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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第23節 スイッチオン

カムイは、ドゥオ(第2)ダンジョンで優勝候補と言われているファブリスたちのパーティを観察したあと、フェルデン男爵領のデケム(第10)ダンジョンに研修生を連れてやって来ていた。

ドゥオ(第2)ダンジョンは、魔物Lvが20~30台だったため適正Lvをコツコツと積み上げていけばなんとなると思っていたが、ファティマたちより個々の力量に優れているファブリスたちに使用されていた。
そこでファブリスたちの戦い方を見たカムイは、同じことをやっていたのでは勝つことは難しいと判断し指導の方向転換をする。
デケム(第10)ダンジョンは、Lv30~L40と現在のファティマたちには荷が重いが、修練できる期間も短いため個々の力量を上げながらパーティのLvも上げるといった荒療法を行うことにした。

「今日から、デケム(第10)ダンジョンを攻略しながら修練を行います」

敢えてデケム(第10)ダンジョンのLvは伏せておく。

「これまで通り指示はすべてファティマが出して下さい」
「「「「「「はい!」」」」」」

カムイは、命に関わるような事態にならない限りは手を出すつもりはなかったが、ルーキーダンジョンでの戦闘はファティマたち研修生の自信になったようで、初めてのダンジョンにも関わらずいい緊張感に包まれていた。
これがいつまで続くかは判らないが・・・・・。

「では、行きますわよ」

ファティマの合図とともに入口のマジックサークルに身を任せるカムイと研修生たちだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

出現する魔物がリザードマン系ということもありダンジョンの内部はジメっとしていた。
地面は所々に水たまりがあり天井から水滴が落ちてくる。
壁や地面の至る所には苔が生えている。
いかにもリザードマンが好みそうな環境だ。

カムイが図書館で記憶した最低限の情報は皆に話している。
・出現する魔物はリザードマン系
・1~3階は単体、4~6階はグループ、7~9階はファミリー、10階はボスである。

まずは、3階までの制覇を目指す。


「オルガ、バレンティン、魔物を探して頂戴」
「「了解!」」

ファティマの指示でリザードマンを探索するオルガとバレンティン。
そして、1匹目のリザードマンを探り当て場所を知らせる。

「皆準備はよろしくて?」
「いつでも!」

タンカーのアレクがそれに答え、他のメンバーは無言で頷く。
そうして1匹目のリザードマンに挑むのだった。


「はぁはぁ・・・・、や・・・・やっ、と終わっ・・・・・た」
「なんなんですの・・・あの硬さは・・・・はぁはぁ」

リザードマン1匹を倒しただけで皆息が荒い。
アレクなどは、座りこんでしまった。
流石にLvが倍近い魔物ともなると、倒すのに時間がかかってしまうのは仕方がない。
それでも、容赦なく戦いに駆り立てる。

「休んでいる暇はないですよ。次行きますよ、次!」
「ち・・・ちょっと待って・・・」
「どうしました?1匹でダウンですか?これじゃファブリスたちに勝てませんよ?」
「「「「「「!」」」」」」
「ファブリスを知ってるんですか?」
「さぁ、どうでしょう?」

カムイは答えを濁したが、ファブリスの名前が出たことでそんなことはどうでも良かった。

「くっそ~負けるかよ!」
「次、行きますわよ!」
「こっちよ」

疲れている身体を無理やり起こし、減っていた体力と魔力をポーションで回復する。
そして2匹目に向かうのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「はぁはぁ・・・・・皆生きてます? はぁはぁ」
「な、なんとか・・・・はぁはぁ」
「で、でも・・・・もう無理・・・・・はぁはぁはぁ」

1階のリザードマンに連戦を挑んで、最後の1匹を倒したところで全員が大の字に転がった。
体力や魔力は、ポーションで回復することができるが、肉体的、精神的なスタミナは消耗され、それはポーション等では回復することができない。
逆に、こういったギリギリの戦いを続けて行くことで培われ、本当の力となっていく。

途中、何度か致命傷になりそうなミスを犯したが、その都度カムイが手助けすることで何とか凌ぐことができていた。

「少し休憩しましょうか」

カムイの言葉に安堵の表情を見せる研修生たち。
1階をクリアしたことで、皆のLvは19に上がっていた。
順調に行けば今日中にLv20を突破できるだろう。
そうすれば、Dグレード装備が着れるようになり、戦闘も楽になるだろう。

皆が休んでいる間に、カムイは先ほどの質問に答える。

「休みながらでいいので聞いて下さい。先ほどのファブリスを知っているのかと質問がありましたが・・・・・知っています。昨日、次の修練場所を探しに行ったときに偶然、ファブリスたちの修練中に遭遇しました」

他の研修生の情報収集を男爵に頼んでいることまでは言わない。

「彼らも皆のように冒険者を雇って、ダンジョンで実践形式で修練をしてました」

研修生たちは、上半身を起こし息を整えながらカムイの言葉に耳を傾ける。

「確かに、1人1人の素質では皆より彼らのほうが現時点(・・・)では上でした。おそらく優勝候補と言われる所以もそのあたりにあるのでしょう。ただ、これはパーティ戦です。いくら1人1人が優れていても連携が取れてなければいいパーティとは言えません。そういうことで言えば決して勝てない相手ではありません」

そして、全員を見渡し最後に言葉を付け足す。

「でもそれは、これからの皆の頑張り次第(・・・・・)ですけどね」

現時点では劣っていても、修練を頑張れば勝てるようになる。
カムイのその一言で目の色が変わりスイッチが入る。

「休憩はもういいですわよね?」
「さぁ、次だ次!」
「負けてられないよ!」
「頑張ろう!」

「まぁ、俺としては1対1でも負けないようにするつもりですけどね・・・・・」

カムイの最後の呟きは、皆の言葉に掻き消されるのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

その日の夜、頼んでいた他の研修生たちの情報が集まったとのことで、男爵に呼ばれた。

情報は報告書のように束ねられていた。

「アブガリャン侯爵のところは、お前が自分で確かめただろうから情報は入れてない」
「えぇ、判ってます」

カムイは、渡された資料に目を通していく。
そのどれもが、お抱えの騎士団が鍛えることになっていた。
一通り資料を見たうえで、やはり脅威となりうるのはアブガリャン侯爵家のファブリスのパーティだろうと感じた。

「どうだ?勝てそうか?」
「そうですね。アブガリャン侯爵家以外には、まず負けないでしょう」
「本当か!?」
「えぇ、保証しますよ。あ、皆には内緒ですよ」
「判っておる」

それでも、カムイが勝てると言ったのが嬉しかったのか、男爵も笑顔を見せる。

「アブガリャン侯爵家も、この前見た感じではなんとかなるレベルの修練でしたが、教えているのがなにせAランク冒険者ですからね・・・・先が読めません」
「ならもう一度監視を出すか?」

直前の情報が手に入れば、確度も上がると思ってのことだろう。

「やめておきましょう。今度はあちらも警戒してるでしょうから」

カムイだとバレてはいないが、パーティの戦闘に手を出されたことには気が付いているはずで、こんどは易々と情報は入手できないと思っていた。

「あとは、こっちを仕上げることに専念しますよ」

そう言って、証拠が残らないよう資料を燃やすようにお願いするカムイだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「どうだ?なにか判ったか?」

アブガリャン侯爵家の一室で一人の男が報告を待っていた。

「ダメね。これといった情報はないわね」

会話の主は、深紅の傭兵団のユーグとマルテだ。
Aランク冒険者ともなると、信頼のおける情報屋の一人や二人いてもおかしくはなく、カムイ同様他の研修生の動向を探っていた。

その情報屋の報告では、カムイが男爵から受け取った報告の内容とそう変わらない内容になっていた。
違う点と言えば、ロトクルイド男爵家は、Dランク冒険者(カムイ)が修練を担当しているという情報が付け加えられていた。

ユーグもテルマもAランクのプライドからか、まさか自分たちが気配を捉えられなかったのがDランク冒険者だとはハナから思っておらず、あのときオークを倒したのが誰なのか判らないでいた。

「この話はこれで終わりにするか・・・・」
「そうね。誰がというのは気になるけど、実害は無かった訳だしね」

二人は、心に引っかかるものはあったが、これ以上の情報は出てこないと判断し情報収集を諦めるのだった。
お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

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