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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第15節 人を殺す勇気と死ぬ覚悟

闘いに向けての心構えを説きます。

10/15 誤字・脱字の修正
研修1日目

研修生は、朝食時に執事のコロバルトからカムイからの伝言を受け取る。

「教官からの伝言です。午前中は講義と身体測定を行うそうですので、動きやすい格好で談話室に集まるようにとのことです」

どうやら、カムイのことを期間中は教官と呼ぶようにしたようだ。
伝言を受けた研修生たちは、学園から支給されている運動着に着替え談話室に集まっていた。
なぜがロトクルイド男爵とコロバルトもいる。

そんな中カムイが大きな紙を抱えて入ってくる。
紙は、昨日男爵に用意してもらったものだ。

「おはよう」
「「「「「「おはようございます」」」」」」
「皆揃っているようですね。ってなんで男爵までいるんですか?」
「どんな講義をするのか興味があってな。気にするな」
「まぁ、構いませんけど、面白くなくても知りませんよ」

カムイは、気を取り直して研修生たちに質問をする。

「講義を始める前に確認ですが、この中で魔物と戦ったこのある人はいますか?」

すると、バレンティンが手を挙げる。

「魔物の名前と状況は覚えていますか?」
「はいウィークウルフでした。学園に入る前ですが、父と狩に出かけた際遭遇した時に」
「なるほど。ではもう1つ質問です。この中で人を殺した、もしくは殺そうとしたことがある人はいますか?」

さすがにこの質問に手を挙げる者はいなかった。

「さすがにいませんか・・・」

そう言うと、持ってきた用紙を前の壁に張り出す。
そこには、人の形をした絵になにやら描かれていた。

「教官、それはなんですの?」
「人間の急所を図にした絵です。講義内容は、人の殺し方(・・・・・)です」

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

研修生たちは声もなかった。

(いやはやいきなり核心からきたか)

男爵は、いつかはこういう話になるだろうとは思っていたが、研修の1日目に持ってくるとは思っていなかった。

「どうしました?」

研修生たちが唖然としていることを不思議そうに聞くカムイ。

「教官、対抗戦は殺し合いではないのよ」
「知っていますよ」
「じゃぁなぜ人の殺し方を教わる必要があるの?」
「対抗戦に勝つためですが?当たり前のことでしょう。私はそのために呼ばれたのですから」

研修生たちは、人の殺し方を教わることがなぜ対抗戦に勝つためなのか、理解が追いついていかない。

「言い方を変えましょうか。前の絵に書いているのは、急所と言われている場所です。つまり、ここに致命傷を与えることができれば一時的に無力化できたり、場合によっては死に至らしめることができる場所です。これを知っているのと知らないのとでは、戦い方が変わってきます」

カムイは、全員を見渡す。

「逆に言えば、急所に致命傷を受けないように気をつければ、多少ダメージを受けても戦闘を継続することが可能ということです」

そこまで言ってようやく研修生も、カムイの言いたいことが理解できたようだ。
ただ、まだ複雑な表情をしている研修生もいた。

「おっしゃりたいことはなんとなくですが理解はしましたが、相手が死んでしまうというのは・・・・」

相手が死んでしまうことがあるということに抵抗があるようだ。

「この先、皆さんがどういう進路に進むか判りませんが、軍に入って敵と戦うかも知れないし、冒険者になり魔物と戦うかもしれない。貴族であれば政敵に狙われるかもしれない。そんな時相手に急所を狙わないでとお願いしますか?できないでしょう?」

ファティマは、政敵に狙われるかもしれないといったところでハッとする。
その他の研修生もカムイの言いたいことを理解する。

「そうです。対抗戦というのはただ単に勝ち負けを競うのではなく、皆さんが人を殺す勇気があるのか、また殺される覚悟があるのかを試される場だと思ってください」

カムイの言葉に研修生全員の顔つきが真剣になるのが判った。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「頭部から順番に行きましょう。なお、人間に限らずヒューマノイド系の魔物は大体同じですので、覚えておくといいでしょう」

頭部では、眉間、こめかみ、目、乳様突起、人中、顎、喉、頚椎について、狙われた場合どういう症状が起きるかを説明していく。

「次は胴体です。極稀にですが、内臓逆位といって内臓の配置が、鏡に映したようにすべて左右反対の人がいることも覚えておいて下さい」

胴体では、心臓、肺、肝臓、腎臓、みぞおち、膀胱、金的(男)、脇の下、上腕骨と肩の隙間、肘より少し上部について説明していく。

最後に脚部である膝、スネ(前頸骨筋)、アキレス腱について説明する。

「以上が、主だったところですが人間の急所の説明になります。なにか質問はありますか?」

目や喉といった極当たり前の場所から、乳様突起、脇の下といった始めて聞いた場所などがあり、必死に覚えようとしていて質問どころではないようだ。
変わりに男爵が質問をしてくる。

「極当たり前の場所や、今まで聞いた事がないような場所、肝臓、腎臓と言った聞いたことのない臓器まであったが、君はそれをどこで習った?」

元の世界では常識的な話でも、こちらではそうでない部分があったのだろう。
男爵の質問は、研修生たちも知りたいような顔をしている。

「俺は小さい時に両親を亡くし、冒険者である祖父に育てられました。その時に祖父に教わりました。一人になっても生きられるように」

そう言って一旦言葉を区切り全体を見渡す。

「それこそ人体の構造から体術や武器の扱い、トレーニング方法や素材に関する知識などありとあらゆることを祖父に教えてもらいました。祖父が亡くなったあとは、自分にあったやり方を模索し工夫しました。そう、全ては一人で生きて行くために」

話した内容は、カムイが創作したものではあったが筋としては悪くないものだっただけに、全員がその話を信じたようだった。
さすがに、男爵が『祖父が生きている間に遭いたかったな』といったときには、心の中で苦笑いしてしまった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

午後は、場所をギルドの闘技場に移す。

「まずは、身体の柔らかさをチェックします。俺と同じようにやってみて下さい」

以前、黒狼隊にもやってもらったが、それと同様に身体の柔らかさの確認を行う。

足の踵を付けたまま前屈し、掌を地面につけてみせる。
誰もできないのを見て踵を肩幅まで開いてやらせてみると、女性陣とバレンティンが指の第一関節くらいまで地面についたが、アレクとミラドはそれでも地面につかなかった。

次に立ったまま徐々に足を開いていき、左右に180度の開脚を行う。
更にそこから身体を90度向きを変え、前後に開脚を行った状態にする。
これは全員が左右の開脚が出来ず、前に倒れ手を付くか後ろに倒れ尻餅を付いていた。

肩の関節の柔らかさも確認したが、誰も出来なかった。

「まぁ、予想した通りでしたね」

苦笑いをするカムイ。
そして、なぜ柔軟性を確認したかを説明する。

「身体が柔らかいということは、咄嗟の動きに柔軟に対応できるということです。またそれにより怪我を減らすことができます」

そして、身体を柔らかくするためのコツも教え、毎朝、就寝前には必ず実施し、時間があるときにも実施するよう指導する。

「そうですね、ただやるだけでは張り合いがなくサボる人もでるかもしれませんからこうしましょう。もし、最終日までに全員できるようになれば、俺からご褒美をあげましょう」

いわゆる人参作戦だ。

「本当ですわね?」
「その約束忘れんなよ」
「皆、ちゃんとやりなさいよね」
「「お前が一番心配なんだよ」」

エステルがアレクとバレンティンにツッコミを入れられていたが、どうやらやる気になってくれたようで一安心だ。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

次に、全員に短剣の模擬刀を渡していく。

「これはなに?」
「何って短剣の模擬刀ですが、見て分かりませんか?」
「そう言うことを聞いてるんじゃなくて、自己紹介で使ってる武器聞いたじゃない」
「えぇ、聞きました」
「だったら誰も短剣なんか使ってなかったでしょ」
「だからですよ」

会話がかみ合ってないように見えるが、カムイは短剣の模擬刀を渡した理由を説明する。

「エステルは、杖を使ってますよね?」
「そうよ」
「では、敵が接近してきたときどうしますか?杖で殴りますか?」
「それは・・・・」
「ファティマは、ストームブリンガーと言ってましたが、剣が折れたりしたらどうしますか?折れた剣で戦いますか?」
「・・・・・・」
「そうです。皆はメイン武器が使用できない、もしくは出来なくなったときのことを考えていませんよね?」

カムイの指摘に対し、誰も答えられない。

「皆のステータスを見ましたが、全員短剣の属性を持っていることが判りました。そこで、まずはサブの武器として短剣のスキルを習得してもらいます。短剣であれば嵩張らないしサブの武器としては最適ですから」

全員がカムイの意図を理解したようだ。

「でも、使ったことありませんわよ?短剣なんて・・・・」
「だからこれから練習するんです。メインの武器ではありませんが、いざという時に使えないと困りますからね」

そう言って、夕方まで短剣でも戦い方を教示していくカムイだった。
次節は、いきなりの短剣の実地訓練です。


お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

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