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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第21節 パーティ戦の以呂波 応用編

単体の敵に対して、パーティでの戦い方にも慣れてきたようなのなので、ステップアップをすることにする。

「単体の敵に対しては、さまになってきましたので次の段階に進みましょう」

そう言って、ルーキーダンジョンの6階層目に連れてきている。
ここには、Lv18のダンジョンスパイダーが3匹1セットで出現する階層だ。

「これから、複数の敵と戦闘を行ってもらいます。だた、基本的には単体を相手にするのとそう変わりません。ポイントは2つです」

カムイは、ポイントとなる点について説明していく。

「1つ目は、1匹目から2匹目にターゲットを移行するタイミングです。これは、アレクの判断が重要です。つまり、魔物の弱り具合、アタッカーの攻撃力を総合的に判断して、1匹目から2匹目にターゲットを変更し固定するタイミングが重要になります」

ターゲット固定のタイミングは、早ければ1匹目が倒しきれずにターゲットが剥がれるし、遅ければ2匹目が十分固定されてないためターゲットが剥がれるといった状況が発生する。
タンカーは、ターゲットを固定しながらそのタイミングを冷静に見計らう必要がある。

「2つ目は、ターゲットリーダー(攻撃する敵の選定)と同期して、いかに早く敵を殲滅するかになります。1匹の討伐に時間をかければかけるほどタンカーの負担が大きくなり、ひいてはヒーラーの負担も大きくなります。特に1匹目から2匹目といったターゲットが変わるときなどに注意してください」

これは、MMORPGでもありがちで、ターゲットの選択を間違えタンカーから敵を剥がしてしまうアタッカーは少なくない。
MMORPGでは、マクロを組んでチャットで次のターゲットをメッセージ表示することで対応したりするのだがこの世界にはそんなものは当然あるはずがない。
魔物相手であれば、声を掛け合うというのもありだが、対人戦では使えないためお互いの意思疎通や観察眼が重要になってくる。

「最後に、ここで出現する敵は皆より少しだけLvが高いので油断しないように」

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「・・・はぁはぁ・・・な、なにが起きたんですの・・・はぁはぁ」
「わ、わかんないよ・・・はぁはぁ」
「し、死ぬかと思った・・・・はぁはぁ」
「「「・・・はぁはぁ・・・」」」

最初に遭遇したダンジョンスパイダーと先頭を行った結果、辛うじてファティマがツヴァイハンダーに凭れ掛かるように立っているが、その他は座り込んでいる。
全員息も相当荒く、エステル、ミラドに至っては魔力切れまでおこしていた。

一体、彼らに何かが起きたのか。


カムイからポイントを聞いた研修生は、これまでと同様にバレンティン、オルガに続いてダンジョン内を探索する。

「いました。この通路の先に3匹います」

バレンティンが敵の存在を知らせる。

「狙う順番はどうする?」
「そうですわね。最初は真ん中に致しましょう。2匹目以降はアレクにお任せしますわ」
「判った」
「では、行きますわよ」

アレクを先頭にダンジョンスパイダーとの距離を詰めていくパーティ。
だんだんとその容姿が見えてくる。

「「でかっ!」」
「それしか言うことがないんですの?」

アレクとエステルがダンジョンスパイダーを見てまたもやハモった言葉に、ファティマがツッコミを入れる。

(随分と余裕があるねぇ。まぁ、ガチガチに緊張するよりはよっぽどいいけど)

ダンジョンスパイダーは、3匹とも後ろを向いているため、まだ研修生に気がついていない。
打ち合わせ通り、真ん中のダンジョンスパイダーに対し、ファーストアタック(FA)を仕掛け、ヘイトでターゲットを固定する。
他のメンバーもこれまで同様に配置につき、真ん中のダンジョンスパイダーに攻撃を開始する。
ダンジョンスパイダーは、毒を持った牙と鋭く尖った前足でアレクを攻撃する。
アレクは、これまでの1匹とは異なり、3匹に囲まれての攻撃に反撃どころかヘイトを放つ隙も見つけ出せず、防御に回るのが精一杯になった。
すると、当然のことながら攻撃対象とみなされるヘイト値(敵視値)がアタッカー寄りに高くなっていき、とうとう3匹のターゲットがアレクから剥がれファティマに移ってしまった。

「っつ!!」

ここでファティマは、慌ててしまいダンジョンスパイダーから距離をとるため、その場を動いてしまった。
ダンジョンスパイダーもファティマを追ってもとの固定されていた場所から動き出す。
さらに、バレンティンとエステルはなんとか早く倒そうと攻撃を継続する。
また、ミラドも回復のため移動しながらヒールをかけるが、ヒールはヘイト値(敵視値)高いため、ターゲットがメンバー間で行ったり来たりする羽目になり、ダンジョンスパイダーはターゲットを次々と変えながらウロウロする。
それをアレクやファティマ、オルガが追いかけながら攻撃するといった、MMORPGの初心者にありがちな光景がそこに広がっていた。

「ターゲットになった人は攻撃せずそこを動かないで!」

そうカムイが声を上げるも、3匹の巨大な蜘蛛が自分目掛けて押し寄せてくる恐怖に、その場に留まることができずに動いてしまう。

(仕方ない・・・・)

そう思い手を出しかけたところで、真ん中で一番最初にターゲットになっていたダンジョンスパイダーがバレンティンの一撃で動かなくなった。
そこから流れが変わる。
ファティマが覚悟を決めたのか、全員に指示を出す。

「皆、多少の被弾は覚悟なさい!アレク、1匹1人で固定なさい!」
「ま、任せろ!」
「なら、ミラドはアレクの支援を!」
「はい!」
「残り全員でもう1匹を囲んで全力で仕留めますわよ。オルガは支援に集中して!」
「「「了解!」」」

そうやってまず、ファティマたちのダンジョンスパイダーを仕留めたあとで、アレクが抑えていたダンジョンスパイダーを倒すこと成功する。
そして、全員がへたり込むのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「どうです。少しは落ち着きましたか?」

カムイは、ようやく息も整いヨロヨロと立ち上がる研修生たちに声をかける。

「今の戦闘で、問題がどこにあったか判る人はいますか?」
「それは俺が、ターゲットを維持できなかったからだろ?」

アレクが、悔しそうに答える。

「確かに混戦になったのは、それがキッカケですがそれは問題ではありません。問題というか足りない物といったほうがいいでしょうか」

それでも誰も答えられない。

「足らないのは、覚悟と信頼です」

その言葉に全員が初日にカムイが言った言葉を思い出す。

『殺される覚悟はありますか?』

カムイは、全員を見渡し言葉を続ける。

「ダメージを受けるのを嫌い、守りに入ったり逃げ回ったりしたのは、全員に覚悟が足りなかったためです。違いますか?敵が向かって来たときに、『逃げずに向かっていれば仲間がなんとかしてくれる』。そういう思いは浮かびましたか?」

カムイは、別に『仲間のために死ね』と言っている訳ではない。
その心構えが必要だと言いたかった。

先ほどの戦闘を全員が思い出す。
そして、そのどちらも自分たちに足りなかったと全員が悔しい顔をする。

『覚悟』と『信頼』。
言葉で言うのは簡単だ。
ただ、それを実践するとなると話は誓ってくる。
誰もが死ぬのは嫌だし、いくらパーティだからと言って研修のために初めて組む赤の他人に命を預けることが難しいことは判っている。
だが、それを乗り越えないとこれからの研修はやっていけないし、強くはなれない。
ましてやトーナメントに勝つことも難しいだろう。

「まだ、続けますか?」

研修生たちの顔をみると、答えは決まっていたがあえて聞いてみる。

「当然ですわ!私たちは強くなりたいですもの!」

ファティマの言葉に全員が頷くのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

その夜、カムイはロトクルイド男爵の下を訪れていた。

「申し訳ありません。ちょっとお願いしたいことがありまして」
「願い?」
「えぇ。実は腕の立つ密偵を数人お貸しできないかと・・・・」
「密偵を?なんのために?」

男爵は、カムイの意図が読み取れずにいた。

「他の研修生の動向を調べて欲しいんですよ」
「他の研修生の?」

カムイは、ファティマたちから聞いた研修生の割り振りについて話をした。
その話は、当然男爵も知っているようだった。

「確かに、男爵家で身内がいたのが当家だったから引き取ったが、学園での評価は中の下といったところのようだな」

学園での評価までも把握していた。

「それと密偵の話とどう結びつくんだ?」
「俺の祖父からの教えの中にこういう言葉があります」

『彼を知り己を知れば百戦殆うからず。彼を知らずして己を知るは一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば戦う毎に殆うし。』

いわゆる、孫子の兵法の一節だ。

「敵の実力と自分の実力を知って対策を立てて挑めば負けることはない。また、敵の実力を知らずに自分の実力だけを知っているなら勝負は時の運。そのどちらも知らなければ勝つ見込みはないだろうという教えです。エステルたちの実力は把握していますが、勝つためには敵の情報を知っておきたいのです」

そう言うと、男爵はしばらく考え込んでから答える。

「あまり多くは出せんぞ?」
「構いません。侯爵家、伯爵家だけでも調べてもらえれば十分です」
「判った。手配しよう」
「ありがとうございます」
「なぁに、娘のことでもあるしな。しかし・・・・・つくづく、お前の祖父には生きているあいだに会っておきたかったな」

カムイは、『ただの偏屈ジジイですよ』と苦笑いしながら答えるのだった。

お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

設定資料集のようにしたくてブログ始めました。
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