挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

75/96

第24節 余裕?慢心?そして乱戦

修練を始めて、2週間が経とうとしていた。
ファティマたちは、デケム(第10)ダンジョンの6階層目まで攻略を進めており、4~6階層を周回しながら修練を行っていた。
魔物は、リザードマン(Lv35)からリザードマンソルジャー(Lv38)×3のグループに変わっていたが、装備のグレードアップ、パーティ錬度の向上もあってか順調に戦闘を行っている。
魔物とのLv差の乖離が大きいため、パワーレベリング的に戦闘を行ってきていることもあり、皆のLvも24になっていた。

「アレク、次の敵に移る判断が遅い!」

「ファティマ、FA(ファーストアタック)を取るんじゃない!もっとアレクを良く見て!」

「オルガ、もっとデバフ(弱体魔法)を使いなさい!」

「エステル、バレンティン、一箇所に留まらない!的を絞らせないよう動きながら攻撃する!」

それでも、カムイから見ればまだまだと言った感じで各人の動きに対し容赦ない指摘が飛ぶ。

一方研修生たちは、自分たちの戦闘スキルが上達しているのが感じられるのか、表情は真剣なまでも余裕のようなものまで感じるようになってきていた。
特にアレクは、その性格もあってか顕著だ。

「ヘイト!オラオラ!掛かってこいやー!」

ヘイトと一緒に声にだして挑発する。

(余裕を見せるにはまだ早いんだが・・・)

カムイは、そう思いつつもリザードマンソルジャー×3では最早パーティを脅かすことはできないことも明白だった。
そうは言っても、このまま次の階層に行くには危険な気がしていた。
余裕と慢心とは紙一重で、アレクのはあきらかに後者にあたると思っていた。

(どうするかな・・・)

そんな風に思案していたカムイは、近くの岩陰に宝箱があるのに気が付いた。
ダンジョン内の宝箱については、装備代に充てる名目でカムイが罠を解除しながら中身を回収していた。
その宝箱も、これまでと同様に罠がかかっていたが、罠の種類を見て解除する手を止めた。

(!これは使えそうだ)

カムイは、罠を解除しないまま宝箱を開けたのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

ビィービィービィー! ビィービィービィー!

突然ダンジョン内を大音量の警告音が鳴り響く。

「な、なんですの!?」
「なに?なに?」
「何が起きた!」

リザードマンソルジャーと戦闘していたファティマたちの手が一瞬だけ止まる。

「ほらほら集中して。まだ、倒せてませんよ?」

カムイの言葉に慌てて自我を戦闘に引き戻す研修生たち。
その顔は、さっきの余裕とは打って変わって不安顔だ。
カムイは、まだ鳴り響いている警告音について説明する。

「宝箱の罠解除に失敗(・・)しました」
「「「「「「えーっ!?」」」」」」

その言葉にまたもや、攻撃の手が止まりかける。

「だから攻撃の手を止めない!」

カムイの声にハッとなってまた攻撃を再開する。

「罠の種類は警報でした。この階層に残っているリザードマンソルジャーが押し寄せてきますから対処してください」
「「「「「「!」」」」」」
「教官の尻拭いを俺らがするのかよ!」

アレクが抗議の声を上げる。

「文句を言わない。これも修練の一環ですよ」
「ひ、ひょっとしてワザと?」
「さて、なんのことでしょう?おっと、もうじき1グループが現れますよ?急いで急いで」
「後で説明して貰いますわよ!」

そう言って戦闘に集中していく研修生たち。


キシャー!

戦闘中のグループ最後の1匹を倒すのと同時に、新しいリザードマンソルジャーのグループが現れた。
そのまま、否応なしに戦闘に突入していく。

「クッ!休む暇なしかよ」
「オルガ、バレンティン、足止めお願い!」

ファティマの指示でデバフスキルを使用するオルガとバレンティン。
アレクに対して攻撃が集中するタイミングを分散する意味で、少しでも足止めできれば戦闘が楽になることは、これまでの戦闘で理解していた。

「オルガ!次のリザードマンソルジャーが現れるタイミングを教えてくださる?」
「判った!」

3匹のうち2匹を倒したところで、オルガの声が響く。

「エステルの後ろの通路から次のグループが来ます」
「もうかよ!」
「アレク目の前の敵に集中して!」
「判ってるよ!」

戦闘は、乱戦になった。
バレンティン、エステルが攻撃力の高いスキルを連発したため、何度もアレクからターゲットが剥がれていく。
MMORPGで言われる『タゲ跳び』というやつだ。
アレクもなんとかターゲットを自分に維持しようとするが、1度剥がれたターゲットを戻すのにはちょっとやそっとヘイトをかけただけでは戻らないが、執拗にヘイトを連発し無理矢理ターゲットを引き戻す。

そのうち、リザードマンソルジャーも1匹減り、2匹減りと、なんとか警報で集まったグループを殲滅することができたが、全員の魔力はほぼ空に近くもう1グループでも増えていれば持たなかっただろう。

「あーシンド・・・・」
「もうダメ・・・・動けない・・・」

ファティマたちはその場にへたり込んでしまった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「どういうことか、説明していただけるんでしたわよね?」

息が整ったと思ったとたん、ファティマに詰め寄られるカムイ。
他の研修生の視線も痛い。

「いや、あれば手違いで・・・」
「嘘ですね。さっき宝箱を見ましたが、教官はこれまで同じような罠を何度も外しているじゃないですか」

エステルが宝箱を調べているのは判っていたが、止めると怪しまれると思い何も言わなかった。

(宝箱壊しとけばよかった・・・)

カムイは、仕方がないといった面持ちで、ワザと警報を鳴らした理由を説明する。

「油断大敵」
「えっ?なんですって?」
「油断大敵という言葉があります。『少しでも注意を怠れば思わぬ失敗を招くため、十分に気をつけろ』と言う意味です。装備もグレードアップされ、これまで倒すのに時間がかかっていた敵も楽に倒せるようになりました」

ここで一呼吸おいて研修生全員を見渡す。

「その反面、攻撃や防御が雑になったり注意力が散漫になったりと、このまま先に進めば取り返しの付かない事故が起こると考えました」

研修生たちは、心当たりがあるのか黙ってしまう。

「それなら、魔物を嗾けるような真似などせず言って下さればいいではないですか」

それでもファティマは、やり方に納得がいかないのか食下がってくる。

「私は祖父から『何かを学ぶためには、自分で体験する以上にいい方法はない』と聞かされて育ちました。そのため言葉で説明するより、実際に経験してもらうやり方を選びました」

(ホントはアインシュタインの言葉だけどね)

「これからも油断や慢心してると感じたときには、同じようにイキナリ嗾けますから注意は怠らないように」
「「「「「「えーーーーっ!」」」」」」
「もう勘弁して欲しいよ・・・」

アレクのボヤキを聞こえないフリをして聞き流すカムイだった。
お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

設定資料集のブログです。
http://adventure00story.blog.fc2.com/
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ