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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第22節 優勝候補

少し体調を崩してましたので、更新間隔が開いてしまいました。

皆さんも体調管理には注意して下さい。
(体調を崩した私が言っても説得力はありませんが ^^;)
カムイは、研修生たちの次の修練場所を求めて、アブガリャン侯爵領ドゥオ(第2)ダンジョンに来ていた。

研修生たちには、ルーキーダンジョンの6階層目で自己鍛錬をやらせている。

「明日は、皆だけで鍛錬してください」
「教官はどうするんですの?」
「まさか、サボる気じゃねだろうな?」
「アレクではあるまいし違います。俺は次の場所に下見に行ってきます」
「次の場所?」
「ええ。このダンジョンでは物足りないLvになりましたからね」

ダンジョンスパイダーを相手に戦闘を重ねたことで全員がLv17になっており、カムイの言うとおりダンジョンスパイダー相手では物足りなくなっていた。
また、ダンジョンスパイダーはパーティで言えばファイター(物理攻撃職)の近接部類に入るため、そろそろ遠距離や魔法を使う魔物相手の戦闘経験も積む必要があると考えていた。

「俺が居ないからといってサボることのないように」
「判ってますわ」
「ただ、無理だけは禁物です。戻ってきたら全員死んでたなんてことの無いようにお願いしますよ」
「「「「「「縁起でもない(ねぇ)!」」」」」」

 △▼△▼△▼△▼△▼△

次の鍛錬場所にドゥオ(第2)ダンジョンを選択したのには理由があった。
図書館で記憶した情報には、ファティマたちの次の鍛錬相手にはうってつけだったからだ。

・階層は10階層で、出現する魔物のLvは20~30台である。
・低い階層で出現する魔物はオークのみで、5~6匹のパーティ構成で出現する。
・出現する魔物は、近接攻撃の他シャーマン(魔術士)アーチャー(弓使い)を従えたパーティ構成である。


カムイさっそくダンジョンに足を踏み入れる。
ただ、ダンジョン内の奥のほうにしか魔物の気配が感じられないことに気がつく。

(先客がいたか・・・・)

これは、Lv上げをするために初めてクィーンクェ(第5)ダンジョンを訪れた際に判ったことだが、ある階層において魔物が全然存在しないということがあった。
確かに、中にはそういった階層もあっては不思議ではないのだが、探索したところ隠し部屋があり宝箱と一緒に魔物が討伐されず残っていた。
魔物の討伐、宝箱の中身を回収、そしてダンジョンボスを討伐した後で再度その階層に来たときには、階層全体に魔物が沸いていた。
確認のためダンジョンボスを討伐せず再入場したりと色々試したが、ダンジョンで魔物が再出現するキーは階層全体の魔物が倒されている(・・・・・・)ことが条件になっていることが判ったのだった。

マップを確認すると、奥のほうで魔物と戦闘しているパーティが2つあった。
正確には、戦闘しているパーティは1つで、もう1つのパーティはその様子を伺っているような感じだ。
そして、その2つのパーティから距離を置いて、1つの黄色いマーカーが確認できた。

不可解な組み合わせだと思いつつも、魔物の構成や攻撃パターンを確認するには逆にいい機会だと思い隠形を発動して戦闘しているパーティの元に向かう。

戦闘しているパーティの場所までもう少しというところで、パーティから距離を置いていた黄色いマーカーがカムイの側に寄ってきた。

(この気配は・・・・)

「カムイ殿!」
「やはり貴方でしたか」
「どうしてここに?」

隠形は、あくまで気配を消すためのスキルであり、透明人間のように姿を消すようなスキルではない。
カムイに声を掛けてきたのは、以前ロトクルイド男爵領での盗賊退治の際、スフライドと一緒にいた密偵(カスミ)だった。
あのときは、顔も声も判らず気配だけを感じていたが、今は黒装束に身を包み顔は隠したままではあるがカムイの前に姿を現した。

「それはこちらの台詞です。貴方こそどうしてここに?」

カムイは貴族お抱えの密偵が、ダンジョンに何の用があるのかと。

「私は男爵様の言いつけで、他の研修生の動向を探っているところです。そもそも、それを言い出したのはカムイ殿と聞いていますが?」
「え?」

思いもよらぬ回答に間抜けな声を出すカムイ。
確かに、ロトクルイド男爵に他の研修生の動向調査を依頼はしたが、よもや自分が次の修練場所候補にしようとしている場所に居るとは思ってもいなかった。

「確かにお願いしました。するとこの先にいるのは・・・」
「えぇ、研修生パーティとそれを指導する冒険者パーティがいます」

カスミは、これまで調べた内容をカムイに伝える。

・アブガリャン侯爵家に預けられた研修生は、侯爵家の次男ファブリス・アブガリャンが属するグループである。
・学園での成績が優秀であったため、優勝候補の筆頭に上げられている。
・その彼等を指導しているのは、Aランク冒険者ユーグ率いる深紅の傭兵団である。
・カスミが動向調査に張り付いたときには、既にここで修練をしていた。

カスミは、大した情報でなくて申し訳ないと言っていたが、カムイとしては昨日の今日で集められた情報としては十分だった。

「判りました。あとは俺が直接見て確かめます。他のところに回ってもらえますか?」
「いいんですか?」
「構いません。おそらくAランク冒険者であれば、貴方の監視にも気がついているでしょうから」
「・・・・判りました」

カスミは、自分の隠形が通用していないと言われ、なにか言おうとしたが大人しくカムイの指示に従う。

「では、あとはお任せします」

カムイが頷くのを見て、カスミは出口に向かうのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「ファブリス、何度言えば判る。タンカーは味方がピンチだろうとそこを動くなと言ってるだろう!」
「クッ!・・・・・・判ってます!」

アブガリャン侯爵家に預けられた研修生を鍛えているのは、王都でも指折りの実力を誇るAランクパーティの深紅の傭兵団。
全員が冒険者ランクAランクであり、中でもリーダーのユーグはLv54とLvも高い。
そのユーグから容赦ない叱責が研修生に浴びせられる。

ユーグは『実践こそ最大の学び』と言っているが、仲間から言わせると『言葉で人に教えるのは苦手』だからだそうだ。
そのため、研修生たちは初日からダンジョンで修練を行っていた。

「ところでマルテ、今朝からついて来ている(密偵)はまだいるのか?」
「えぇ、今のところこっちの様子を伺ってるだけのようですけど」
「どう思う?」
「おそらく、他の貴族から言われて研修生の動向を調べにきたんじゃないかしら。なにせ優勝候補筆頭なんて言われてるんでしょ?気にならない方がおかしいわ」

カムイの言った通り、カスミの存在はユーグたちにはバレていたようだ。

「どうする?排除する?」
「放って置け。今の状態ならあまり参考にならんだろうしな」
「あ、ちょっと待って。動くようよ。・・・・どうやら出口に向かってるようね」
「やはりただの様子見だったか」

カムイの隠形Lvが高いため、ユーグたちはカムイの気配を察知できていない。
そのため、カスミがカムイと交代したことが判るはずもなく、単にカスミが出口に向かったと思うのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「さてと。これで手の内を見せてくれればいいんですが・・・」

カムイは、隠形のLvからカスミの存在はバレており、逆に自身の存在は検知されていないと思っている。
そのカスミが出口に向かったことで油断はしないだろうが、監視の目が無くなったと誤解し手の内を晒してくれることを期待しながら戦闘を行っている場所に急ぐカムイ。

そして、そこの角を曲がれば目的のパーティに遭遇するというところまで近づき、用心しながらパーティを覗き見る。
研修生と思しき(おぼしき)パーティが魔物と戦闘を行っており、それを遠巻きで見ているパーティが深紅の傭兵団なんだろう。
リーダーらしき人物が、あれこれアドバイスをしている。

(彼がリーダーのユーグか。Lv54と言ってたが、他のメンバーもLv50前後か・・・・)

実際のところ、カムイは彼らがランクAと言われようが、Lvが50を超えていようが戦っているところを時下に見た訳ではない。
また、ランクやLvといった尺度をアテにしてないこともあり、実力を額面通りに受取ってはいなかった。
そのため、ここで修練していると聞いたとき、実際に自分の目で見れるいい機会と思いカスミと替わってもらった理由でもある。

(研修生のリーダーはファブリスと言っていたが、あのターゲットリーダーがそうか)
(全員Lv19なんだな)
(装備は・・・・Bランク?金に物言わせるのはいいが、ペナルティ受けすぎだろう。しかも、それを誰も指摘しない?やはりLvと装備ランクの適正を判ってないんだな)
(パーティ構成は、タンカー1、近接2、メイジ1、ヒーラー2か。まぁ無難な構成だな)
(個々の能力は、なるほど・・・ウチのメンバーと比べると力も魔力も随分と高いな。これが優勝候補と言われる所以か)
(連携のほうはどうだ)

などと思いながら研修生パーティを値踏みする。

そんな風にカムイに見られているとも知らず、研修生パーティは奥にある次の階層に続くマジックサークルに向け、魔物を倒しながら進んでいく。
それに合わせてカムイも見つからないように付いていく。

(これはちょっとやり方を変えないと難しいか・・・)

研修生パーティは、まだ動きとして甘いところも見られるが、ユーグのアドバイスもあってか戦闘を重ねるたび段々連携が取られていくのが判る。
それを見て、このままでは自力に劣るファティマたちが勝つことは難しいと思い始める。

この階層最後の魔物を相手にし始めたところで、これ以上見続けていても得られるものは少ないと判断し離れようとした時にそれは起こった。

油断
慢心

なんでもない相手に負けるときには、必ず心に隙が生じた時だ。
ダンジョンではその隙が命取りになる。

研修生パーティも戦闘に慣れてきていたこともあり、確実にトドメを刺したか確認する前に次のターゲットに掛かりだした。

「ファブリス!まだだ!」
「えっ!?」

ユーグが気が付いたときには、倒したと思ったオークがファブリスの背後で立ち上がり棍棒を今にも振り下ろそうとしているところだった。
誰もが、直撃を覚悟した。
だが、振り上げられた棍棒は、振り下ろされることはなかった。

ファブリスを攻撃しようとしたオークは、眉間から血を流しながら棍棒を振り上げた格好のままゆっくりと倒れていく。

その場にいた全員が、何が起きたのか判らなかった。

ユーグたち深紅の傭兵団のメンバーは、辺りを探るもすでにカムイはその場を離れた後だった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カムイは、その場を離れようとした時だった。
攻撃していたオークにトドメを刺していないにも関わらず、ファブリスがターゲットを変更した。
他のアタッカーがトドメを刺すまで攻撃を継続しているのであれば、それ自体は問題はなかったのだが、ファブリスのターゲット変更に釣られて他のメンバーもターゲットを変更してしまった。
そのため、瀕死状態だったがオークが起き上がってきた。

(チッ!なにやってんだか)

いち早くそれに気づいたカムイは、ベルトから礫を抜き取りオークの眉間めがけ指で弾く。
ライバルが減ることを思えば放っておいてもよかったのだが、反射的に身体が動いていた。

指弾

暗器術の一種で、手に握りこんだ礫を親指で弾くことで敵に命中させる。
本来は、敵の気を引いたり、隙を作ったりするのが目的で指弾のみで敵を倒すことはしないのだが、カムイの場合はステータスが高いため礫がそのまま凶器となる。

カムイが放った礫は、正確にオークの眉間を捉えそのまま頭部を貫通し、オークは棍棒を振り上げた格好のまま絶命してしまう。

そしてカムイは、静かにその場を離れるのだった。
お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

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