛にメイジ2人、ヒーラー1人という陣形だった。

それに対し、ファブリスのパーティは、前衛はファブリスを含む3人に、中衛にヒーラー1人を配置。
ここまでは横隊と変わらないと思われたが、後衛に位置するはずのファイターとメイジがベリアニゼ子爵家のパーティの背後を取るべく陣を離れ、鶴翼(かくよく)の陣の変形であるY字陣形をとる。

ベリアニゼ子爵家の研修生たちは、初めて見る陣形に戸惑いを隠せない。
それでも、リーダーの指示により対応していく。

「メイジ2人は、背後の2人を攻撃!」

ただ、背後に回った2人の目的は、まずはヒーラーの排除だ。
メイジの魔法に多少被弾することは折込済みだ。
それに引き換え、ベリアニゼ子爵家のヒーラーはたまったものではなかった。
背後からの集中攻撃に前衛のヒールどころではない。
結局、前衛に1度も回復をさせることなくヒーラーを倒すと、今度はその矛先をメイジに向ける。
事前にどちらのメイジを狙うかを示し合せていたのだろう。
常に2対1の状況を作りながらメイジに攻撃を集中していく。
ベリアニゼ子爵家のメイジも反撃はするのだが、こういった状況を想定していなかったために、単発での攻撃に終始する。

一方、前衛の戦いは、ベリアニゼ子爵家のヒーラーがいなくなった時点から、ベリアニゼ子爵家は防戦一方になっていく。
回復が見込まれないため、攻撃を受けることを嫌い受けに回ってしまった。
回復が見込めないのであれば、相打ち覚悟で攻撃に集中し押し込むしか活路はないのだが、そうはしなかった。
というよりも、ファブリスたちの攻撃が強烈で相打ち狙いにまで考えが及ばなかった。
こうなってしまえば、一方的に攻撃に晒され徐々に体力を削られていくしかなかった。

結局、後衛に多少の被害が出たもののファブリスたちの完勝だった。


カムイは、1回戦のファブリスたちの戦い方をみて、落胆の色を隠せなかった。
Aランクパーティが鍛えた割には、『たいしたことはない』というのがカムイの感想だった。
陣の展開に冒険者らしさはみえたが、あくまでトーナメントを勝つだけ(・・・・)のために鍛えたといった風に見えた。
実際、ファブリスたちは攻撃用スキルも支援スキルも習得していなかった。
だからといってユーグたちの評価に即結びつくかは不明だが、常日ごろから思っている『ランク』に対する評価の甘さについて再認識することができたカムイだった。


その後の準々決勝のホヴァニシアン侯爵家、準決勝のアガシャン侯爵家にも勝利し、ファブリスたちは順当に決勝戦に駒を進めるのだった。

△▼△▼△▼△▼△▼△

ファブリスたちの試合後も1回戦は続いていく。

第4試合 ○ホヴァニシアン侯爵家 vs タヌマリ男爵家●
第5試合 ○マルティロシン伯爵家 vs マルガリン子爵家●
第6試合 ○ムナチカニン伯爵家  vs ベンジャミン男爵家●
第7試合 ●マヌキン子爵家    vs サフリン子爵家○

結果は、学園での評価そのまま上位のパーティが勝ち上がる。

そして、1回戦最後の第8試合にファティマたちが登場する。
相手はアヴャギャン侯爵家の研修生だ。
事前の評価は、他の試合同様学園の評価そのまま、アヴャギャン侯爵家の研修生たちが優勢と見られていた。
ただ、なぜかブックメーカーのオッズは均衡していた。
誰かさんが大量買いしたからかどうかは定かではないが・・・・。


カムイは、トーナメント前夜祭で、ファティマたちとトーナメントの戦い方について話をしていた。

「決勝戦には間違いなくファブリスたちが出てくるでしょう」
「やはりそうですか」
「で、トーナメントの戦い方ですが、決勝戦までは丁字陣形で戦って下さい。それと極力スキルを使わないで戦って下さい」
「陣形はともかく、スキルもですの?」
「それは手を抜けってこと?」
「手を抜く訳ではありません。あくまで手の内を見せないためです」
「同じ気がするけどなぁ」
「不満ですか?」
「それでも勝てると思ってらっしゃるのでしょうけど、それでは対戦相手に失礼ですわ」
「俺もファティマの意見に賛成だな」

カムイは、メンバーを見渡す。

「皆も同じ意見ですか?」

エステル、ミラド、バレンティン、オルガも頷く。
それを見てカムイは、笑顔を見せる。

「皆が私の提案に乗れば説教の1つでもするつもりでしたが、どうやらその心配はないようですね」
「試しましたの?」
「ひっど~い」
「試したことは誤ります。でも嬉しいですよ、皆が全力を出すことに躊躇いがないことが」
「だって誰かさんがいつも言ってたじゃない。『どんな相手にも全力を出すこと。手を抜いて勝てる戦いなどこの世には1つもない』って」

エステルが、カムイが普段から言っていることを口真似しておどけて見せた。

「まいったなぁ」
「「「「「あはははは」」」」」

カムイは、笑顔で頭を掻く。

「皆わかっているようなので、これ以上は何も言いません。明日は悔いのないように戦って下さい」
「「「「「「はい!」」」」」」

カムイは、その迷いのない返事に頼もしさを感じるのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

1回戦最後の試合だが、ファティマたちは程良い緊張感があり、落ち着いているように見えた。
一方、対戦相手のアヴャギャン侯爵家の研修生たちも落ち着いており余裕さえ感じられた。
おそらく、学園での成績は自分たちが勝っていたことや、ファティマたちの装備がDグレード装備だったため、侮っているのだろう。
笑顔まで見せていた。
このあと、自分たちに起こる衝撃的な事態がおこるとも知らずに・・・・。


関係者席では、カムイが緊張した面持ちでファティマたちを見つめていた。

(イカン・・・なんか緊張してきた・・・)

掌に汗をかいているのに気が付き、慌ててズボンで汗を拭う。
その様子を見てロトクルイド男爵が笑う。

「ははは、カムイ、お前が緊張してどうする」
「いや、それは判ってるんですが、なんとも落ち着かなくって・・・。まだ自分が戦うほうが楽ですね」

そう言ってカムイは苦笑いをする。

そうしているうちに闘技場では試合が開始されようとしていた。


『第8試合、始め!』

合図と同時に、両チームとも陣形を整える。
違いと言えば、ファティマたちはオルガが支援魔法でパーティを強化する。

マイト(攻撃力向上)
マナパワー(魔法力向上)
シールド(防御力向上)
ヘイスト(攻撃速度向上)

アヴャギャン侯爵家の研修生は、やはり他と同じように横隊でアタッカー、タンカー、アタッカーの前衛3人、メイジ、ヒーラー。メイジの後衛3人の陣形だった。
ファティマたちは、前夜祭でカムイに言われた火力重視の丁字陣形をとる。
前列にバレンティン、ファティマ、アレク、オルガ、エステルと並び、後列にミラドの陣形だ。

「行きますわよ!」

ファティマの掛け声と同時にアヴャギャン侯爵家の研修生襲い掛かる。

「「スタンアタック!」」

アレク、オルガがスタンアタックでアタッカー2人をショック状態にさせる。
ショック状態のアタッカーにファティマのツヴァイハンダーが唸りを挙げて襲い掛かる。
ファティマの前にいたアタッカーは、目でツヴァイハンダーを追う。
意識はハッキリしているが体がショック状態で動かない。

(う、動け! うわあぁぁぁ)

そんな思いとは裏腹に、ファティマは防具のない首を狙って一閃する。

ブシャー!

狙いは正確で首を掻き切り、血が噴水のように飛び出してきたかと思うとゆっくり仰向けに倒れていった。

もう片方のアタッカーには、エステルの魔法が炸裂する。

「ウインド!」

放った魔法は、狙い通り膝に命中する。
膝を切られたことで体を支えることができず、ショック状態のまま転倒する。
転倒することでショック状態は解除されたが、起き上がろうとしたところにオルガのアイアンハンマーでこめかみを追撃され、さらにはエステルのウィザードスタッフで喉を突かれて動かなくなった。

「えっ!?」
「な、なに?」

アヴャギャン侯爵家の研修生は、なにが起きたか判らず慌てる。
そんなタンカーに向けてまたもやアレクがスキルでショック状態にする。

「シールドスタン!」

ショック状態のタンカーに向けて、バレンティンの放った矢が喉に突き刺さる。
タンカーは口をパクパクさせながら、膝から崩れ落ちた。

前衛が全滅するまで約30秒の出来事だった。

ファティマたちは残った後衛3人に襲い掛かろうとしたが、敵わないと判断したのかアヴャギャン侯爵家の研修生はギブアップを宣言してしまった。

あっという間の出来事に、観客も静まりかえる。
そして、審判の『勝負あり!』の声に我に返ったのか、1テンポ遅れて割れんばかりの大歓声が起こる。
それに手を振って応えるファティマたち。

その様子を見ながら、ホッと胸をなでおろすカムイだった。

(これなら、決勝までは問題なく行けそうだな)


カムイの予想通り、ファティマたちは準々決勝のマヌキン子爵家、準決勝のムナチカニン伯爵家を難なく退け決勝に進むのだった。

お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

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