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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第28節 研修最終試験


謹賀新年

本年も何卒よろしくお願いします。

「用意はいいですか?」

一行は、先日の予告どおり研修の最終試験のためにデケム(第10)ダンジョンの10階層目、ボス部屋の前に待機していた。

ボスパーティは、ボスである司祭の他、近接×2、アーチャーの弟子3体、魔術師とヒーラーの信者2体の構成だ。

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 名前:リザードマン司祭
 種族:魔物/ヒューマノイド

 Lv:42
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 名前:リザードマン司祭の弟子
 種族:魔物/ヒューマノイド

 Lv:40
======================================
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 名前:リザードマン司祭の信者
 種族:魔物/ヒューマノイド

 Lv:40
======================================


「前回戦ったので判っていると思いますが、取り巻きである弟子と信者を先に排除すること。これは途中で復活しても変わりません。アレク以外は取り巻きを優先してください。いいですね」
「「「「「「はい!」」」」」」

7~9階層で相手にしたパーティと基本的に手順は同じだ。

ただ、カムイはここで研修生たちに注文を付ける。

「あ、1つ訂正です。ヒーラーだけは攻撃禁止です」
「なんで?」
「ヒーラーを倒さないと回復されるじゃない?」

カムイの指示に疑問を挟む研修生たち。

「理由は、言うとおりにしてれば判ります。ボスの次がヒーラーの手順です。いいですね?」
「・・・・判りましたわ」

納得はしていないようだが、渋々カムイの指示に従うことを了承する。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

ボス部屋に入った一行は、ボスを見るなり緊張感が高まっていくのが判る。
1度負けていることが影響しているのだろう。
前回は、戦う前から敵の雰囲気に呑まれていたが、今回は畏怖した様子は見られない。

ファティマが全員の顔を見渡す。

「行きますわよ」

その言葉に全員が頷く。

「オルガ、バフ(支援魔法)をお願い」
「判った」

アルガが、ファティマの指示に従い全員にバフ(支援魔法)をかけていく。

マイト(攻撃力向上)
マナパワー(魔法力向上)
シールド(防御力向上)
ヘイスト(攻撃速度向上)

まだ、スキル自体のLvは低く種類も少ないが、それでもパーティ全員にかけることで能力の底上げをする


「アレク先陣を」

ファティマの指示で静かに足音を立てないよう早足で近づいていく。
しかも背後を取るべく、壁伝いを大回りするように進んでいく。
気を引くために大声で威嚇しながら近づいて行くのは、愚作であるとカムイから教わっている。
戦闘は、一部の例外を除きなるべく見つからないように近づき、優位なポジションを確保する
よう行動するのが良いに決まっている。

あと10mというところで、ボスに気づかれるが構わず間合いを詰める。

キシャァァァァァァァァ!

威嚇と、弟子、信者に敵の接近を知らせるためにボスが咆哮する。
弟子、信者が気がついたときには、すでにこちらの布陣は出来ていた。

ファーストアタックはアレクが取る。

「スタンアタック!」

相手を一定時間気絶させる鈍器専用のスキルだ。
ただ、相手とのLv差があるため決まることはなかったが、敵視を稼ぐには十分である。

「シールドスタン!」

続けて、シールドを敵にぶつけ気絶させるスキルを発動する。
すると運よくボスがスタン状態になったところで、ヘイトを発動する。

「ヘイト!」

序盤は、これでアレクに敵視が集まるだろう。
ボス(親)がいるパーティでは、ボスの敵視をタンカーに集めることで、周りの取り巻き(子)もタンカーに敵視を向ける。
これも、元の世界のMMORPGでは基本中の基本だが、こちらの世界では常識ではなかったのをカムイが研修生に教えたものだ。

アレクのヘイトスキルを合図に、メンバーが散開していく。
狙いは、アーチャーと魔術師だ。
素早く倒せば倒すほど、タンカーやヒーラーの負荷が下がるため全力で排除する
ここではファティマのターゲットリーダーとしての役割が重要になってくる。

アレクとミラドを除く攻撃陣が全力でアーチャー、魔術師に攻撃を仕掛けて倒していく。
そして続けて近接×2を倒して行く。

通常であれば倒れた魔物は死体となって残るはずが、倒された子はその場で土に解けるように消えていく。
再度、沸いてくる魔物なのかはそれで判断できるのだが、
前回は余裕がなくそこの違いに気が回っていなかった。
子を排除したあとは、全員でボスを仕留めにかかる。

ダンジョンボスだけあって硬く、少しずつしか体力が削れない。
しかも、カムイが残すように言ったヒーラーがボスの体力を回復していく。
その様子から、ファティマが心配そうに声を上げる。

「削っても削っても回復されてしまいますわ!本当にこのままでいいんですの?」

他の研修生も心配顔だ。

「大丈夫です。もうそろそろですから」

カムイがそう言うのと同時に、ヒーラーがボスの体力回復を行わなくなり右往左往し始める。
ヒーラーからの回復が行われなくなったことで、ボスの体力が自然回復量だけになり回復量をダメージが上回り始めた。
その状況を理解したのは、同じヒーラーであるミラドだった。

「ひょっとして魔力切れですか?」
「そうです。倒してしまうと魔力が回復した状態で復活しますからね。それよりは倒さず放置して魔力切れを待ったほうが無難なんですよ」
「始めからそう言ってくれればいいのに」
「何事も経験ですよ。それよりもそろそろ子が沸きますよ」

これもまるで沸くタイミングが判っていたかのように、取り巻きが復活し始める。
アレクを除く攻撃陣は、ボスから離れ沸いた子を排除していく。

「なんで判ったの?」
「前回、ただ見ていただけではないですよ?」


その後も2回取り巻きの沸きがあったが、カムイの指示で慌てることなく排除していった。
ヒーラーも魔力が自然回復するたびにボスを回復するも、単発で終わりまた右往左往するだけだった。

Lv差があるためにボスの体力を削るのに時間はかかったが、前回のような大きな混乱もなく討伐に成功する。

そして、レベルアップと金貨70枚、Dグレード装備数点を入手するのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

ボスを討伐した翌日以降は、デケム(第10)ダンジョンの7~10階層でパーティ錬度を上げることに費やした。
そして、とうとう研修の最終日を迎える。

最終日は、王都へ戻る準備もあるためダンジョンには行かなかった。

「今日で研修も終わりですがどうでしたか?」

カムイも初めての講師で、手探り状態だったためこれで良かったのか自信がなかった。

「最初は死ぬかと思ったぜ」
「そうですわね。結構無茶な内容でしたものね」
「でも、こうして全員無事だったし、なにより学園で教わらないことを沢山教わったよね」
「そうだね」
「そういう意味では、僕らはラッキーだったのかもしれないね」

カムイに対する研修生たちの評価は良好だった。

「学園に戻ってから俺が教えたことを生かすも殺すも君たち次第ですから頑張って下さい」

そう言って研修生たちを見渡す。
初日に会ったときの初々しさはなくなり、冒険者のような雰囲気に変わっていることがカムイは嬉しかった。

「最後に俺から皆に渡すものがあります」

そう言って、無限袋から装備と小さめの麻袋を出す。

「1つは、短剣用のシースです。短剣はこれからも使う機会多いと思うのでニバックルの腕のいい皮職人に作ってもらいました。研修を頑張ったご褒美として俺からプレゼントしますので良かったら使ってください」

そう言って一人一人に渡していく。

「あ、名前が入ってる!」

シースの内側には、研修生全員の名前を入れてもらうようお願いしていた。

「大切に使わせて頂くわ」

ファティマの言葉に全員が笑顔で頷く。

「もう1つは、お金です。皆さんがダンジョンで倒した魔物の部位をギルドで清算し、装備費用等の経費を差し引いたものです」

これも一人一人に手渡していく。
ただ、これについては、微妙な空気が流れる。
カムイは、研修生たちがなにを考えているのか察していた。
そのため、研修生たちが口を開く前に釘を刺しておく。

「このお金は、君たちが稼いだお金です。労働に対し対価を払うのは当然のことです。そのため、受け取りの辞退、拒否は許しません」
「しかし、それは教官に色々教えて頂いたからですわ」
「そうだぜ。それに対して俺たちから教官に受講料を払うのも当たり前だと思うんだけどな」
「アレク、いいこと言うわね。その意見に私も賛成よ。全額と言わないまでも何割かは教官の取り分として渡したいね」

他の研修生も同じ意見のようだ。

「気持ちは嬉しいですが、今回の件は俺がギルドからクエストとして報酬をもらうことになってる以上、2重に報酬を受け取ることはできません」

そう言われてしまうと研修生としては何も言えず、納得するしかなかった。

「ただ・・・・」
「ただ?」
「夕飯をご馳走になるくらいなら大丈夫ですよ」

そう笑顔で答えるカムイに、全員の顔がパッと明るくなり『店の予約しろ!』とアレクが叫ぶのだった。

お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

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